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「ガンダム レコンギスタの囹圄」第1話「法王の亡命」後半 [Gのレコンギスタ ファンジン]

「ガンダム レコンギスタの囹圄」


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第1話「法王の亡命」後半




(アイキャッチ)

海風がベルリを吹き飛ばしそうなほど強く吹いていた。

断崖の上にハンバーガーを食べながら夜空を見上げるベルリの姿があった。傍には日本からずっと愛用してきた彼のシャンクが置いてある。星空には満月。小型ラジオはクレッセントシップの世界巡行が大成功を収め、世界中から紛争を消滅させた偉業を讃えていた。

クレッセント・シップの世界巡行に同行しながら日本で降りたベルリは、シャンクを使ってユーラシア大陸を横断し、砂漠地帯は航空機で飛び越え、ゴンドワンに入ったばかりだった。

メガファウナが伝説上のビーナス・グロゥブから惑星間連絡船を引き連れて地球に戻ってきたことは、世界中の国々に驚きをもって伝えられた。それまでビーナス・グロゥブはお伽噺に出てくるような天上の世界の話でしかなかった。それが科学の世界まで降りてきたのだ。世界中の学者が活気づいたのも無理はなかった。

世界を広く旅をしてきて、ベルリはそのことを肌で感じていた。特にキャピタル・テリトリィから遠く離れたアジアでは、宇宙へ出ることそのものが非現実的なことだったので、それまで地上に向けられていた視線が一斉に夜空に向けられたように、人々の生き方や考え方まで変えようとしていた。

戦争に無関心で平和を享受する一方、外交に熱心でなかったアジアの国々はこぞってキャピタル・テリトリィやアメリアと関係していこうと躍起になっていた。

人の眼が宇宙に向くことがこれほど大きな変化をもたらすのだとベルリは感心していた。

ベルリ「(満月を見上げながら)とうとう行っちゃうのかぁ。(ゴミをポケットに入れて立ち上がる)もしかしたら、宇宙世紀の始まりってこういう興奮に満ちていたのかもしれない。人々の眼が宇宙に向いて、争いごとがなくなって、夢と希望があの星々の向こうにあるってみんなが信じて・・・。(険しい顔になって)でも、実際の宇宙世紀はそうはならなかった」

立ち上がったベルリはシャンクを走らせた。ゴンドワンといっても街まではかなりの距離がある。のんびりしすぎたかなと彼は反省した。

夜風を切りながらシャンクを走らせていたベルリの耳に、不気味な轟音が聴こえてきた。彼はシャンクを止めて岩場の影に身を潜めた。強い風が彼の身体にぶつかってくる。

耳を澄ますと、遠くからやはり聞き慣れた音が迫ってきていた。ベルリは海と反対側の山の頂を振り返る。音は徐々に大きくなり、やがて2隻の大型戦艦が姿を現した。大型戦艦はベルリの上空を通り、南西に向かって飛んでいった。

ベルリの表情が険しくなった。通り過ぎたのは大陸間戦争で使用されたホズ型とは違う別の大型戦艦だったのだ。ゴンドワンはヘルメスの薔薇の設計図を基にガランデンを建造した実績があるが、ガランデンよりさらに大型で大気圏用ブースターが備わっている。

ベルリ「まさか、ゴンドワンは新型艦を建造していた? 確かに大陸間戦争はまだ正式に終わったわけじゃないけど、条約がまとまっていないからって、クレッセントシップがいなくなったらすぐこれかよッ!」

ベルリは慌てて街を目指した。





夜空を飛ぶ大型戦艦。それこそがベルリの頭上を通過していった船であった。

ゴンドワンの制服を着たクルーたちが前方を見据えたまま船を操っている。彼らの中にクレッセント・シップに平和を見出したものはひとりもいない。彼らにとってクレッセント・シップの世界巡行はただの休戦期間でしかなかった。

ゴンドワンが誇る最新鋭の大型戦艦のブリッジに、場違いなほどラフで派手な服装をしたクリム・ニックとミック・ジャックの姿があった。

ミック「夜明けまで待たないので?」

クリム「あたぼうよ。わずかひと月でこのオーディン(ゴンドワンの戦艦名)を任された自分が何を待たねばならぬか。あの戦いで戦力を温存したゴンドワンに勝機を見出したこの天才クリムがアメリアに凱旋するのだ。朝一番のニュースに間に合わないでどうする」

ミック「天才クリムがゴンドワンの中佐になって凱旋ですものね」

ベルリと同じようにクレッセント・シップを途中で降りたクリムとミックのふたりは、ベルリとは別の目的をもって世界を眺めていた。

ふたりの眼から見た世界は、まるで漂流船のようなものだった。水先案内する者がおらず、眼前にある危機が見えていない。

アイーダが導いてきたクレッセント・シップに搭乗したふたりは、その科学技術の高さがあれば地球人類の支配などは容易いであろうと考えた。それなのに彼らは支配するでもなく、かといって平等に接するでもなく、スコード教を使いながら教導するそぶりをしているところが不気味であったのだ。

しかも、レコンギスタ派という者たちが一定数いるにも関わらずである。

宇宙に大勢の人間が暮らしていて、地球に戻ってきたいという人間がいて、地球にはそれを受け入れるほどの資源的余裕がなく、なおかつ彼らの方が科学技術が特出して進歩している。このような状況であるに関わらず、人類はいまだに統一政府すら作ろうとせず、政治家各国に任されている。

加えてアメリア軍総監の立場を世襲で引き継いだアイーダは、軍隊を放棄する旨を「連帯のための新秩序」という形ですでに発表してしまっているのだ。

彼女の頭の中には自分の素晴らしき考えが否定される可能性は微塵も考慮されていない。アイーダ・スルガンは自分の発表した論文が否定された場合、軍を放棄するという方針そのものを否定せねばならないという可能性が検討されていない。論文の主旨は、すべての人類が自分に従うという前提で成り立っている。

ならば、と、ふたりは考えたのだ。クリムとニックは先の戦闘の参加せず最も軍事力を温存していたゴンドワンに亡命し、自らがアイーダの否定者になろうと決めた。彼女の戦争放棄の方針が疑義によって実現しなかった場合、それでもアイーダは戦争放棄の方針を捨てないでいられるのか。

また、戦争放棄の方針を宇宙に住む人々がレコンギスタに利用しようとしたらどうするのか。それらに対する答えを、アイーダ・スルガンは持っていない。

アイーダは自分の父親であるグシオン・スルガンの方針を否定した。クリムはその否定された方針を自らのものとしたのだ。

クリムは戦いによる覇権主義によって地球を統一し、さらにイノベーションを推し進めてトワサンガ、果てはビーナス・グロゥブに迫っていこうと考えていた。

クリム「(遥か前方を睨みつけながら)オレは、世界を手に入れる!」





ゴンドワンの北方地方は氷に覆われていた。

凍てつく空気が夜に瞬く星々の輪郭を鋭利にしていた。宇宙世紀の戦果を免れた石造りの街並みが山の方まで続いているのが見えた。町の中心にある公園の噴水に薄い氷が張っている。

厚着をした人々が往来に出て、白い息を吐きながら夜空を見上げていた。その視線の先にはクレッセント・シップの船体があった。子供を肩車する父親。手袋をした小さな手が父親の頭を包み込んでいる。窓から身を乗り出すカップル。熱心に祈りを捧げる老人たち。

町の一角にある場末の食堂に、客はまばらだった。

カウンターの奥にある小さなテレビにもクレッセント・シップが映っていた。カウンターに肘をついて後ろ向きにテレビを見るエプロン姿のマスター。カウンターに座っているしょぼくれた赤鼻の男が帽子を胸にあててテレビに向かって祈りを捧げていた。

テレビ画面に映っているのはクレッセントシップを見送る市民の様子をレポートする女性アナウンサーだった。望遠レンズが月に向かって小さくなっていくクレッセントシップの姿を追いかけていた。

熱心なスコード教信者の多いゴンドワンにとって、ビーナス・グロゥブからやってきたクレッセント・シップはまさに信仰の対象であった。多くの場合はそうだった・・・。

赤鼻の客と反対側、壁の傍でフォークを皿に置きカウンターの上に乗せるルイン・リーの姿があった。その隣で同じように皿を上げ、ナプキンで口元を拭くマニィの姿があった。

マスターがふたりの皿を片付ける。

マスター「コーヒーでもどうだい」

ルイン「珍しいものがあるな。貰おう。ふたつくれ」

マスター「(カップにコーヒーを注いでふたりに出す)はいよ」

コーヒーを飲みながらふたりの身体は徐々に緊張してきていた。ルインはしきりに深呼吸を繰り返していた。心を落ち着かせるのに、コーヒーの香りは役に立った。

マニィは緊張しすぎて肩が耳のところまで上がってきた。ふたりはテレビに注視していた。

すると、クレッセント・シップの中継が火災現場からの中継に切り替わった。スコード教の信者らしきマスターが舌打ちをした。赤鼻の客はコインで支払いを済ませて店を出て行った。

マスター「(洗い物をしながら)またテロかいな」

ルイン「(笑顔で)物騒になりましたね」

その隣でマニィがあからさまに胸をなでおろしていた。アップになった現場リポーターのけたたましい声が大きくなった。

リポーター「またテロ事件です。炎が燃え盛っています」

ルイン「(カウンターに2枚の札を出して)お勘定はここに。コーヒーもいいものですね」

ルインとマニィは寒風吹きすさぶ店の外に出た。マニィは思わず襟を立てる。ルインはコートの前を空けてマニィを中に入れる。往来にはまだ人が大勢いて、夜空を見上げていた。彼らはまだテロ事件のことを知らない。

母親と共に天に向かって祈りを捧げる子供たちの姿があった。

ルインとマニィは、その脇を俯きながらすり抜けていった。

マニィ「成功したってことだよね」

ルイン「ああ、今夜も成功だ」

ふたりは街灯の切れた村の外れに歩いていった。石畳の上には「全球凍結」と「氷河期」が大書きされたチラシが落ちていた。

そのチラシはルインたちが町のあらゆる壁に貼り付けたものだった。

ルインたちは、全球凍結の噂とテロリズムの恐怖を使ってゴンドワン北方地帯の住民を流民にして南へ押しやる活動をしていた。その仕事を手伝っているのは、マニィをはじめ、クンタラの若者たちであった。クンタラの若者たちは、クレッセント・シップなど見てはいなかった。

それは自分たちを差別してきたスコード教のシンボルだったからだ。

クレッセント・シップがやって来て、彼らクンタラは強い圧迫感を感じていた。いままで以上にスコード教の力が強まり、差別が増長されるのではないかという心配であった。ゴンドワンに住むクンタラの中で比較的リベラル思考を持つ者は休戦中を利用してアメリアへ渡る人間もかなりの数に上っていた。

そんな彼らの元に、救いの手が差し伸べられたのはほんの数か月前であった・・・。





宴の後片付けが半分残されたキャピタル・テリトリィ。往来に人の姿はない。夜明け前の一番暗い時間だった。スーンが寝袋の中のハッパを蹴って起こす。それを横目で見るコバシ。ハッパはううんと唸った後、眼鏡を掛けて寝袋から抜け出した。

スーン「来るぞ」

ハッパ「(寝ぼけた声で)何がです?」

スーン「ゴンドワンのホズ1番艦というらしい。戦艦だ」

ハッパ「(思わず飛び上がり)ホズ? ゴンドワンの船じゃないか! 本気なのか? クレッセントシップがいなくなった途端に戦争を始めるつもりか?」

スーン「(ニヤリと笑いながら、静かに)来た」

コバシ「(難しそうな顔で心配そうに)地球人が作った戦艦なんて使えるのかしら? フルムーンシップで大気圏突入してればこんなことにならなかったのに」

夜空に轟音が響いてきて遠くに艦影が見えてくる。ハッパの表情が険しくなった。

ハッパ(オレをG-セルフのところに残したのはそのためか、姫さま)





朝焼けが大西洋上空を失踪する2隻の大型戦艦オーディンを照らし出した。オレンジ色に染まった艦影がさらに速度を増していく。

艦橋の中は警戒警報が鳴り響いていた。船体がガタガタ震えるほどの高速が出ている。何かに掴まらなければ立っていられないほどだった。前方にアメリアのパトロール艇が1隻見えた。

クリム「奇襲をかける方はテンションが違うんだよッ!」

ゴンドワンのオーディン1番艦と2番艦は最高速度のままアメリアの船を挟撃して一瞬で撃沈させた。そのまま速度を落とすこともなくさらに2隻は突進を続けた。





夜明け前、空が白み始めたアメリアの首都に空襲警報が鳴り響いた。驚いたアイーダがベッドから身を起こした。空襲警報は鳴っているが爆音などは聴こえてこない。彼女は急いでガウンを羽織った。

セルビィ(女性秘書)「(扉を開けて急ぎ足で部屋に入ってくる)スルガン提督!(アイーダがガウン姿なのを見咎めて)まだそんな恰好で?」

アイーダ「(胸を張って)なにごとです?」

セルビィ「それを真っ先にお知りになるのが提督のお役目です。急いで着替えて」

着替えを済ませたアイーダはセルビィと共に急ぎ足で廊下を歩いた。

そこにスルガン時代から政策秘書を務めるレイビオも加わった。

3人はアメリア総督府の指令センターに入っていった。センターの中では夜勤の職員が大慌てで走り回っていた。中央の大画面に戦闘の様子が映し出されていた。唖然とするアイーダ。彼女の近くに朝早くから背広姿のズッキーニ大統領が歩み寄ってきた。

ズッキーニ「姫さまは大陸間戦争の経験はおありで?」

アイーダ「(画面を見たまま首を横に振り)いえ、従軍経験はありません」

ズッキーニ「指揮のことです。いつからアメリアの総督は親から受け継ぐことになったので?」

アイーダはそれに答えず画面を注視していた。アメリアの艦隊はたった2隻のゴンドワンの戦艦に蹂躙されていた。指令センターには様々な情報が怒号のように飛び交っていた。

大型画面を見上げるアイーダの横顔。その顔の前にズッキーニが自分の顔を突き出す。

ズッキーニ「いますぐ指揮権を返上なさい」

そのとき画面にクリムの顔が大写しになった。画面は時折起こる爆発で乱れがちであった。息子の顔を見て驚愕したズッキーニは、苦々しい表情でアイーダの傍を離れ、画面を見上げた。アイーダは映像を見つめたまま言葉を発しない。

クリム「わたしはゴンドワンのクリム中佐である。アイーダ・スルガン名義で送られた和平協議開始に対するゴンドワンの答えがこれだ。アメリアはカリブの島々をゴンドワンに割譲せよ。それが協議開始の条件になる。断れば次はミノフスキー粒子を撒いてから戦うぞ、いいかッ! フハハハハ」

通信が切れると同時に味方艦艇が撃沈される様子が画面に映った。取り巻きに囲まれながら退場していくズッキーニ。それを見送る職員が呆れたように首を横に振る。アイーダは右の拳をぎゅっと握って唇を噛んだ。

アイーダ「(怒りを堪えた声で)小賢しい天才だこと」



ベルリは愛用のシャンクを駆って海沿いの道を疾走していた。

太陽はすでに中天に差し掛かっている。ベルリの息遣いは荒く、流れる汗を拭いながらシャンクを走らせていた。首から下げた日本製小型ラジオからゴンドワンとアメリアの戦争が再開された報が聴こえてきた。ベルリは悔しさの余り唇をギュッと噛んだ。

海沿いの坂道の向こう側に小さな港町が見えた。

ベルリ「早く姉さんと連絡を取らないと」

すると、突然崖の下から小型輸送艇が飛び出してきた。飛行艇は風を巻き上げながらシャンクと並走した。驚いてそちらに目をやるベルリ。操縦席にはケルベスが乗っていた。

ケルベス「飛び移れ、ベルリ」

ベルリ「ケルベス教官?」

シャンクごと小型輸送艇の翼に乗り移ったベルリは翼の上を滑っていき、急に開いた上部ハッチからシャンクごと落ちてしまった。輸送艇の貨物室は空で、乗組員も操縦しているケルベスひとりだった。ベルリは慌ててケルベスに駆け寄り副操縦席に座った。

ベルリ「なんで教官どのがここに?」

ケルベス「(操舵を切りながら)もう1か月もお前を探していたんだ。間に合わなかったらお前の姉さんに顔が立たないところだった。旅はいったん中断しろベルリ生徒。地球のために戦え」

ベルリ「(険しい表情で)ラジオで聴いていました。戦争ですね」

ケルベス「メガファウナでキャピタル・テリトリィに向かう。ハッパさんとG-セルフを拾って・・・(首を横に振る)その後どうなるのかわからんのさ!」

陽光に照らされた海の中からメガファウナの赤い船影が浮上してきた。船体から海水がしたたり落ちる。ケルベスの操縦する小型輸送艇がメガファウナのハッチに滑り込んだ。奥にはコアファイターが青いビニールシートを掛けられた状態で保管されていた。シートが風に煽られてはためいていた。

ケルベスとベルリはすぐにブリッジに上がった。そこに懐かしいドニエル艦長の声が響き渡るのが聞こえた。その隣には副長の姿がある。ギセラもベルリの顔を見て微笑んでいた。

ドニエル「弾道飛行に入るぞ。グズグズしてるとゴンドワンの連中がやってくる。キャピタルに入ればあっちはアーミーが支配しているんだ。だーれがこんなことやらせるんだ。ステア!」

ステア「イエッサー」

メガファウナは上空目指して一気に加速をかけた。





ルインは両手を枕との間に挟んでベッドの上でくつろいでいた。

横には裸のマニィが布団をかぶってまだ眠っている。ルインは小さな音でテレビを見ていた。テレビにはクリムの姿が大写しになっていた。テレビではアメリアからやって来た大統領の息子が初戦で華々しい戦果を上げたと持ち上げていた。

ルイン(オレは見てきた・・・、世界に宇宙からやってくる移住者を受け入れる土地などない。どこも砂漠だらけだ。そして、フォトン・バッテリーは常に不足している。だからみんな木を切って燃やす。森は砂漠に飲み込まれ、海は魚のいない死の海になる。クンタラが自主独立するには・・・)

ドアが開いて男が入ってきた。彼はマニィの姿をみると慌てて部屋を出ていった。

男「(ドア越しに)ルイン、北部の連中がまた村を捨てて流民になったそうだ。南へ向かっている」

ルイン「その村は制圧できたのか?」

男「ああ。誰も残っちゃいないから簡単なもんさ。でも薪になるものは残ってない。木はもっと北に行かないと無理だ。それより法王庁の発表を聞いたか? フォトン・バッテリーの配給が停止されるって。そんなことになったらオレたち・・・」

ルインはすぐに服を着て仲間たちのところへ姿を現した。

ルイン「急いでゴンドワン中のクンタラを集めるんだ。ボヤボヤしているとまたクンタラ狩りが始まるぞ。とりあえず集結した分はその村に押し込んでおけ。薪は何とかする」

男は頷いて廊下を走り去っていった。ルインは決意を秘めた表情で見送った。

ルイン(クンタラが自主独立するには、国を奪うしかないんだ)





アメリア軍総監執務室ではアイーダがグシオンが使っていた椅子に腰かけ、両肘を机の上にのせて手を組んで考え事をしていた。

机の上にはチュチュミィが置いてあり、アイーダはそれをじっと見つめている。チュチュミィの水は綺麗な水色をして、なかで金魚が泳いでいた。

そこへ女性秘書のセルビィが部屋に飛び込んできた。

セルビィ「アイーダさま。法王庁から重大な発表があって・・・」

アイーダ「フォトン・バッテリーの供給を止めるというのでしょう。知っています。法王さまもトワサンガに亡命なさるとか。おそらくビーナス・グロゥブのラ・グー総裁の意思でしょう。ビーナス・グロゥブの方々はヘルメスの薔薇の設計図の回収と戦争の停止を要求してくるはずです。それが終わるまでフォトン・バッテリーは地球にやってきません」

セルビィ「(おろおろしながら)おっしゃる意味が・・・」

アイーダは再びチュチュミィに目を落とし、黙考した。

アイーダ(戦争は終わらない。だからラ・グー総裁はフォトン・バッテリーの供給停止で事態を収拾しようとしている。このまま戦争を続けていたら、地球がチュチュミィになってしまう!)





法王庁からの重大発表が世界各地のテレビ局で流れていた。

世界中の人々が、それを食い入るように見つめている。

クリムとニックは法王庁からの発表をそら見たことかと思いながら眺めていた。

ルインとマニィは法王庁の眼がゴンドワンから逸れると喜んでいた。

アイーダはテレビは見ずに、レイビオとセルビィと共に対応を協議していた。

空と宇宙の境界を飛ぶメガファウナ。その窓に決意を秘めたベルリの横顔が写っていた。


(ED)


この続きはvol:23で。次回もよろしく。












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