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【纐纈のYouTube道場】次回は朝倉海とコラボ予定 [プロレス・格闘技]

【纐纈のYouTube道場】

動画を観ても感想記事を書けないことが増えた。次から次へと見ていくためだ。

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朝倉(未来·海)兄弟を輩出した「禅道会」創始者の護身術が凄かった!

漫才のツッコミのような裏掌底でもかなり効かせる打撃が撃てるという話。護身術を実戦で使う場合、相手はどこから来るかわからずむしろ死角から襲ってくることの方が多い。そのとき咄嗟に身を守るために手を払うように相手にツッコミを入れるのだが、身体の使い方ひとつでこれがかなりの威力になるという話。

【三日月蹴り】KOできる空手家の蹴り方!絶対に怪我しない方法

禅道会の選手に三日月蹴りの蹴り方を伝授する回。身体の使い方は他の蹴りの方法と基本そんなに変わらないが、足の指が曲がらない人のための簡単な柔軟を教えてくれている。本当に簡単で、家で誰でも練習できそう。おっさんで指が20度くらいしか曲がらないオレも目下練習中。でも1週間くらい前に纐纈道場の練習をやりすぎて捻挫しちゃって。嫁にバカにされているところ。でもあれなんだよな、蹴り方は昔佐山さんに教わった方法と大きくは違わない。あれで正しかったんだなって確認しているところ。

構え方で変わるプレッシャーの強さ!組手で圧力負けする人必見!

これは格闘技をやっている人は体感的に知っている話で、押されて圧倒されないように腕をいったん上に上げて構えることの大切さを筋肉の知識を使って理論的に説明している。オレも無意識にやっていたけれども、実は全然知識としては知らないことだった。今回は空手の話だが、実は柔道でも圧力の強い選手はみんな腕を上げてから袖や襟を取りに行く。圧力をかけないタイプの選手は下から腕を上げて襟をガードしながら常に引くことを意識して前に出る。空手は押し合いの要素も強いので、たしかに構えができないだけで不利になりすぎる。

<雑感>

ちょっといま捻挫していて動けていないけれども、本当に勉強になるんだわ。本当はもっとたくさん動画を見ているのだが、感想記事を書くより動きたくなるような実践的なものばかりなので、身体を動かしちゃうんだよね。

ローキックを効かされない技術ってシリーズがあって、現役のときに教えてくれよって。せっぱり世界一になる人はみんなすごいよ。強いだけじゃなくて言葉で説明できてしまうところに若い人の頭の良さを感じる。

そして次回(まだ公開されていない)は朝倉海選手とのコラボ企画。纐纈氏のヤバい蹴りの技術を朝倉海くんに伝授したそうだ。海くんはパンチの技術もすでにかなりのもので、その家臣が前傾姿勢になってカーフキックを食らって負けてしまったのだが、纐纈氏はカーフキックのガード方法の動画も上げていて、これがまたなるほどと膝を打つすごい技術解説なんだわ。

ホント勉強になるよ。











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「Gレコ ファンジン 暁のジット団」vol:103(Gレコ2次創作 第41話 後半) [Gのレコンギスタ ファンジン]

「ガンダム レコンギスタの囹圄」


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第41話「共産革命主義」後半



1、


ハノイからホーチミンに、大量の難民が押し掛けてきた。ベルリたちにその話がもたらされたのは、翌朝になってからであった。宿は人でごった返し、ベルリたちの部屋にはスコード教徒有志による護衛がつけられた。物々しい様子にリリンが怯えて、ノレドのそばを離れなくなった。

一行の宿泊先に、ホーチミンの市政関係者とスコード教関係者が押し掛けてきた。彼らとともに大勢の野次馬も押しかけ、宿の主人はこれを好機と箱に入った朝食を安価で売り付けて金儲けをしていた。どうやらベルリ一行はただの旅人ではないようだと知った主人は、彼らのところには若干多く盛った朝食を届けてきた。会見が持たれたのは、ベルリたちの食事が終わってからであった。

「ハノイに総督と呼ばれる人物が大陸から派遣されてきたそうなんですが、彼が初日に発表した新しい配給に関する話と、ノルマに関する話を聞いたハノイ市民の一部が、夜逃げしてきたようなのです」

「配給が少なすぎたのですか?」ベルリが尋ねた。

「配給を大陸通貨で行うと発表があったようなのです。銀行はキャピタル通貨と大陸通貨を交換する人で溢れたのですが、キャピタル通貨がすぐに底を尽いてしまい・・・」

「エッ、待って! 逆じゃないの?」ノレドが驚いて叫んだ。「大陸通貨に切り替わるのに、みんなキャピタル通貨に交換しようとしたの? キャピタル通貨は、フォトン・バッテリーの配給が止まって不安定になったんじゃないの?」

「相対的な信用度の問題です」スコード教の司祭が応えた。「大陸が砂漠化で食料が不足気味なのは有名な話なので、そんな国が発行する通貨を毎月ただで配られて、生産した食料はすべて供出させられて、本当に食べていくことができるのか不安になったようですね。まだしも米を配った方が良かった」

「それに」ホーチミンの役所の人間が横から口を挟んだ。「共産党から逃れようとすれば、当然キャピタル通貨が使用されている地域に逃げるでしょう? ハノイで革命が達成されて、それから逃れるのに革命の総本山である大陸に逃げる人間はいない」

「自分たちでサムフォー司祭を殺したんでしょう!」

「そうなんです。だから彼らは、サムフォー司祭の寡婦のところに救いを求めに行けない。革命は取り返しがつかないですから、彼らが元の生活に戻るには別の何かにすがらなくてはならない」

「それがぼくってわけですか」ベルリは仏頂面で呆れていた。「ハノイの皆さんは、サムフォー司祭は王さまのように傲慢だったと憤っていたはずです。それなのにまた王さまを求めるんですか? 自分たちが王さまになるために革命を起こしたはずじゃありませんかッ」

「そんな覚悟、誰にもなかったんですよ。もっといい王さまが来るはずだって、勝手に思い込んでいたんです。そしてやってきた共産党の王さまは、自分たちから米を取り上げて、見慣れない通貨を配ると言い出した。通貨は地域を表します。キャピタルの通貨は、広く世界を覆っていますが、大陸の通貨は砂漠の大陸だけです。香港と台湾がそれに飲み込まれようとしていますが、日本は彼らと対立している。まだしもキャピタル通貨の方が安心感がある。大陸の共産党は、これから世界侵略を開始するでしょう。それは通貨戦争でもあるんですから」

話を聞くと、ハノイからの難民は、国境地帯に設けられた強制収容所に入れられ、わずかに懐に締まってきたキャピタル通貨で食料を買って飢えを凌いでいるのだという。ホーチミン市は彼らに施しをする予定はないようだった。ベルリはこの対応にも怒りを露わにした。

「それって人道的にどうなんですか?」

「人道とおっしゃるが」役人が応えた。「スコード教の司祭に守られて発展した土地をわざわざ共産主義者に献上してすっからかんになった彼らが、働きもせずにホーチミン市民から搾取することが人道的なのですか? ホーチミン市民は、無職たちの奴隷ではありません」

「土地はあるんでしょう! 彼らは貴重な労働力じゃないですか。土地を与えて、開墾をさせれば」

「土地はあります。でも水が足りません。北部の水源地を共産党に取られてしまっているので。こっちだって死活問題なんですよ。有り余るほど米があれば、そりゃ何とかしてあげたいですよ。でも、キャピタル銀行の支店の職員だってもうハノイから逃げてきているんです。もうあの土地の評価をするのは我々の陣営の人間ではない。共産党員なのです。共産主義革命を起こせば、共産主義世界の評価に身を委ねるしかないんです。自由民主陣営の価値観や評価基準は通用しなくなる。文字通り世界が変わるんです。革命を起こす人間は、新しい世界のことを何も知らずに新しい世界へ飛び込む。そして絶望するんです。未知の希望が既知の絶望になったとき、革命の愚かさを知ることになる。人間がやることなんて変わりゃしないのに、何かが変わると思い込んでしまうんです」

スコード教の司祭が話を継いだ。「人の絶望の根源は、果てしない労働です。命ある限りずっと働かなきゃいけない。生きるためには労働がついて回る。だから人間はいつも絶望の淵にいる」

「それをスコード教の司祭が口にするんですかッ!」

ベルリが激高して席を立ったのを危うんだハッパは、彼に抱き着いて無理矢理席に座らせた。ベルリの怒りが理解できなかった司祭は、彼をスコード教の仮の法王にする話を切り出せないままいったん席を外すことになった。

部屋に取り残されたベルリたちは、頭を抱え込んだベルリを静かに見守るしかなかった。

「ぼくは考え違いをしていたのか?」ベルリは独り言のように呟いた。「スペースノイドの規範をアースノイドに植え付ければ、アースノイドも必ず変われるって思っていた。だから、地球の若者をトワサンガやビーナス・グロゥブに送って一定期間訓練すれば、スペースノイドとアースノイドの間の溝は解消されていくと思っていた。でも、労働が絶望の源なんて。宇宙でそんなことを言えば、すぐに空気も水も供給されなくなって死んでしまうのに」

「まぁ、そうなんだけどさ。まだそれは実現していないわけだから。変化のきっかけをつかんでいない人に絶望したって始まらない。それより、ぼくに考えがあるんだ。ベルリは自由民主主義や共産主義に肩入れするのは嫌かもしれないけど、水源の話があっただろう? あそこだけでも取り返して、ホーチミンの人間を安心させてあげないか」

「水?」

「土地はあるけど、水が足らなくなるかもしれないって言ってたじゃないか。水源を抑えれば、事態が好転するきっかけになるかもよ。それを君らでやってくれないか。ぼくは、もう一度ハノイに潜入して、共産主義の実態を調べてみようと思うんだ」

「わたしは反対」ノレドが言った。横でリリンも睨んでいた。「ハッパさんは危ないことをすべきじゃないよ。ただでさえディーゼルエンジンが狙われる立場にあるのに」

「大丈夫さ、こう見えても逃げ足は速いんだ。無理はしないよ。通信機の性能を上げて、ガンダムに助けを呼べるようにしたら問題ないだろう?」

「だったらあたしも行くよ。王さまを殺してしまうことの意味を知りたいから」

ノレドの提案は、ベルリ、ハッパ、リリンいずれも反対だったが、反対されるとノレドは意固地になってハノイに潜入することにこだわった。

「こう見えてもわたしはトワサンガ大学の学生だからね。スコード教の司祭がいなくなった世界を見ておきたい。フィールドワークの自由を妨げることは、ベルリにだってできないはずだよ。それに、世界を見ておかなくちゃ答えは出ない。答えが出なくちゃ、カール・レイハントンには勝てっこないんだから」


2、


反対するベルリを押し切ったノレドは、ハッパとともに再びハノイに潜入することになった。ベルリとリリンは不本意ながらもホーチミンの民兵と北部の水源地域を奪還する作戦に参加することになった。次期法王に推挙されているベルリの作戦参加に、民兵たちは沸き返った。

「宇宙世紀時代には人類はかなり長距離の交信も可能になっていたというけどね。どんな技術を使っていたのかわからないんだ。でもこのガンダムなら、きっとノレドの声を拾ってくれるさ」

ハッパは心配するベルリにそう言い聞かせて、ノレドを連れて山岳地帯からハノイを目指してモビルワーカーを走らせた。ノレドは後ろの荷車に乗車していたが、やがて飽きてハッパにモビルワーカーの操縦やディーゼルエンジンの話などをしてくれとせがんだ。

「内燃機関は一時期地球で盛んに使われた技術だったんだけど、排ガスの影響とエネルギーの枯渇によって電気に取って代わられたんだ。人類が100億人もいる時代に、多くの人が火で走る車に乗っていたというんだけどね。そのあとは電気が主流になったそうだけど」

「その電気自動車のバッテリーは何だったの?」

「全固体電池やその前は電解液って言われている。この技術が失われていて、フォトン・バッテリーに依存することになっているんだ。それに容量がフォトン・バッテリーよりはるかに少なかったらしい」

「アメリアってそんなに発掘品の解析が進んでいたんだ」

「キャピタルへの対抗意識だよ。それに、ヘルメスの薔薇の設計図からの情報もあったからね」

「エネルギーがなくっちゃ人は森を破壊していくし、多くありすぎたら戦争しちゃうし、どうしてこう上手くいかないんだろう。もっと計画的にやれないものなのかな?」

「共産主義というのは、計画経済だと言われているけど・・・。トワサンガに限らず、宇宙は共産主義体制に近くなるというか、労働なしに生存環境が維持できないから、否応なしに人は労働のための知識を身に着けて、当たり前のように労働に従事する。労働が絶望なんて言っていたら、宇宙では生きていけない。でも地球はそうじゃないからね。地球でトワサンガのような労働本位制って成り立つのかな?」

ハッパとノレドは、荷車を譲ってくれた農家に身を寄せることになった。粗末な農家には老人が夫婦で済んでおり、子供はハノイに働きに出たきり戻らないという。

「もう見ての通りの年寄夫婦だで、動くシャンクで手伝ってくれるならこんなありがたいことはない」

老夫婦はふたりを若夫婦だと勘違いしたようで、宿泊用に小さな小屋をあてがってくれて、その晩は飼っていた鶏を潰してもてなしてくれた。老夫妻は共産主義や自由主義のことはまるで分らず、前任者のサムフォー司祭のことも領主だと勘違いしていた。聞くと、集落の人間はいつも身綺麗にしていたサムフォー司祭が何をやっている人なのか知らないまま彼に従っていたのだという。

「新しい領主さまは、スコードがなんとかいう話はせんようになったな。ここらには地の神さまがおるでな。ああいった話はよくわからんかった。でも、新しい領主さまは、植えるもんを変えろとか、収量を上げろとかうるさくてな。もうわしらは老人だから、自分が食える分だけ採れればよかったのに、どうすりゃいいのか困っていたんじゃ。あんたが手伝ってくれると助かる」

ノレドが尋ねた。

「地の神さまがいると聞いたサムフォー司祭は何と答えたのですか?」

「地の神さまもスコードだからいうとったわ。あの人は細かいことはうるさく言わん人やったからわしら年寄は信頼しとったけどな。若いもんはスコードも地の神さまも信じないでな。信心なんか遅れた人間がやるもんじゃ言うて。毎晩集会に出かけてな、何事か話し合って、挙句あんなことになってしもうた。シャンクがこのまま動かせなんだら、どうやって収穫すればよいやら」

ハッパが質問した。

「サムフォー司祭はフォトン・バッテリーを使ってシャンクを貸し出してくれたわけでしょう。新しい領主さまというのは何かくれたんですか?」

老夫婦は顔を見合わせて、奥から紙の束を持ってきてくれた。

「これがカネじゃ言うてな。前の領主の持ち物をみんなに配るからといってくれたのがこれ。わしらは動くシャンクを貸してくれりゃよかったんじゃが」

「これで物は買えるんですか?」

「買えるとは言うけれど、持っていっても嫌な顔をされるな。だけどわしらが使っていた前のカネはもうないんじゃって。だからこれで何とかせにゃならんのだが、これでは米も買えんし、せめて配給してくれんもんかと」

腕組みをして考え事をしていたハッパは、ある提案をした。

「使い道がないなら、明日からぼくらが働く報酬としてそれをいただけませんか?」

「やるよ」

「そうはいかないので、とりあえず働かせてください。その報酬でそれをいただいて、ぼくらは市街地へ行ってそれで何が交換できるか調べてみます」

翌日朝から老夫妻の畑仕事を手伝ったハッパとノレドは、分配された大陸の紙幣を貰い、モビルワーカーを老夫妻に預けると、歩いてハノイ市内へと向かった。

まずは宿を探すことになったが、支払いを大陸の紙幣で済ませたいと申し出ると、露骨に嫌な顔をされた。ところが宿の看板には新紙幣での料金が書かれていたので、ハッパにそれを指摘された支配人はしぶしぶふたりを泊めることを了承した。

「どういうことなの?」ノレドが尋ねた。

「インフレさ。おそらくはこうだ。サムフォー司祭の私有財産は、共産主義者に没収された。しかし、物のままでは配分できない。そこで新紙幣で住民に支払った。まぁ、配分しただけマシとはいえるが、たとえサムフォー司祭が金銀財宝を隠し持っていたとしても、全員に平等に分配すればそれはわずかなものだ。革命に参加した人らはそれでは納得しないから、紙幣を多く支払った。それでみんな紙幣は持っているけれども、新紙幣の信用がないから、物と交換はできないんだ」

「それじゃおカネの意味がないじゃん」

「そこで、共産主義者がモノやサービスの値段を決めて、それで交換するように命令を出したのさ。それに従わなければおそらく罰則があるのだろう。一方でキャピタル通貨は信用があるから、銀行に交換の人が殺到してあっという間にキャピタル通貨は底を尽いた。いま、キャピタル通貨はここでは大変な価値があるはずだ。ノレドはいくら持ってる?」

「あまりないけど、1週間分くらいは」

「それがどんな価値になっているか調べれば、大陸通貨のインフレ率がわかる」


3、


法定交換レートと実際のレートの差は、100倍以上で、その差はますます開いていた。

「どういうこと?」ノレドは首を傾げた。

「ノレドは1週間分くらいならお金を持っていると言っただろう? それが少なくとも100週間分になったってことさ。」

「おカネが増えてもいないのに?」

「こういうことがあるから通貨をユニバーサルスタンダードにしたんだけど、北の大陸は物資が枯渇しているんだろうよ。ハノイから物資を徴収して、自分たちが決めたレートで自分たちが発行する通貨をばら撒いているんだ。それでおカネとモノのバランスが崩れてお金の価値がどんどん落ちているんだ」

「解決方法はあるの?」

「物資を大量に供給していくしかない。ひたすら。もう誰もモノに見向きもしなくなるまで。とりあえず秋に収穫されるコメが出回れば落ち着くかもしれないが、それを大陸に持っていってしまうと大変なことになるね。新紙幣は紙切れになる。そして住民は紙切れのために収穫物を全部差し出さなきゃいけない。ところがそのコメはシャンクが動かないのと労働者不足で減収になるのは間違いない。このままでは餓死者さえ出そうだ」

「なんでユニバーサルスタンダードをやめちゃうんだろう?」

「キャピタル通貨は中央銀行がかなり厳格に価値を決めて通貨供給量を絞っていたからね。通貨は安定しているものだって固定観念が強くなりすぎていた。でもなかなか思うようには稼げない。だったら自分たちで通貨を発行すれば、みんなにもっと多くの通貨が行き渡って、みんなが豊かになると安易に思い込んだのだろう」

「上手くいかないものなんだね」

「日本なども、企業の財務が痛んでいるのに、通貨発行の権利がないからバランスシート改善のために多くの努力をしなきゃならなかった。ディーゼルエンジン技術に賭けたのも、新技術で通貨供給量を増やしてもらいたかったこともあるんじゃないかな。企業の財務が痛んでいるときは、通貨供給量を増やすべきなんだけど、キャピタルがあんなことになっていたし、中央銀行が機能しなかったんだ。クリム・ニックは余計なことをしてくれたよ。彼には彼の考えがあったにしてもだよ」

ノレドの郷里キャピタル・テリトリィは、クリム・ニックのゴンドワンとルイン・リーのクンタラ解放戦線の攻撃で一時的に大量の投資が行われ、ふたつの政権が相次いで倒れたことで投資されたほとんどの債権が焦げ付いてしまっていた。キャピタル・テリトリィ中央銀行は自国内の経済立て直しに躍起で、地球の裏側にある東アジアまで目が回らなくなっていたのだ。

キャピタル・テリトリィは通貨の安定を第一に考え、金融の引き締めと不良債権処理を同時に行った。通貨供給量の減少とフォトン・バッテリーの配給停止により不満が高まり、共産革命主義に火をつけてしまったといえた。資本へのアクセスが細り、エネルギーが枯渇して、食料の買い溜めが起こった。追い打ちをかけるように、穀物をエネルギーにするとの噂がバイオエタノールエンジンで起こって、民衆は不安のうちに理想的な社会体制は何かと考え始めたのだった。

北の大陸は、地球連邦成立以前に共産革命が起こったことがあり、アメリアより多くの共産主義に関する資料が残っていた。それらは発掘品であったが、学者によって欠損部分が都合よく解釈されて、誰もが平等で公平な理想社会だと宣伝された。宇宙世紀の地球連邦政府は、相次ぐ戦争によって地球を人間が生存できなくなるほど崩壊させた社会体制だと考えられていたので、地球連邦政府を悪だと教え込まれた人々は、それに敗れた共産主義体制を理想郷だと簡単に信じることになった。

「アメリアはそうじゃないんだね」

「ちがうね」ハッパは首を横に振った。「アメリアではもっと共産主義は否定的に捉えられている。もともと移民国家で、物質的な豊かさしか共通の利益にならなかったゆえに、物質的な豊かさを追求するには共産主義は不適格だとされている。こうしたことは黒歴史以前のことだから、本当のところはよくわかってはいないんだけどね」

ふたりは大通りの両側に商店が立ち並んだ地域を散策してみた。以前来たときより明らかに物資が不足していた。新紙幣で物を買おうとするとそれは品切れだと断られるが、キャピタル通貨をちらつかせると奥から物が出てくる。物資不足は、絶対数の不足もあっただろうが、主に売り惜しみによる行為が原因に思われた。店主たちは、明日には価値が半分になるかもしれない通貨より、価値が倍になる通貨を欲したのだ。それが小売りだけでなく、流通や卸しなどでも起こり、さらに役人の横領などが相まって物資は市場に出て来なくなっていたのだ。

一方で闇市は盛んであった。闇市ではモノの価格は自由に設定され、相手が欲しがればどんなモノでもカネになる。新通貨も、紙幣ではなく棒状の金属貨幣には値が付き、額面が逆転するような現象すら起こっていた。民衆は日々の生き残りに必死であり、相手を誤魔化すことばかり考えるようになっていた。ハノイは、正直な人間が損をして、ウソつきが得をする社会になっていた。

「これが理想社会なの?」ノレドはおかんむりであった。「世の中には悪い人しかいなくなってるじゃん。スコード教の司祭を殺してまで手に入れた社会がこんなのでいいの?」

ハッパは眼鏡を直しながら、大通りの両側に立ち並ぶ商店をつぶさに観察していた。

「食糧の加工品が明らかに減っている。加工すると、日持ちがしなくなってその日に売り切らなくちゃいけないから、足元を見られて安く買い叩かれるんだ。保存のきくコメはほとんど通貨のようになっている。店頭に並んでいるのは、保存に適したコメと乾物だらけ。あとは原材料費が掛かっていない手作りの物品だけだ」

ふたりは道に茣蓙を敷いた老婆が売っていた、粗末な素焼きの壺に入ったヨーグルトを買った。量はたくさんあり、美味で、価格も驚くほど安かった。

「このヨーグルトは、老人の家で焼いた壺と、家畜の乳を加工して作られているんだろう。家畜の乳は毎日絞って売り抜けなければいけないから、価格が安くなって、安いがゆえに誰も見向きもしなくなっている。おそらく、共産政権が制定した価格表ならもっと高く売ることもできるのだろうが、それを求めてしまうと生産品として届けなければいけなくなる。共産主義では、生産品は同時に分配品だから、その分の税を徴収される。生産した分をすべて徴収されるから、売れ残りがあると途端赤字になる。だから生産品として届を出さずに闇市場で売っているんだ」

「みんなで作ってみんなに分配するってそんなに難しいことなのかな?」

「作って分配するって言ってもさ、共産主義者は絞った牛乳を毎日回収しないだろ? 全部労働者がやるんだ。労働者は必要な場所に配置されて、毎日決められた労働をこなす。でも、牛乳を現物で徴収して分配なんかできないから、結局通貨でやるんだ。信用のない通貨でね」

ときたまやってくる客は、老婆に紙幣で対価を支払った。老婆は何度も頭を下げて感謝した。そこにひとりの人相の悪い男がやってきた。彼は金属の通貨を懐から取り出して、老婆に紙幣との交換を迫った。老婆は脅かされるわけでもなく交換に応じた。なぜなら、新通貨の紙幣ではモノが買えないからであった。老婆がその日暮らしを強いられていることは明らかであった。

その姿を見てノレドは憤慨した。

「あれ見てよ! 全然額面が釣り合っていない!」

「あの男はおそらく何かの商売をしていて、たくさん税を払わなければいけないか、そんな人物に紙幣を安く売りつける業者なんだろう。たくさん税を払う人間にとって、紙幣の価値下落はありがたいことさ。指定された分を安く払えるからね」

「でもあんなの公平じゃないよ。何のための額面なの?」

「まぁ、そうとも言い切れない。あの老婆だって、やせ細っているわけじゃないだろう? 収穫を少なく申告して、家に食べ物をたくさん隠しているんだ。だから、彼女は必要な物資をここで調達できるだけの金属通貨が手に入ればいい。そういう理屈でこの闇市は成り立っているんだよ」

「共産主義ってウソばっかりじゃん!」

「ハノイは体制移行間もないから、物資が不足しているのと、体制の不備もある。物資が豊富になって通貨が安定した共産主義の世界を見てみたいけど、そんな場所がこの世界にあるのかなぁ」


4、


スコード教のサムフォー司祭は、キャピタル・テリトリィへの留学経験もあるエリート司祭で、経済にも明るかった。彼はハノイに中央銀行の支店を作り、通貨供給の仕組みを整えたばかりでなく、地域の生産性の向上に取り組んで、物々交換に頼っていた地域の経済を近代的なものに変えた。

しかし民衆の一部は、その事実を理解せずに、彼を不労所得を得る資産家、支配階層であると位置づけた。彼は労働者からの搾取によって不当に資産形成した人物と陰口を叩かれ、まるで王のようだと揶揄された。サムフォー司祭は、それらの悪口にいちいち構うことはなく、エネルギー枯渇問題に備えて新たな発電と送電について思いを巡らせていた。発電機は高く、エネルギーも買おうとすれば民衆の経済を破壊しかねない。送電のための銅もない。地球の資源は枯渇していたのである。

そこで彼は、エネルギー輸出地域になるべく、いち早くサトウキビの生産を打ち出した。資源原料の輸出実績を作り、それを担保に借金をして、バイオエタノールプラントを建設して、さらには新型ディーゼル発電機を導入しようと考えたのだ。

その試みは、彼があずかり知らぬところで研ぎ澄まされていた革命の刃によって頓挫した。革命者はキャピタル・テリトリィを中心とした世界標準を否定して新たな標準を作ろうとしたために、旧体制のものは何でも破壊されてしまった。中央銀行支店は間もなく閉鎖された。

民衆は、扇動者によってサムフォー司祭の資産を多く見積もって垂涎していた。支配層の資産家を縛り首にすれば、民衆こそが王となり、不正蓄財されたものは全部還元されると吹き込まれていたのだ。

ところが、扇動者の言葉とは裏腹にサムフォー司祭は清貧な人物であった。彼の一見豪華に見える住まいと教会は、交渉事を円滑に進めるために必要なものだった。彼の資産と目されたものは張りぼてもいいところで、資産家から投資を勝ち取るための虚飾に過ぎなかった。そして彼には、多額の借金があった。生産性向上のために司祭は農作業用のシャンクを買いつけていた。ハッパのモビルワーカーと同じように、それはアグテックのタブーぎりぎりの代物だったために、大変高価なものだったのだ。それを個人の借り入れで買い揃え、農家に貸し出して生産性を上げていたのだ。

ハッパとノレドは、潜入したハノイでの調査によって、サムフォー司祭には資産と呼べるものはなく、借財だけがあったと結論付けた。その借財は革命によって不渡りとなったために、投資家はこの地域を見限った。収穫を上げることで高値をつけた地価は評価額がゼロとなった。それどころか、何もかもが共産党の所有物となり、地域監視官が細かく決められて、彼らは住民に賄賂を要求し始めた。

分配されるのは、紙切れに等しい紙幣ばかりで、税とは別の名の負担ばかりが増えた。当然民衆の不満は高まったけれども、理想主義者を自称する者たちは、生活が苦しいのは理想が実現していないからで、理想が実現すれば何もかも良くなると民衆を諭した。それでも逆らうものは、理想を疑う思想犯として大陸の強制収容所に送られて、思想教育を受けさせられた。

「なぜなら、理想は絶対で、それに代わるものはないからです」

地域監視官に任命された北の大陸の男は胸を張った。ハッパとノレドは、彼らを刺激しないように慎重に調査を進めていたが、民衆の不満が日々高まっていく中で、突如当局の思想取り締まりが厳しくなった。すると、旅行者を装って長期滞在しているふたりは当然怪しまれ、尾行されるようになった。

「まだまだ知りたいことはあるが、そろそろ逃げなきゃいけないね」ハッパは明かりを消した部屋で声を潜めた。「ガンダムはそろそろ水源地帯を制圧しているころだ。農家に戻って、モビルワーカーで約束の場所へ行ってみよう」

「どこへ行かれるのかな?」

ハッパたちが宿を抜け出したところ、見張りらしき憲兵に呼び止められた。旅行者として内偵していた彼らは知らないうちに密告されていたのである。

ハッパとノレドは引き離されて連行された。ベルリからノレドを預かったとの意識があるハッパは、ノレドだけでも逃がそうと憲兵の腕を噛んで激しく暴れた。そのために彼は銃床で首筋を強く殴られて気絶してしまった。ぐったりとしたハッパは担がれて連れ去られていった。

「ハッパさんッ!」

ノレドも掴まれた腕を振りほどこうと必死に抵抗したが、両脇から腕を絡ませられて持ち上げられるように連れ去られてしまった。ノレドは馬車に押し込められた。馬車には他にも多くの政治犯が腕に枷を嵌められ、首に縄をかけられたまま詰め込まれていた。

ノレドも同じように枷と縄を結わえ付けられ、憲兵に連行されていったのだった。



ハッパとノレドを見送った後、ベルリはホーチミンの民兵と作戦会議を行い、水源地奪還作戦に参加することになった。とはいえ、ベルリはこの作戦には乗り気ではなかった。なぜなら、水源地を巡って戦争になれば、その奪い合いを理由とした戦争が継続的に勃発することになりかねなかったからだ。

しかしこのまま手をこまねいて、共産主義者に先手を取られたままでもいられない。何らかの打開策を提示しないで、ただ反対するだけでは誰もついてきてはくれない。

「我々にとって最も理想的なのは、ベルリさんがスコード教会の法王になって、水源地のみならず自由主義陣営の全軍を率いて共産主義者と戦ってくれることなのです」ホーチミンの枢機卿は話した。「もし、法王という身分がおいやでしたら、トワサンガの王子ということでもいい。我々に必要なのは、スコード教を中心とした価値観を体現してくれる象徴なのですから。戦争が嫌というのなら、戦わなくても、あのガンダムという機体で後方支援をしてくれるだけでもいい。共産主義革命など起こさなくても、スコード教は健在で、いずれフォトン・バッテリーも供給されるようになるのだと希望が見えれば、こんなつまらない争いなどそもそも起こらないのです。民衆が民衆の名において王を殺し、正統性なき権力簒奪を行わなければ、世界の秩序はそのまま保たれるのです」

枢機卿は自信をもってそう断言したが、ベルリは内心で首を横に振っていた。そんなものは役に立たない。いまのベルリにはわかっていた。ビーナス・グロゥブのラ・ハイデンを説得するには、ヘルメスの薔薇の設計図を完全に回収しなければならない。トワサンガのカール・レイハントンを説得するには、人間は愚かな反自然的存在ではなく、ガイアの癌細胞などではないことを示して、地球の封鎖を解いてもらわなくてはならない。人間の主義主張の問題ではないのだ。

しかし、それを東アジアしか世界を知らない目の前の浅黒い肌を持つ男に話しても、理解が及ばないのだ。

民兵は続々と集まってきた。なかには、ハノイから逃げてきた亡命者も多数いた。彼らの間では、ガンダムというモビルスーツに乗るベルリがトワサンガの王子であることはすでに知れ渡っており、否応なしにベルリは軍の象徴的立場にされてしまった。何もかもベルリの思い通りにはいかないのであった。

懊悩を抱えたままガンダムに乗り込んだベルリは、コクピットの奥にリリンが隠れているのを見つけた。

「あのね」ベルリは思わず語気を強めた。「サムフォー司祭の奥さんに匿ってもらう約束だったでしょ? これから戦争に行くんだよ。子供がそんなところにいちゃいけないんだ」

「ダメだよ」リリンは口ごたえをした。「だって、あそこにいると、捕虜になるんだもん」

きつく叱ろうと息を吸い込んだベルリは、ふと思い直し、なぜ自分はサムフォー司祭の寡婦が自分の味方なのだと勝手に思い込んでいたのかと肩の力を抜いた。

「ここにいる方が安全だよ」リリンはすました顔で言った。「それに、未来の宇宙から、ラライヤがもうすぐ来るんだよ。ラライヤじゃない人を連れて」

「ラライヤがここに来る?」

ベルリは、ノレドからラライヤがカール・レイハントンについて調べるためにトワサンガに残ったと聞いていた。最後に気配を感じたのは、カール・レイハントンと交戦したときだった。その前に戦ったときには、ガンダムが勝手に発進して、ラライヤが搭乗するYG-111を破壊しようとした。それを阻止したのは、ベルリだった。ベルリは、ガンダムに搭乗したままで、ラライヤがコクピットにいるYG-111を操縦したのだった。

「リリンちゃんにはそれがわかるのかい?」

「わらないけど、見えるよ」

リリンのその言葉を、ベルリは信用するしかなかった。


次回、第42話「計画経済主義」前半は、4月1日投稿予定です。


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「ろくでなし野郎」(1961年作品)感想 [映画]

松尾昭典監督による日本のアクション映画。出演は二谷英明、芦川いづみ、中原早苗。

<あらすじ>

土地買収に絡んでいざこざが絶えない町に、イタリア帰りの神父佐伯権太郎がやって来た。地元製材所の社長がこの町を平和にしようと神父を呼び寄せたのだが、彼ら穏健派は全員殺されてしまった。使われた拳銃は、ワルサーP38。ホテルで知り合った男が雇われた殺し屋だった。

佐伯権太郎は悪の仲間を全員ダイナマイトで吹っ飛ばした。

<雑感>

西部劇をそのまま日本の町でやった作品で、セットも西部劇風のレイアウトになっている。ちょっとおもしろかった。最後は豪快な解決方法であった。

佐伯権太郎はニセ神父だった。彼を呼び寄せた製材所のおっさんは、どんな伝手でダイナマイト使いと知り合ったのか。なんでもありはいいけれども、設定がおかしいのはどうかねぇ。

☆3.0。犯人役の長門裕之が好演。芦川いづみもキュート。


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「二人の銀座」(1967年作品)感想 [映画]

鍛冶昇監督による日本のムード歌謡映画。出演は和泉雅子、山内賢、和田浩治。

<あらすじ>

戸田という男が恋人に自分の局を預けていたところ、女はそれを電話ボックスで落としてしまった。それを拾ったバンドマンの健一は、そのままパクって「二人の銀座」という曲にしたところ大ヒット。戸田のものなので返せと言われても売れてしまったから引き下がれない。

曲はますます大ヒットとなり、さすがに気が引けた健一は戸田を訪ねるが、戸田もまた盗作問題で業界を干された人間だった。戸田は自虐的に曲を譲り、健一はそのまま「二人の銀座」を自分のものにした。

<雑感>

当時の日活がよく作っていたムード歌謡の曲を映画に仕立てた作品。歌っているのは山内賢と和泉雅子。映画は若干あれだけども、和泉雅子さんが輝くばかりに美しい。

☆3.0。和泉雅子のPVだと思えばいいのである。











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「愛と死の記録」(1966年作品)感想 [映画]

藏原惟繕監督による日本の恋愛ドラマ映画。出演は吉永小百合、渡哲也、芦川いづみ。

<あらすじ>

被爆経験のある三原幸雄はレコード店の店員松井和江と知り合い恋に落ちた。しかし幸雄はやがて発症して帰らぬ人になった。和江は後を追って自殺した。

<雑感>

☆1.5。ウソっぽい左翼映画だった。渡哲也は好演。それにしてもウソっぽい。











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「若草物語」(1964年作品)感想 [映画]

森永健次郎監督による日本の文芸映画。出演は芦川いづみ、浅丘ルリ子、吉永小百合、和泉雅子。

<あらすじ>

父が若い後妻を貰うことに反発した高村家の娘3人は、東京に嫁いだ姉を頼って家出をした。姉は貯金を切り崩して3人のために部屋を借りた。次女と三女はほどなくしてデパートに就職が決まった。それぞれ勝手に生きて、父を許さず、恋愛をしながら、遊び回って終わり。

<雑感>

ルイーザ・メイ・オルコットの「若草物語」はまったく関係なかった。

映画はウチの母親が学校を出たころの話で、母もデパートで働いていたそうだから、こんな感じだったのかなぁと母の面影を重ねながらの視聴であった。日活自慢の美人女優の共演だけあって華やかな作品だが、「若草物語」のタイトルとのギャップが気になって集中できず。

放蕩娘の話にしか見えないのだが・・・。

☆4.5。みなさんお綺麗な方ばかりで目の保養になりますね。








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「乳房よ永遠なれ」(1955年作品)感想 [映画]

田中絹代監督による日本のドラマ映画。出演は月丘夢路、森雅之、葉山良二。

<あらすじ>

下条ふみ子は仕事で失敗して薬漬けの日々に堕ちた夫と別れて実家へ戻った。彼女は歌会に誘われて、生活苦を詠んだ作品を提出する。離婚調停で息子を取られ、好きになった男が死んだふみ子は、乳癌を患って肺にまで転移してしまった。和歌が評価されたのはそのときだった。

和歌の作者を訪ねてやってきた記者の大月は、病魔に侵されて自暴自棄になっているふみ子を励ました。ふみ子は半ば自棄になって大月と寝た。そして彼が本社に戻っている間に死亡する。大月は彼女の子供を連れて湖に花束を投げた。

<雑感>

乳癌や男性に人生を翻弄される女性を描いた、女性ならではの視点に溢れた良い作品だった。田中絹代は時代が時代ならもっと評価された監督だったかもしれないなぁ。

あくまで女性視点に徹した内容で、面白いのは男性不振ではなくもっと感情的な拒否反応であること。大月と寝ているのだが、愛情がからきし感じられない。死に際の肉欲の開放的な描写だ。男も死に際は勃起するというし、人間の本能というのはそういうものなのだろう。

男を拒否する一方で、子供への深い愛情があることも特徴。現代的な女性性は、男性性に反発して対等になろうとする上野千鶴子的おっさん思考の女性性だが、田中絹代には母性があって、それが女性視点であっても嫌味を感じさせないことに繋がっている。

☆5.0。母性を捨てて政治的存在になった気色悪い女はこの映画には出てこない。











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「フランキー・ブーちゃんのあゝ軍艦旗」(1957年作品)感想 [映画]

春原政久監督による日本のコメディ映画。出演はフランキー堺、市村俊幸、小林重四郎。

<あらすじ>

海兵団へ入隊することになった門馬三太郎、間々田伍助。ふたりはいつしか仲良くなったもののマヌケなふたりは失敗ばかり。ついには通称ガッカリ丸と呼ばれるオンボロ艇に配属になった。

<雑感>

コメディなんだけど全然面白くない。何が面白いのかもわからない。

☆1.0。歴史的価値はあるはずだと1点にしたが、まるで面白くない。





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「清水港代参夢道中 / 続清水港」(1940年作品)感想 [映画]

マキノ正博監督による日本のコメディ映画。出演は片岡千恵蔵、広沢虎造、沢村国太郎。

<あらすじ>

舞台監督の石田は森の石松の演出に頭を悩ませていた。森の石松は金比羅代参の岐路で死ぬ。映画なのだから変えてはとアドバイスを受けるが、史実は変えられぬと彼は突っぱねた。ところが翌日、目覚めると彼は森の石松になっていた。混乱する彼だがやがて事実を受け入れ、金比羅代参の日となる。

このままでは死ぬ、そう思った彼はお文に相談。お文はでは自分がついていきましょうと歴史改編のきっかけを与える。ところがやはり石松はピンチに。そして斬り殺されたところで目が覚めた。

<雑感>

オチの部分がない。これも短縮版であるためだ。途中まであまりに面白すぎるために残念で仕方がない。でもないものはないのだから諦めるしかないのか。

☆4.0。片岡千恵蔵のカッコ良くもコミカルな石松の演技に痺れる。でもこのままだと単なる夢オチなんだよな。このあと石田が石松を殺さない演出を出さないと収まりが悪い。








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「土」(1939年作品)感想 [映画]

内田吐夢監督による日本のドラマ映画。出演は小杉勇、風見章子、どんぐり坊や。

<あらすじ>

貧しい一家の妻が亡くなって、一家は極貧生活に陥った。

<雑感>

フィルムの原版が消失してしまって、ドイツとロシアで発見された編集版しか残っていないとされる幻の映画。民芸運動に感化された、土とともに生きる労働者の物語なのだが、後半の貧しいながらも春を迎えて山菜など恵みを得る場面はなく、雪山で祖父が倒れて、それを貧しい一家が必死に助けるところで終わっている。

93分となっているので、ドイツで発見されたフィルムであろう。ロシアで発見されたものは111分。本編は記録によると142分あったらしい。

内田吐夢は企画を日活に提出したが却下されてしまったために、別の作品を撮りながら日活の金で無断で撮影を開始。日活が気づいて怒鳴り込んだときにはかなりのフィルムが完成していたために、資金回収のために最後まで撮らせて後悔することになったいわくつきの作品。

娯楽映画ではないので、終始貧しい家庭の沈鬱な描写ばかりが続くが、この作品の救いは、こんな一家にも春が訪れること。これが作品全体の救いになっている。でも肝心な部分が見つかっていない。

☆5.0。短縮版の不完全な作品だが、内田吐夢の民芸運動的作品であり、歴史的価値も高いので満点評価にしておいた。フィルムがかなり傷んでいて、画面はかなり暗くて見えにくく、科白もよくわからず、ドイツ語の字幕が入っている。














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「地獄の剣豪 平手造酒」(1954年作品)感想 [映画]

滝沢英輔監督による日本の時代劇映画。出演は辰巳柳太郎、山田五十鈴、島田正吾。

<あらすじ>

千葉周作門下の平手造酒は剣豪として知られていたが、不治の病に侵されて自堕落な生活をするようになった。門下生の剣術大会でも吐血してしまい勝ちを譲った彼だったが、譲られた山部幾之進は納得せず、後日真剣で挑んできた。造酒は彼を斬って捨てたが、道場は破門されてしまった。

生活は乱れに乱れ、吐血して倒れているところを寺に匿われてそのまま用心棒になった彼であったが、お吟が彼に惚れてなにくれとなく世話をしてくれる。それで生きる気力を取り戻したものの、山部幾之進の弟平八郎は兄の敵に彼を狙った。

さらにお吟のかつての夫が出所してきて、平手造酒に妻を返してくれ別れてくれと懇願してきた。お吟はかつての夫とどこかへ行ってしまうのではと恐れた造酒は、お吟の制止も聞かずに男を斬った。腹を立てたお吟は、荷物をまとめて出ていった。

再び酒に溺れるようになった造酒は、捕り物の助っ人に雇われて戦いの中に身を投じた。ところがそこでお吟の居場所を聞いた彼は、心に迷いを生じるが、同門だった近藤が戦いに参加はしたが逃げると聞いて彼のために奮闘する。満身創痍となった彼は、お吟の姿を求めて船着き場を目指した。

何としてもお吟に会おうとふらつく足で彷徨った彼だったが、ついに力尽きて死んだ。お吟はその姿を見て、やはり見たこともない故郷へ戻る決心をした。

<雑感>

お吟役の山田五十鈴の美しさが堪能できる作品。瓜実顔の本当に綺麗な人だった。純和風の美人といえば、山田五十鈴さんだなぁ。このころにはそこそこお歳だったはずだが、やはり美しい。

不治の病に罹ってしまって自暴自棄になった剣豪が、何のために生きるのか探し求めながら、剣豪ゆえに生きることが人の命を奪う矛盾の中で悩み苦しむ物語。お吟の夫に別れて妻を返してくれと懇願されたとき、お吟を失えば生きる意味がない、だからといって人の命を奪えばそれは生きることを諦めていた自分を助けてくれたお吟への裏切りになる。それに気づかずに斬ってしまう剣術家の性が悲しい。

☆5.0。飄々とした演技で芝居に起伏を作った宇野重吉、若さゆえの一途さで別の女の強さを演じた南寿美子、脇役陣の演技も素晴らしい。











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「暗闇の丑松より 初姿丑松格子」(1954年作品)感想 [映画]

滝沢英輔監督による日本の時代劇映画。出演は島田正吾、島崎雪子、辰巳柳太郎。

<あらすじ>

深川の料理人丑松は、女中のお米と祝言を上げることになっていた。お米を狙う巳之助は、三両のかたにお米を渡せと意気込むが、さすがに三両では話が合わない。皆に止められ大人しく引き下がるほかなかった。丑松とお米は無事に祝言を上げて、お米の母お熊の家の二階に新居を構えた。

ところが巳之助はまだ諦めていなかった。彼は今度は力づくでお米を奪おうとやってきて、止めるお熊を突き落として殺した。駆けつけた丑松は激情に駆られて巳之助を刺し殺した。自首しようとする丑松を逃がしたお米は、料理人の元締めの四郎兵衛に騙されて女郎にさせられた。

二年が経過してお米恋しさに江戸に舞い戻った丑松は、女郎になったお米の姿に愕然とした。お米は恥ずかしさに耐えかねて自殺した。事情を知った丑松は、四郎兵衛とその妻を刺し殺し、お米の墓前で泣き崩れた。

<雑感>

良いドラマだ。変なヒューマンドラマよりよほど人間らしい。人間て何かねって話だ。人間には理想というものがあるが、これが理想だと勝手に極められたり想像を演じるように生きることが理想的であるわけがないのだ。現代社会ってよほど狂ってるんだろうな。

愛や憎しみが入り乱れるこの作品は、舞台で練られたお決まりの演出、いわば古いテンプレの塊に過ぎないのかもしれないが、しょうもないだ学教授やマスコミが勝手に作り上げた理想なるものを押しつけられる現代社会よりよほど理想的ではないかと思えてならない。

丑松もお米も庶民で、西洋的ヒューマニズムがあるわけではない。でも、惚れた女のために働く、惚れた男が罪に問われるのが嫌で逃がす、それを恫喝に使われて女郎にさせられても文句を言わない、女郎姿を夫に見られて絶望する、妻を死なせたのは自分だと後悔しながらも騙した男だけは絶対に許さないと匕首で刺し殺す。このドラマの中にある愛情の深さこそ人間性じゃないのかな。

☆5.0。お米役の島崎雪子さんが眩いばかりに美しい。あーオレも丑松になりてぇ。あれだよ、「七人の侍」(1954年作品)で利吉の女房を演じた女優さんだ。あの演技は凄かったよなー。








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「沓掛時次郎」(1954年作品)感想 [映画]

佐伯清監督による日本の時代劇映画。出演は島田正吾、水戸光子、辰巳柳太郎。

<あらすじ>

ヤクザ者の沓掛時次郎は、一宿一飯の恩義によって見ず知らずの六ッ田の三蔵を斬った。三蔵は死に際に妻おきぬと子供太郎吉のことを彼に託した。時次郎はふたりを実家へ送り返した。おきぬは夫の敵である彼を憎んだが、実家で受けた仕打ちは彼女に厳しいもので、おきぬは次第に優しい時次郎を想うようになった。

時次郎も待ったおきぬが忘れられず、堅気になって再会した。ふたりは夫婦になり、三蔵の忘れ形見太郎吉を慈しみ、やがておきぬは身ごもった。堅気になったといっても日雇い労働でしかない時次郎には金がない。そこで前借りを頼んだがすげなく断られ、頭に来ているところに喧嘩の助っ人の仕事が舞い込んだ。

ヤクザからは足を洗った彼であったが、子供の出産のためには金が要る。彼は仕事を引き受けた。ところが彼がチャンバラに明け暮れているとき、おきぬは産気づいてそのまま死んでしまった。戻った時次郎は、妻の亡骸を前に愕然とした。時次郎は太郎吉を連れて旅へ出た。

<雑感>

これはつらい。おきぬは時次郎がウソをついて喧嘩の助っ人に向かう前に、もうお前さんが帰ってこない気がすると呟いて夫を送り出す。ところが自分が死んでしまうのだ。やるせなく、時次郎に巡ってくる因果応報の情け容赦なさに胸が痛む。

☆5.0。やはり人情あっての任侠もの。人情がなくてヤクザががなってるだけの昨今のヤクザ映画はなんか違うんだよな。これは心にしみるいい映画だった。











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「血煙高田の馬場 / 決闘高田の馬場」(1937年作品)感想 [映画]

稲垣浩、マキノ正博監督による日本のチャンバラ映画。出演は阪東妻三郎、市川百々之助、市川正二郎。

<あらすじ>

中山安兵衛は腕っぷしの強い男で長屋の人気者であった。彼には剣術指南役の叔父がいて、頭が上がらない。その叔父がいざこざに巻き込まれて決闘をすることになった。しかしその日も安兵衛は喧嘩と酒に明け暮れていた。宵も明け、長屋へ戻ると叔父の置手紙がある。

ただならぬ様子で出ていったと言われても、苦手な叔父の手紙など読みたくない。しかし長屋の人間がうるさいので目を通すとそれは道場で起きたいざこざの顛末と死を覚悟してでも戦わねばならない理由であった。安兵衛が押っ取り刀で駆けつけてみると叔父はすでに瀕死。激怒した彼は多勢に無勢で叔父を凝りつけた男たちに挑みかかり、バッタバッタと切り伏せていく。その数18人。

しかし戦い終えて叔父に駆け寄るとすでに息絶えていた。なぜ素直になれなかったのか。安兵衛の心には強い後悔だけが残った。

<雑感>

これも名作と認識していながら未視聴だった作品。映画をたくさん観てきたつもりでいたが、全然そんなことなかったな。酒を飲んでほとんど酔拳状態の阪妻が大乱闘の中に単身斬り込み「叔父上、叔父上」と呼びかけ、タスキを渡されかたじけないと膝をついて装着するなり、もんどりうって戦いに身を投じる姿の何と生き生きしていることか。

☆5.0。まさに名作であった。見てない作品って多いなぁ。でもあれだぞ、殺陣だけなら佐藤健の方がはるかに上。演技力も阪妻に負けてない。負けているのは脚本と演出。これが現代作品はお話にならない。人間の描き方が圧倒的のおかしい。








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