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「ガンダム レコンギスタの囹圄」第16話「死の商人」前半 [Gのレコンギスタ ファンジン]

「ガンダム レコンギスタの囹圄」


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第16話「死の商人」前半



(OP)


ザンクト・ポルトから東へ1000キロメートル離れた場所でアメリアの艦隊とゴンドワンの艦隊が激しくぶつかり合っていた。

ザンクト・ポルトへ先行するゴンドワンをアメリアの艦隊が脚の速さを生かして追いつき、艦隊戦に持ち込んだことで、両軍は激しい消耗戦に突入してしまった。戦いは12時間経っても終わる気配はない。遠目にザンクト・ポルトを眺めながら、どちらも一歩も引かぬ戦いにもつれ込んだ。

ラトルパイソンのブリッジにアイーダの叱咤の声が響き渡った。

アイーダ「どうしてこれほどの戦力がありながら押されているんですか!」

艦長「どうもMSの性能差のようです。こちらの量産機よりゴンドワンの量産機の方が性能がいい」

アイーダ「グリモアは良い機体だと亡きカーヒル大尉もおっしゃっていましたのに」

艦長「あちらにはあの人がおりますから、いろいろ流出してしまったのでしょう」

あの人とは、ゴンドワンに亡命したクリム・ニックのことであった。MSの知識に長け、多くの機体を乗り継いできたクリムがアドバイザーになってゴンドワンの新型機が製作された可能性があった。

アイーダ「(唇を噛み)平和を模索していた間に出し抜かれたと」

艦長「戦場に身を置く身としては、やはり常に新型機を用意していただけるとありがたいのです。その点、グシオン総監はイノベーションを怠らなかった。常に相手より優位に立てるよう予算の面でも取り計らっていただき、おかげでアメリア軍は世界最強を保っていられました」

それはアメリア軍の新総監になったアイーダへの嫌味でもあった。たしかにアイーダはMSの研究開発予算を削って、クンタラ支援に当てた張本人だったのだ。

アイーダ「もうグリモアでは戦えないと?」

艦長「地上ならともかく、宇宙では厳しいですね。新型機が無理なら、せめてジャハナムの数を揃えていただきたかった」

アイーダ「ジャハナムの量産ラインはもうないんです。グリモアは宇宙用の汎用型工作機械として残すつもりだったので・・・。いったん研究開発を止めるとこういうことになるのですね」

艦長「(近くで爆発が起こり、身をかがめる)そういうことです。いまから研究開発を再開するか、もしくはどこからか新鋭機を購入していただくか」

アイーダ「どこからかといわれても・・・」

MSの性能はトワサンガやビーナス・グロゥブのものが圧倒的に高性能なのはわかっていた。しかし、ドレッド家が絶え、ジット団もないいま、ゴンドワン以外に新鋭機の開発を続けている国家があるとは思えなかった。

アイーダの心の中に、G-セルフを量産できないかという考えがよぎった。彼女が知る中で最も高性能で未知に溢れていたのがレイハントン家が用意していたG-セルフなのである。

アイーダ「とにかくここはしのいでください。クリムのオーディン1番艦も疲れてきているはずです。新鋭機のことは責任をもって承りました」

G-アルケインならば設計図もあればノウハウもある。ジャハナムの量産ラインをもう1度作り直すこともできる。しかし、それを行うだけのエネルギーを戦争のために使っていいのか、またそれを議会が承認するかどうかは難しい問題であった。

アイーダは戦争の早期終結と国家間の融和を訴えて国民の支持を得ている。新型MS開発やいったん廃止したMS生産ラインの復活を言い出せばズッキーニ大統領に揚げ足を取られることは間違いなかった。たとえそれをやむなくさせているのが彼の息子であったとしてもだ。ズッキーニ大統領はそんなことで大人しくなるような性格ではない。面の皮の厚い、まさに政治家らしい政治家なのだ。

メガファウナが戻れば、G-セルフもあればバックパックを作ることもできる。強い機体があれば戦争が早く集結するのではないかとアイーダは考え、そして自らその考えを否定した。

アイーダ(G-セルフを量産させて欲しいなんて言ったらベルリがどんな顔をするか。武力で戦争に勝つために政治家になったんじゃない。ビーナス・グロゥブのラ・グー総裁だってそんなことは望んでいない。絶対に何かできることがあるはずだ。わたしじゃなきゃできない何かが・・・)






クリム「これではいつまで経ってもザンクト・ポルトに近づけぬではないかッ!」

クリムが搭乗する青いダ・カラシュの肩に、ミック・ジャックのピンクのラ・カラシュが手を置いた。2機の間に接触回線が繋がる。

ミック「仕方がないですよ。ゴンドワンの兵士はこれが宇宙での初めての戦闘なんです」

クリム「(ダ・カラシュの指を西に向けて)ザンクト・ポルトから1000㎞も離れてしまった。あの真下から上がってきたというのに」

ミック「まさか姫さまが先に来ているとはね。正直、見くびってました。それに、さすがアメリアは物量が豊富です」

クリム「グリモアごときにどいつもこいつも後れを取るとは。こちらのルーン・カラシュは最新鋭機なんだぞ」

ミック「引きどきですよ」

クリム「わかっている」

クリムは撤退命令を出してMSをそれぞれの母艦へと戻した。ゴンドワン軍の動きに合わせてアメリアもグリモアを引き上げさせた。長時間の戦闘に疲れ果てているであろう兵士たちには食事と睡眠を取るように指示がなされた。

ブリッジに上がったクリムはミックと肩を寄せ合って状況を分析した。

ザンクト・ポルトまでの距離は1000㎞。宇宙ではそれほどの距離ではないが、間にアメリアの艦隊が入り込んで行く手を阻んでいる。MS戦は互角で、双方相手国の戦艦に迫って十分な打撃を与えるまでには至っていない。まさにエネルギーを消費しただけに終わってしまったのだ。

MSの性能差は歴然としていた。ゴンドワンが用意した最新鋭機カラシュ・シリーズは優秀で、クリムが搭乗した機体の中ではダハックに次ぐ能力があり、アメリアのグリモアとは比較にならない運動性能を誇っていた。ただ、キャピタル侵攻部隊から戦力を割いたために数が少ない。

また、ゴンドワンの兵士は宇宙空間での練度を欠いており、MSの性能に劣るアメリア軍相手に押すどころか押されるほどで、目的地であるザンクト・ポルトからは引き離されるばかりであった。ザンクト・ポルトに近づけばキャピタル・ガードが応戦してくる可能性もある。

クリム「タワーを占拠しておけばザンクト・ポルトを拠点にトワサンガへ侵攻できたのか・・・。くそ、あのケルベスという男ッ!」

ミック「(首を振り)いえいえ、占拠したってあたしたちじゃタワーを運行させることはできませんって。あれはあれですでにロストテクノロジーともいわれているのですから。運航庁だけですよ、仕組みを理解しているのは」

クリム「(八方ふさがりを感じて怒りを吐き出す)クソが」

ミック「どうします。1回地上に戻って兵士を休ませて補給をしてからもう1度上がってきますか?」

クリムは頷きかけて自分の弱気を強く否定するかのように首を大きく横に振った。

クリム「いや、補給は足りている。ここは持久戦と行こう。ザンクト・ポルトから離れてゴンドワン上空へ移動。MSの補給を受ける。数が同等なら相手は突破できない戦力ではない。ドッティ、オーディン2番艦とガランデンに移動すると伝えてくれ」

ミック「ゴンドワン政府は増派要請を聞いてくれますかね?」

クリム「ケチくさい連中だからな。寒いところの連中は貯め込むばかりで使おうとしない」

クリムの願いは、武力をもって世界、続いて宇宙を統一して平和をもたらすことであった。オーディン1番艦のモニターには月は映し出されていないが、クリムの眼は月に向けられていた。

ゴンドワンからキャピタル・テリトリィにガランデンが提供された際のクルーの一部が、アーミーに残って法王と共にトワサンガへ入っている。密偵の数は10人。

そのうちひとりがハザム政権転覆のどさくさに紛れてトワサンガ守備隊に潜り込み、シラノ-5にもう1機のG-セルフがあるとの情報を伝えてきているのだ。彼はハザムと共にザンクト・ポルトに残り、ガヴァン隊とメガファウナが交戦しているどさくさを突いて大気圏グライダーで地球に降り、キャピタル・テリトリィに侵攻してきたクリムと合流していた。

クリム(月へ行けばG-セルフが手に入るかもしれない。トワサンガさえ抑えてしまえば、G-セルフを量産して地球もビーナス・グロゥブとやらも何とでもできる。あとのことは、手に入れてから考えればいいのだ)







キャピタル・テリトリィ爆撃を逃れた人々は、難民となって各地に散らばっていた。

その多くはアメリアとの国境へと逃れたが、アメリアはクンタラの亡命者を優先して受け入れ、キャピタル・テリトリィから逃れてきた人々は難民収容所を作ってそこに隔離していた。歴史的にさほど仲の良くない両国であったため、その支援はおざなりなものであった。

アメリアのグシオン総監がフォトン・バッテリーの情報開示を求め、キャピタルがそれを拒否したことはクリム・ニックの「修正グシオン・プラン」の公表によって広く知れ渡ってしまった。アメリア人の中には今回のクリムによるキャピタル侵攻によって留飲を下げる向きさえあったのである。

難民キャンプでは代表が決められ、アメリア政府と交渉を行っていたが、要求していた食料や子供用ミルクなどの配給は少なく、豊富に送られてくるのは武器ばかりであった。

それを手に取ってクリム率いるゴンドワンと戦えというのである。武器の支援はアメリアの政府予算で賄われていたために、武器商人たちはアグテックのタブーを無視して次々に新型の銃を開発していた。

長く続いた平和に慣れ親しんだキャピタル・テリトリィの人々も、祖国を失ったことで若者を中心に兵士として志願する者が増えていた。彼らは祖国解放レジスタンスとなってジャングルに潜み、ゴンドワン軍と各地でゲリラ戦を繰り広げていた。

コバシ「あんたたち、覗いたらぶっ殺すわよ」

ローゼンタール・コバシはその長身を生かしてクン・スーンの授乳を他の兵士に見せまいと立ちはだかっていた。

クン・スーンは自らが産んだキア・ムベッキの息子ジュニアに乳を飲ませていた。彼女の息子は人質として病院に囚われていたが、クリム・ニックは病院を空爆対象にしなかったので、保育器の中にいたジュニアはかろうじて生き延びることが出来たのだ。

コバシ「しかしいつまでもこんなジャングルの中にはいられないわね。ズゴッキーのバッテリーもそろそろ切れてしまうし」

団員A「やっぱりバッテリーはかっぱらってくるしかないですね」

団員B「筏は明日には完成しますよ。木だけはいくらでもありますから」

スーンとコバシらはジュニアの身柄を取り戻すとキャピタル・テリトリィに居住していた旧ジット団のメンバーを難民キャンプから探し出して、元いたパイロット20名に加えて80名を確保して100人のグループとして行動し、揃ってジャングルの中へ身を隠した。

旧ジット団メンバー100名は、ズゴッキーを隠しながらジャングル地帯を北東へ進み、海が見える場所まで辿り着いていた。難民の多くは半島の突き出た北西へ向かっていたので、徐々に人に会う機会も減ってきたところだった。

彼らにはトラック2台とズゴッキーしかなかったが、難民キャンプで受ける配給と物々交換で得た道具で木を切り出しては筏を制作していたのである。それに乗り、ズゴッキーに引かせて海を渡り、アメリアへ向かおうというわけだ。

数名の団員が立ち上がり、互いに頷き合いながらスーンの授乳が終わるのを待ってから話しかけた。

団員C「姐さん、自分らはいまからここの南にあるレジスタンスの拠点に忍び込んでバッテリーを奪ってきます」

団員D「夜が明ける前に戻るのでズゴッキーをすぐにバッテリー交換できるように準備して、筏も浮かべておいてください。夜明け前に出ましょう」

スーン「(胸を服の中にしまいながら)そんな危ないこと任せていいのか?」

団員C「地球の自然は暴力的すぎる。こんな生活、限界です」

団員D「少しでも文明を感じるところへ」

レコンギスタを掲げビーナス・グロゥブからやって来た彼らであったが、地球環境がこれほど過酷なものだと想像していた人間はひとりもいなかった。ジャングルでの生活は、クンパ大佐が目論んだ優勝劣敗論そのものであったが、天の国で生まれ育った彼らは、自分たちが弱者の立場になるとは夢にも思ってもいなかったのである。

スーン「すまない。ではバッテリーの強奪は任せる。こちらは急いで筏を完成させ、すぐに海を渡れるように準備しておく」

翌日未明、強奪に向かった10人を乗せたトラックは無事に戻ってきた。ただちにズゴッキーのフォトン・バッテリーが交換され、ローゼンタール・コバシは10艘の筏を海に浮かべると、その上に100名の団員を乗せて結わえたロープを引っ張り、アメリアへ向かってゆっくりと進んでいった。

筏の上の団員たちは、疲れてはいるが皆良い笑顔であった。ビーナス・グロゥブで真っ白だった彼らの肌は、日焼けで真っ黒になり垢で汚れ切っていた。

スーン(キア隊長、これが強くなるってことなのですね。見てください。みんな随分逞しくなりました。いずれはジュニアもこの地球で強い子として育っていくでしょう)

ズゴッキーに引かれた筏は、強い海風を受けながら朝焼けの中をゆっくり北上していった。







夜のアメリア東海岸旧NYシティに色とりどりのネオンが瞬いている。

アメリアへ渡ったカリル・カシスは、キャピタル・テリトリィから奪った有り余る資金で東海岸で大きな店を買い取り、元ビルギーズ・シバ美人秘書たちと共に高級キャバレーを経営していた。

彼女たちはクンタラ出身という身分を隠すまでもなく、その美貌を武器に界隈でたちまちのうちに評判を得て毎日多額の売り上げを計上するまでになっていた。アメリア人の偏見のなさは彼女らが拍子抜けするほどであった。それもそのはず、アメリアは早くからクンタラ亡命者を受け入れ、登用することで一気に文明レベルを引き上げた国家であった。

クンタラの女性が差別なく働ける店という評判は周辺にとどろき、難民として他の地域からやって来たクンタラの女性たちが連日面接に訪れては雇われ、そろそろ2号店を開こうかとの話すら出ているほどだった。きらびやかな店内は着飾った男女の社交の場になっていた。

経済的に成功した彼女たちであったが、キャピタル・テリトリィにおいて幼少時より受け続けた差別の記憶は拭い難く、酒を出すだけではなく裏ではいまでもクンタラ建国戦線のために働いていた。新規に雇った女性たちも彼女らの仲間になって、アメリア国内での支援者はどんどん大きくなっていった。

そんな客の中に、紛争当事国であるゴンドワンとアメリアの間を頻繁に行き来するロルッカ・ビスケスなる金回りのいい老人がいた。彼は酷く差別的な男であったが、クンタラへの差別が強いが故にクンタラの女に目がなく、アメリアへ来た際には湯水のように金を使うので逆に怪しまれたのだ。

カリル「あの風采の上がらない男がトワサンガの出身? それは本当ですか?」

ジムカーオ「レイハントン家という旧王室の家臣だったそうだ」

カリル・カシスは通信機を前に我が耳を疑った。彼女がキャピタル・テリトリィから持ち出した大型の通信機は、彼女がジムカーオ自身から与えられたものだった。彼女はこれを使って情報を逐一トワサンガのジムカーオ大佐に送り、指示を受けていたのである。

ジムカーオ「近々地球はさらに戦争が激化してフォトン・バッテリーの備蓄が尽きていく。それに合わせてゴンドワンのルイン隊が動き始める手はずだから、ロルッカという男を完全に篭絡して武器売買の仲介人をさせたい。武器はこちらから地球へ運搬する」

カリル「それはもちろんやりますけど、大佐はトワサンガにいるんでしょ? どうやって地球に持ち込むんですか?」

ジムカーオ「その手段はいくらでもある。いまのところ宇宙もいろいろ混乱しているが、バッテリーが尽きればあいつらも大人しくなるだろう」

カリル「物資が不足して餓死寸前になったらあたしたちクンタラはまた・・・」

ジムカーオ「それは心配ない。その前に自分が責任をもってエネルギーの供給をする。人間を飢えて死なせるほどには法王庁も追い込まないだろうし、こちらも対処する」

カリル「法王庁ですか・・・。彼らこそが差別の源のような気もしますが・・・。ロルッカを通じてトワサンガ製の武器やMSをルイン隊に届けさせればよいのですね」

ジムカーオ「ロルッカは武器商人だから世界中に武器を売りこんでくれるだろう。現状では戦争に参加していないアジア地域はエネルギーに余裕がありすぎて国内で政局が起こらないと推測されている。クリムという男のプランに参加しなかった国々は、軍事革命が起こらないまま事態を乗り切ってしまう。それでは地球全体をクンタラ国の支配下に置く作戦に支障が出るのだ。まったく、クリムはザンクト・ポルトなどを目指さずアジアを侵略すべきだったのだ」

カリル「キャピタルをくれてやったのに天才という割には大したことはなかったですね」

ジムカーオ「まったくだ。クリムトン・テリトリィ建設で地域のフォトン・バッテリーを使い果たしてくれたのはありがたかったがね。故郷を爆撃されて、君は悲しかったか?」

カリル「(首を横に振り)いいえ、全然。スコード教の聖地なんて焼け野原になって当然ですわ」

ジムカーオ「それではロルッカに武器を扱わせる件はよろしく頼むよ」

カリル「はい。それでは」

フォトン・バッテリーは1年分の備蓄がなされるように世界中に供給されている。しかしその中に戦争で使われる分は含まれていない。自主電源を多く持つアメリアはまだいいが、ゴンドワンなどはかなり疲弊してきているはずだった。

カリル「もう少しだ。これでようやく血の差別が終わる。クンタラの血が一滴でも混ざっていればクンタラなどという時代が終わる。クンタラの魂が安寧の地に導かれる」

カリルは両手を胸の前で十字に組むクンタラ式の祈り方でクンタラの神を称えた。

深夜を過ぎ、店じまいをして帰路についた女たちは、海の方角から大きな物音と騒ぐ声が聞こえてきてめいめいに脚を止めた。旧ビル群にドーンドーンと大きな音が響き渡っている。それは徐々に彼女たちに近づいていた。カリルは部下の女たちを先に逃がして、自分は音のする方角へ走っていった。

繁華街のネオンもあらかた消えた深夜のビルの谷間に、ぬっと姿を現したのは巨大なモビルスーツの姿であった。その下には100人ほどの眼をギラギラさせたむさくるしい男たちが歩いてついてきている。

目を凝らすとそれは彼女がキャピタル・テリトリィで騙してアーミーに入隊させたビーナス・グロゥブのジット団の面々であった。生きていたのかと驚くと同時に、彼らが地球人には思いもよらぬ技術を多く有していることを思い出し、笑顔を作るとわざと女らしい走り方で彼らに走り寄った。

カリル「生きていらしたのですね! わたくし、ビルギーズ・シバの第1秘書、カリル・カシスでございます。クン・スーンさまですか?」

香水の匂いをプンプンと漂わせたカリルが近寄ると、真っ黒に日焼けしたクン・スーンはその場に突っ伏して吐き始め、波が波がと何度もうめいた。

スーン「た、頼む。こいつらに何か食事を」

彼女の傍には100人ほどの人間がいる。確かめなくてもジット団のメンバーであることはわかっていた。

カリル「近くにわたくしのお店がございます。もう閉店しましたが、有り合わせのもので何かお作りしましょう。そのMSだけは、この先にある廃倉庫にでも隠してきてください」

スーン「すまない(指でズゴッキーのコバシに指示を出す)」

カリル・カシスは彼女に肩を貸しながら、こいつはどこのお嬢さまで、恵まれた生活を捨ててレコンギスタなどしたものかと考えていた。

いまや東海岸有数の資産家となったカリルは、痩せ細ったちっぽけなクン・スーンに肩を貸しながら、いままでにない優越感を感じていた。

カリル(天の国などといってもしょせんはスコード教の話。これが現実なんだよ、お嬢ちゃん)



(アイキャッチ)



この続きはvol:53で。次回もよろしく。



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