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「ガンダム レコンギスタの囹圄」第6話「恋文」前半 [Gのレコンギスタ ファンジン]

「ガンダム レコンギスタの囹圄」


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第6話「恋文」前半



(OP)


トワサンガ守備隊のガヴァン・マグダラを退けたメガファウナは、月への長い旅路にあった。その船内では姿の見えない敵について活発な議論が戦わされていた。

副艦長「国家がまともに治められていないということでしょうか」

ギゼラ「配給制を採っていればどの国も官僚国家になるでしょ。自由なのは中西部でソーラー発電しているアメリアくらい。あれだってフォトン・バッテリーに蓄電できればもっと余裕が出る。バッテリー技術はやはり開放していただかないと。ラ・グー総裁に頼めませんか?」

ドニエル「ベルリ、責任重大だな」

トワサンガの守備隊がザンクト・ポルトに下り、レコンギスタを試みようとしていた事実は、メガファウナの中で大きな議論になっていた。誰もが有権者として責任をもって物事を考えていることに、ベルリ・ゼナムは感心しきりであった。普段はクルーたちのそのような態度を見ることがなかったからである。以前の旅では、ベルリは同年代の仲間たちと常に一緒だったのだ。

現在の地球はキャピタル・テリトリィ、アメリア、ゴンドワンを中心に物事が動いていたが、ベルリは日本からユーラシア大陸を横断してゴンドワン南部まで旅をした経験から、世界には多くの国が存在して、様々な人々の暮らしがあることを知っていた。東アジアには熱帯雨林があり、資源の再生は確実に進んでいる。一方で砂漠化によって居住地域は限られていた。

もし宇宙から大量の移民が地球にやってくるとなった場合、それを受け入れられる地域はほとんどない。エネルギーと食料に応じて、人口はすぐに目一杯にまで膨らんでしまうからだ。宇宙で暮らす人々は、少しずつ地球に降ろすしか方法はない。だが、ムタチオンの存在がそれを許さない。

ではどうすれば物事は解決に向かうのか。ベルリはフォトン・バッテリーの配給停止がその答えであるのではと考え、身震いした。もしこのまま100年でもフォトン・バッテリーの配給停止が続けば、地球の人口は激減する。だがその分だけ地球へ移民する余地は大きくなるのである。

ラ・グー総裁の考えがもし地球人の数を減らして強制的に土地を奪うというものであるなら、自分はその不当をどういう理屈で訴えたらいいのか、ベルリはずっと考えていた。このままでは、宇宙に暮らす者たちと地球に暮らす者たちは、いつまでたっても分断されたままだ。

分断はさらに国家の枠組みに及び、身分や立場に及び、血族に及び、個々人に及んでいく。ベルリ・ゼナムとガヴァン・マグダラを隔てていた壁は、あらゆるものに及ぶ。人はこの分断を乗り越えるすべはなく、およそ2500年に渡って続いた宇宙世紀の歴史のように、再び戦い続けるしかないのだろうか?

スコード教とともにリギルドセンチュリーが始まって1000余年。なぜ人々はUniversal Centuryを捨て、Regild Centuryを使い始めたのか。どんな願いが込められていたのか。スコード教が広まったいきさつはどんなものなのか。

地球の資源を使い果たすまで止まらなかった戦争は、宇宙世紀時代において資源調達範囲を外銀河にまで拡大し、獲得した資源はすべて戦争で消費されたという。

人と人の間にある壊しがたい壁、これがある限り何をやっても人は戦争を続けるのか。戦争によって人が得ているものとは何か。何か得ているものがあるから、それを欲しているはずなのだ。得ているもの・・・、ベルリはメガファウナのブリッジの中を見渡した。

そこにあるものは、信頼だった。メガファウナの艦内では人と人の壁は少なく、互いの信頼で満たされている。・・・、これが戦争をすることによって人が得ているものなのだろうか? 人と人の隔たりに耐え切れなくなった人間は、他人との信頼を確認するために、意見の違う者と戦ってきたのだろうか?

信頼という不確実なものを確実なものと確認するために、戦争は必要とされてきたのだろうか。

ドニエル「ベルリが姫さまの全権大使だからな。責任は重大だ。聞いているのかベルリ」

ベルリ「自分の背負った運命というものがあります。姉さんはそれを自覚して役割を果たそうとがんばっている。自分に何ができるかわからないですけど、やってみます」

メガファウナは徐々に月に近づいていた。





シラノ-5にあるレイハントン家の屋敷にはひっきりなしに人の出入りがあった。ノレド、ラライヤ、ウィルミットの3人が屋敷に入ったときに家付きとして雇われていた女中たちに加え、いまではウィルミットを頼って政府関係者が多く出入りしている。

屋敷の周囲はラライヤが旧レイハントン家の家臣だった者たちを集めて作った近衛兵団が守備している。彼らは旧レイハントン家の家臣団だった者たちで、ドレッド家のレコンギスタ作戦に反対してレジスタンス活動をしていた人物たちであった。

ウィルミット「相手の出方がわからない以上、表立って動けませんよ。わたしはともかく、お若いふたりのお嬢さまの身柄の安全のこともあるんですから」

ウィルミットは声をひそめて近衛兵団のターニア・ラグラチオン中尉に話しかけた。ターニアは薄い褐色の肌に長い黒髪を三つ編みにした30歳の女性で、ラライヤと同じほどの背丈しかない小柄な女性で眼鏡をかけている。彼女こそラライヤをドレッド軍に潜り込ませた人物であった。

薄暗い部屋にはウィルミットとターニアのふたりしかいない。家付きの女中たちは誰の味方かわからず、あまり近づけないようにしていた。

トワサンガの事情について全く無知であったウィルミットも、キャピタル・ガード調査部のクンパ大佐がかつてヘルメスの薔薇の設計図を流出させるという大事件を起こした人物であることなどは報道を通じて知るに及んでいた。さらに彼女はトワサンガの予算書に精通したことで、その実情を深く知ることになった。

ウィルミット「かつてはザンクト・ポルトまでがわたくしの宇宙のすべてでした。(立ち上がって窓の外を見つめる)そこから先は神々の世界だった。しかしいまではよくわかります。人のいるところはどこも地球と同じ。神々の世界は心の問題だったのだと」

ターニア「人の心は変わってしまった。わたしも同じなんです。少女のころは、ビーナス・グロゥブは神々の世界で、トワサンガこそ人間の大地、地球は地獄のような場所だと思っていました。(肩をすくめて)ごめんなさい。お伽噺では地球は地の底なんです。重力の先に辿り着く場所。お話の続きですが、わたしたちもまだジムカーオ大佐については調査中でよくわからないのです。長官こそキャピタル・テリトリィの方ですからご存知だと思ったのですが」

ウィルミット「(首を横に振り)キャピタル・ガードにジムカーオ大佐なる人物はいなかったはずです。少なくとも自分は知りません。本人はレイハントン家の参謀であったと」

ターニア「レイハントン家にあのような人物はおりません。参謀などと・・・。前当主さまは聡明な方で、何事も自分で取り仕切っておられました。むしろそれが仇となってクーデターで殺されることになった。何もかも自分でお考えになり、取り仕切っておられたために、亡くなられるとすぐにレイハントン家は導く者がいなくなって倒れてしまったのです。しかし、アイーダさまやベルリ坊ちゃまが生きていればまだ違った。しかし、その忘れ形見もすぐにどこかへ消えてしまい・・・。当時まだ在学中でしたが、王政から民政、共和制への移行が軍の暴走に至るとは考えもしませんでした」

ウィルミット「(溜息をつきながら)それもクンパ大佐がやったことだとか。そのような方がキャピタル・ガードでのさばっていたとは・・・。(部屋の中を歩き回る)ピアニ・カルータというのでしょう? 闘争による人類の強化を訴え、戦いの種であるヘルメスの薔薇の設計図をばら撒いていたとか」

ターニア「レイハントン家はレコンギスタというものに反対しており、代替案として家族単位で地球に入植させるプランを持っていたのです」

ウィルミット「わたくしがまだキャピタル・タワーの課長補佐だったころ、政府に出向して農地拡大法を作ったことがあります。おそらくはそれがレイハントン家の再入植案の受け入れだったのですね」

ターニア「レイハントン家の計画は、キャピタル・テリトリィの政策に反映されていたと。(紅茶を飲んで少し休む)ヘルメス財団というのは謎が多くてわからないことが多くあるのです」

ウィルミット「ジムカーオ大佐はヘルメス財団の者だとも名乗っていました」

ターニア「ではなぜレイハントン家の参謀だったなどとウソをつくのでしょう? それともわたしたちレジスタンスが知らない秘密でもあったのでしょうか?」

ウィルミットはその問いに応えなかった。自分はどこまでこの問題に深入りすべきなのかまだ決めかねていたからである。

ウィルミットの希望は、すべてが元通りになることであった。安全に自分と法王とノレド、ラライヤを地球に連れて帰る。そしてクラウンを通常運転に戻して、ベルリとともに暮らす。

それが叶うかどうか、いまの彼女には自信がなかった。ベルリはトワサンガの王子であり、ノレドと結婚すればそのままこの巨大な岩の中の王となる。シラノ-5とは、シラノ・ド・ベルジュラックの鼻に似ていることからつけられた名前だという。あの、恋文を代筆した男のことだ。

ベルリが行ってしまう。どうすればいいのか。クラウン運航長官の職を辞して、自分もベルリとともにこの岩の塊の中で暮らせばいいのか? 誘拐されて地球に連れ去られた王子を、何も知らずに我が子として育てた愚かな義母として・・・。そんなことは決してできない。

ウィルミット「法王さまの安否は大丈夫なのでしょうね?」

ターニア「(はたと気づいたように)ああ、スコード教の。あの方は月の冬の宮殿に籠られたとか」

ウィルミット「冬の宮殿?」

ターニア「宇宙世紀の愚か者たちの記録が納められた場所です。ビーナス・グロゥブの許しがあり、フォトン・バッテリーの供給が再開されるまで出てこないつもりだとか」

ウィルミット「その話を信じたのですか?」

ターニア「信じるも何も・・・。地球はクレッセント・シップが地球を離れた途端に戦争が始まったと聞き及びます。もうあの方の権威は地に堕ちたも同然。地球人が戦争をやめ、ヘルメスの薔薇の設計図がすべて回収されれば、別の方が法王の座に就きましょう」

ウィルミット「(窓に駆け寄り)大変なこと! 大変なことになってしまった!」







トワサンガの新女王候補のノレド・ラグと近衛兵団団長のラライヤ・アクパールは、シャンクを使ってシラノ-5の中を歩き回っていた。彼らには武装した近衛兵が付き添い周囲を関していたが、ノレドとラライヤはどこへ行っても人気者で襲撃されるそぶりもなかった。

視察名目での外出であったが、どこまで行けば止められるのか調べる目的も兼ねていた。ところがどこまで行けども、ふたりを制止する者はいなかった。

ノレド「ジムカーオ大佐が今回の問題の黒幕だってのは外れたのかな?」

ラライヤ「んー」

ノレドは古めかしいドレスに身を包んでいた。最初にあてがわれたものはサイズが合っていなかったので、トワサンガで仕立て屋に作り直させたものであった。月ではなぜか西暦18世紀のアメリア風の衣装が定着している。なぜそうなったのかはトワサンガの住人も覚えていなかった。

ラライヤはブルボン王朝風の軍服に身を包んでいた。まだあどけなさが残る顔に男装の軍服姿は、新しいレイハントン家という未知なものへの不安を和らげる不思議な魅力を秘めていた。

そのとき突然フードを深くかぶった少女が道を塞いだ。少女はノレドに近づき何かを訴えようとする。少女は近衛兵に両腕を掴まれ地面に組み伏せられた。

少女「女王陛下、なにとぞ」

ラライヤ「(ピシャリと)やめなさい! その娘を立たせて」

シャンクから飛び降りたラライヤは少女に近づいて爆薬を巻き付けていないか身体を検めた。少女は爆弾どころか薄汚れたフード付コートの下は裸であった。ラライヤの目配せに応えてノレドもシャンクを降りた。少女はノレドの顔を見るやその裾にすがりついて涙ながらに訴えた。

少女「お願いです。すべてを元に戻すなどといわず、ドレッド将軍のようにみんなを地球に還すと約束してくださいませ。このままではトワサンガの血が絶えます。月の女王は人々を地球に導く者がなるべきなのです」

ラライヤ「(ノレドの顔を見て)この娘、ドレッド支持派のお子さんだわ」

ノレド「ドレッド支持派・・・。虐められたの?」

ノレドの問いに答える力は少女には残っていなかった。彼女はラライヤの腕の中で倒れてしまった。






喧噪の中で、少女は目覚めた。そこはレイハントン家の屋敷であった。彼女は埃と垢まみれだった身体を綺麗に拭いてもらい、ベッドの上で介抱されていた。

ベッドの傍にはウィルミットの優しげな顔があった。

喧騒は別の部屋から聞こえてきた。

ノレド「あんな小さな子まで家から追い出すなんてどうかしてる!」

近衛兵A「追い出すも何も、法王庁からフォトン・バッテリー供給停止の発表があってあっという間のことですよ。そのときどこのリングでもクレッセント・シップを迎え入れる準備で忙しかったんで、ドレッド家はすでに力を失っていましたし、政府の人々が指揮を執って祭りの準備に忙しかったんです。ところが法王庁の発表があって誰かが反体制運動を叫び始め、ほんの数時間でハザム政権は転覆、守備隊の連中とともにザンクト・ポルトに逃亡したんです。混乱の中で何があったかなんて」

ウィルミット「(少女に向かって微笑みながら)あなた、お名前は?」

リリン「リリンです。父は守備隊にいました。母は殺され、家は奪われました」

ウィルミットは立ち上がってノレドたちがいる部屋に入っていった。

ウィルミット「略奪があったのですか?」

近衛兵A「(帽子をとって)へい、面目ないことですが」

屋敷の前に車が到着した。窓から覗き込むと白いキャピタルの制服にマントをつけたジムカーオ大佐であった。ノレドは慌てて窓から顔を引っ込め、ラライヤとウィルミットにジムカーオのことを話した。

ジムカーオ「(汗を拭きながら登場し)これは申し訳ない。諸事多忙でございまして。(女中に向かって)すまないが、水をくれないか」

2階から降りてきたウィルミットは、ジムカーオを応接室へ通した。彼は息を整えながらソファに腰かけると、アジア系の顔に屈託ない笑顔を浮かべて話し始めた。

ジムカーオ「お喜びください。ハザム政権の残党がベルリ王子によって退治されたそうです。ザンクト・ポルトを占拠していた彼らは地球圏でアメリアのメガファウナと戦闘になり、2隻ともに撃沈との知らせでございます。これでベルリ王子は真の英雄として凱旋できましょう。メガファウナがどうしてここまで上がってきたのか理由は分かりませんが、何はともあれ、ベルリ王子が帰還となればすぐにでも婚儀の用意をいたしまして」

ウィルミット「(驚いて)まさか! あの子はまだ子供です。(狼狽して)婚約という話であったでしょう? それもお芝居だと。振りをするだけだと」

ジムカーオ「(真面目な顔で)ラ・グー総裁の意思を考えれば、もはや従うしかないのです。ドレッド家は王政から民政への移行と称してレイハントン家を打倒し、秘かにドレッド艦隊を作り上げた。守備隊もです。これらが取り除かれたならば、ビーナス・グロゥブからトワサンガへはフォトン・バッテリーもやってきます。次は地球の状況を何とかすれば世界は救われます。そうではありませんか?」







そのころ2階では、ラライヤが屋敷を脱出するために縄梯子を窓から吊るしていた。

ラライヤ「ノレド、早く準備を」

ノレド「ちょっと待って(ノレドは白い封筒を書斎の机の引き出しに隠した)これで良し」

ラライヤ「何を隠したの?」

ノレド「内緒だよ(声をひそめて)ベルリへのラブレターなんだ。日本で別れてからもう何か月も逢ってない。どんな形でこれを読むかわからないけど、心を込めて書いてみました。へへへ。ノベルは机の中に隠れてこれが他の誰にも見られないように見張ってるんだよ。わかった?」

ノベル「ノレド、リョウカイ。ノレド、リョウカイ」

ラライヤ「(微笑んだ後に真面目な顔になり)あのジムカーオ大佐というのは信用できません。こんなところに閉じ込められていたら操り人形にされるだけです。リリン、あなたも来なさい。みんなで一度逃げて、どうなるか観察するのです」

ラライヤはリリンを抱きつかせたまましっかりした足取りで縄梯子を伝って下へ降りていく。ノレドはいつものスカートに着替えてリュックの中に食べ物を詰め込むだけ詰め込むと、それを背負ってラライヤの後に続いた。






ジムカーオ「ですから(視線を落とし)いや、自分が性急でした。お詫びいたします。たしかに若いおふたかたの気持ちも考えず婚儀を言い出したのは謝罪いたします。しかし、ことの重大さは長官もお判りでしょう? ベルリ王子をこのまま地球に置いておけないこともご承知のはず」

熱弁するジムカーオの背後の窓にリリンを抱えたラライヤの姿と、続いてノレドの姿が見えた。ウィルミットは視線の端でそれを確認して、3人が脱出するまでの時間を稼がなければと、またしても慣れない芝居を打つことになった。

ウィルミット「誰が何と言おうと、ベルリはわたくしの子です。(席を立って窓の反対側に歩いていく)将来を嘱望されている優秀な自慢の息子なんです」

ジムカーオ「(困り果てた顔で)王子はピアニ・カルータに誘拐されたのです。籍をレイハントンに戻すことはご理解いただきませんと。それは絶対に譲れないことです。地球の人口は約7億人です。個人の自由のために7億の人間を見殺しにするなどという選択肢があるのですか?」

ウィルミット「失礼でございますが、わたくしはキャピタル・タワーの長官として長年務めさせていただきましたけども、ガードの調査部にあなたのような人物がいるとは聞いたことがないのです。身分は大佐とのことですが、あなたがクンパ大佐と一緒ではないという証拠などはあるのでしょうか?」

ジムカーオ「そのことはいずれお話しできると思います」

ウィルミット「なぜいまお話ししてくださらないのですか?」

ジムカーオ「それはヘルメス財団の・・・、あッ」

屋敷に轟音が響き渡った。ジムカーオが窓の外を振り返るとG-ルシファーが浮かび上がっているのが見えた。G-ルシファーの轟音で会話が聞き取れないとみたジムカーオは、その音が遠ざかっていくまでソファから立ち上がりかけた姿勢のまま待った。窓には縄梯子が揺れてコツコツと音を立てていた。

ジムカーオ「(憤慨しながら)どうしてこう誰もかれも勝手なことばかりするのだ。(ウィルミットに向き直り)自分に対して疑義をお持ちのようだが、自分がキャピタル・ガードの所属でレイハントン家の家臣であったのはウソ偽りのないことです。そもそもキャピタル・ガード調査部という組織が、ヘルメス財団の地球を監視するためのスパイ組織なのだといったら信じますか?」






ノレド「ふわあ、落ち着くぅ(ノレドは久しぶりに着たミニスカートにホッと安堵の息を漏らす)あの衣装、疲れるのよね」

ラライヤ「コルセットがきついのでしょう? リリンもその服、似合ってますよ」

ラライヤはリリンに微笑みかけた。彼女はシートベルトで座席に固定させられ、短い脚を前に投げ出していた。彼女が着ている子供服は、そのむかしアイーダが身に着けていたものだという。

ノレド「ラライヤもその軍服姿、すごく似合ってる。あたしの近衛隊長さんなんだから頑張ってよー」

G-ルシファーに乗った3人は次々とハッチをかいくぐり、15番ゲートから宇宙へ脱出した。

ラライヤ「長官に聞いた通りなら、法王さまは月にある冬の宮殿にいるはずです。いまから救出に向かいます」

ノレド「そういえば、前に言ってたよね。月にはもうひとつの人類がいるんだって」

ラライヤ「月の民、ムーンレイスといいます。でもそれはお伽噺のことで、月で眠っているとはいいますが、本当かどうかは・・・」

ノレド「なんで分かれて暮らしてんだ? 同じ人間なのに」

ラライヤ「わたしも詳しいことは知らないのです。しかし、500年ほど前、わたしたちの祖先がまだ月の衛星軌道に到着していなかったころ、1度地球への帰還を試みて断念した人々だとか。彼らは地球に帰還する日まで、交代で眠っているといいます。彼らをサポートする仕事もあるとは言うのですが、本当のことは誰にもわからない。眠っている人の中には宇宙世紀時代の人もいるとか。法王庁の方々以外、彼らと交わるのはタブーなんです」

ノレド「(いたずらっぽく笑って)本物の月の女王さまがいたりして」



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この続きはvol:32で。次回もよろしく。












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