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「Gレコ ファンジン 暁のジット団」vol:2(ムタチオンとピアニ・カルータ事件) [Gのレコンギスタ ファンジン]

「暁のジット団」vol:2は、さらに深く「ガンダム Gのレコンギスタ」の背景に切り込んでいきます。

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vol:2のテーマは、ムタチオンとピアニ・カルータ事件です。



*スペースノイドに起こったムタチオン

宇宙世紀初頭において、キャスバル・レム・ダイクンによって唱えられた理想主義は「地球を汚す人類は、すべからく1度宇宙へ上がって、地球環境の再生を待つべきだ」というものでした。

彼の理想主義はアムロとの対話によって奇跡を起こし、それが源となってのちに宗教化したものがスコード教であると前回述べました。スコード教はスペースノイドに忍耐と使命感を与え、資源枯渇に伴う大きな危機の後、宇宙に住む者は地球環境が元通りに戻るのを辛抱強く待っていました。

しかしその宗教化した理想主義を根底から揺るがす出来事が発生します。それがスペースノイドの間に起こったムタチオン(突然変異)でした。

人間の遺伝子は、世代をまたぐ宇宙での生活によって変異を始めてしまい、人間の姿を大きく変えようとしていたのです。これは宗教に縛られたスペースノイド社会を揺さぶりました。理想主義は、過酷な現実を突きつけられて動揺したのです。それは深い絶望をもたらしました。

戦争を禁止し、科学技術の発達を生存のためのみに使うことで、スペースノイドの生活は最悪期を脱していました。彼らは幸福の中にあり、このまま宇宙で暮らしても構わないと考える人間もいたでしょう。なかなか争いがなくならない地球と違い、宇宙は平和で安全だったからです。

しかしそれは突如壊れました。元々スペースノイドは、地球環境が改善され、人類から争いごとがなくなった暁には地球に帰還するつもりでいました。スコード教の教義でもそうなっていたでしょう。ところが地球への帰還は、待ったなしの課題として浮上し、いつ、どのように地球へ戻ればいいのか、早急に結論を出さねばならなくなったのです。

そんなときに起こった出来事がピアニ・カルータ事件でした。


*ピアニ・カルータ事件とは何か

ピアニ・カルータは、ビーナス・グロゥブの居住者でした。彼の当時の身分はわかっていませんが、のちに発揮した能力の高さから、行政府にいた高級官僚だと推測されます。彼は迫りくるムタチオンに絶望しながらも、ある事実に気づきます。それは、ただ地球に還るだけでは、変異した遺伝子は元に戻らないという事実です。

我が身に変異の起きてしまった人間は元には戻りません。それは仕方がないにしても、たとえ地球に戻っても、スペースノイドの子供や孫はいつムタチオンに襲われるかわかりません。これを何世代かかっても元に戻さなければいけない。官僚ならばそのように考えたでしょう。起こってしまった生物としての劣化を食い止め、強化する必要を彼は感じたのです。

スペースノイドの遺伝子を強化するには、ひとつに地球への帰還を果たして重力環境で生活すること、ふたつに競争を行って遺伝子を強化することが必要だと彼は結論付けました。競争の中には戦争も含まれます。これらはスコード教の教義に反するため、彼の考えは表沙汰にはならなかったはずです。

ヘルメス財団の一員であった彼は、その立場を利用し、宇宙世紀時代のタブーであるヘルメスの薔薇の設計図を私的に持ち出して研究することを始めました。そこには戦争のための道具が有り余るほど設計図として残っていました。彼はそれを軍に流し、さらにモビルスーツ開発の科学研究施設をいくつか作り上げて、戦争の種を徐々に蒔いていきました。

外からの訪問者が誰もいないビーナス・グロゥブは、やがて必要となるとの理由で自警団を組織し、エネルギー運搬船以外の宇宙船の建造も始まりました。これらは、地球への融和的帰還のための準備だと宣伝されていたはずです。年齢的に中堅官僚だったはずのピアニ・カルータは、自分の考えを表沙汰にすることなく、密かに競争を巻き起こす準備を始めていました。ジットラボの他にも研究所はいくつも設立されていたはずです。なぜならピアニ・カルータの目的は競争であったからです。

ビーナス・グロゥブにおいて地球への帰還を理由にモビルスーツ開発、自警団の組織化など軍務に携わった経験から、彼は武官としてトワサンガで勤務し、ここでも密かにヘルメスの薔薇の設計図をばら撒きました。ところがこれが思わぬ事態を引き起こします。

トワサンガには、ドレッド家とレイハントン家というふたつの名門貴族がありました。ドレッド家は武官であり、レイハントン家は文官でした。ヘルメス財団の情報はレイハントン家が握っており、それが家柄の優位性に繋がっていたのですが、ヘルメスの薔薇の設計図の流出によってそれが崩れ、とうとうドレッド家によるクーデターへと発展したのです。

レイハントン家の当主は妻ともども殺され、ふたりの子供も命を狙われました。競争によって生命を強化するという目的をもってヘルメスの薔薇の設計図を流出させてきたピアニ・カルータですが、一方的な暴力によって殺害することは彼の主義に反していました。それは競争ではないからです。また、レイハントン家の滅亡は必ず大きな問題になり、調査が入ることは確実でした。彼はどこかに逃げる必要があったのです。

そこで彼は、レイハントン家のふたりの子供もろとも地球へ逃げ去ったのです。ピアニ・カルータはレイハントン家の子供を身分を隠して施設に預け、行方をくらませました。そのふたりの子供が、善き里親に拾われ、アイーダ・スルガンとベルリ・ゼナムとなったのです。

トワサンガのヘルメス財団の中核を担っていたレイハントン家の滅亡は、ビーナス・グロゥブも知るところとなり、詳しい調査が入ったことでしょう。その際に、すべての元凶はビーナス・グロゥブの官僚ピアニ・カルータだと判明し、彼の残した手掛かりから彼の思想性も明らかになりました。

これらを称して、ピアニ・カルータ事件と呼ばれるようになったのです。


*ヘルメスの薔薇の設計図とは何か?

ピアニ・カルータが流出させたヘルメスの薔薇の設計図とは、宇宙世紀時代の自航式大型ドック・ラビアンローズが蓄積してきた設計図の数々のことです。アナハイム・エレクトロニクス社所有のこの大型ドッグは、宇宙世紀時代を通じてモビルスーツから戦艦まであらゆる兵器の設計図を膨大な情報として持ち続けていたのです。

のちに宇宙はスコード教によって戦争が厳しく禁じられましたが、彼らが溜め込んだ利権のすべては解放されず、権利を引き継いだヘルメス財団とスコード教、そしてトワサンガ、ビーナス・グロゥブの統治者及び行政官たちによって技術は小出しにされ、戦争に繋がるものは禁忌となりました。

トワサンガで、ヘルメス財団の幹部として活動していたレイハントン家は、アナハイム・エレクトロニクス社の重要な幹部の血族だと推測されます。


*ヘルメスの薔薇の設計図は、運命の機体を蘇らせた

ドレッド家の反乱によって滅亡させられたレイハントン家は散り散りになってしまいますが、レイハントンの領民たちは、当主の遺志を引き継ぎ、レジスタンスとなってレコンギスタに反対する立場を取りました。そんな彼らがドレッド家に対抗するために入手した設計図が、ガンダムだったのです。

レイハントン家秘蔵の設計図を基に、レジスタンスたちはYG-111という機体を組み立てます。レイハントン家滅亡によって活動資金に困窮していた彼らは、これを軍に採用してもらえるよう働きかけますが、性能に未知な部分が多く、組み立てた人間も機構がよくわかっていないことから、結局は不採用になって、偵察機として活用されることになったのです。

正規パイロットはラライヤ・アクパール。彼女はレジスタンスの地区の出身ながら、ドレッド軍の正式なパイロットだったのです。


*そしてレコンギスタが発動する

ピアニ・カルータ事件によって、彼の思想性は白日の下に晒され、反発する者と共感するものを生んだ。ピアニ・カルータに共感する者たちは、スペースノイドが地球を再征服するという目標を持った。ムタチオンに対する恐怖に怯え、地球への早急なる帰還の是非が問われる中、緩慢な守旧派は久しく忘れていた武力を行使する意思を持った人間を前に、ただただ怯えるだけだった。

スペースノイドは、その高い知能によってアースノイドを善導できるはずだと考えた。地球は宇宙からもたらされるエネルギーに依存しており、自分たちでそれを生み出すことはできない。スコード教とキャピタル・テリトリーを通じて、地球への帰還は確実に行えるはずだった。あとは軍事に関する準備を確実に進めるだけのはずだった。

ところがその目論見は外れることになる。全宇宙にヘルメスの薔薇の設計図をばら撒いた張本人であるピアニ・カルータは、クンパ・ルシータと名を変え、地球にもヘルメスの薔薇の設計図をばら撒き、戦争の準備をさせていたからであった。

ピアニ・カルータの目的は、人と人を激しく競争させることであり、スペースノイドによる一方的な地球の統治では足らないと考えていたのだ。それではムタチオンは克服できない。彼はスペースノイドを守るべく行動していたが、そのやり方は独特であった。彼の目的は、競争原理による人類の強化であって、競争なきスペースノイドの勝利は望んでいなかった。

クンパ・ルシータによって軍事技術の数々を入手したゴンドワンとアメリアは大陸間戦争を始め、戦争の渦はキャピタル・テリトリーへも迫っていた。

ピアニ・カルータという名前でスペースノイドを再武装させた男は、クンパ・ルシータという名前でアースノイドをも再武装させ、双方を戦争という競争の渦に巻き込みながら、自分の考えが正しいのかどうか知ろうとしていた。

彼の目論見は、スコード教の本拠地であるキャピタル・テリトリーにも及んでいた。彼は自分が地球に連れてきた子供のことなどすっかり忘れていた。

そこに、運命の機体が舞い降りてきたのである。


この続きはvol:3で。次回もよろしく。





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