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「ペギー・グッゲンハイム アートに恋した大富豪」(2015年作品)感想 [ドキュメンタリー]

リサ・インモルディーノ・ヴリーランド監督によるアート・コレクターのペギー・グッゲンハイムに関するドキュメンタリー映画。

<雑感>

モダンアートコレクターのペギー・グッゲンハイム当人の貴重なインタビュー音声を中心に、彼女をよく知る人物や美術評論家などのインタビュー、バイオグラフィーの紹介などで構成されている。

彼女はニューヨークの裕福な家庭で生まれ、父がタイタニック号の事故で死去したことから成人を待って莫大な財産を相続してパリに渡る。そこでアートと出会い、多くの画家と交流を持ったことから彼女のコレクター人生が始まり、ごく初期こそ玉石混交で集めていたが次第に審美眼が研ぎ澄まされていき、晩年は彼女が20世紀美術の方向性を決めるまでになっていた。

パリ時代に画家との交流で審美眼を磨いた彼女はロンドンへ渡り、1日1点のペースで収集する。莫大な財産だけでなく、彼女は収集した美術品を転売することで利益も上げていた。しかし拠点としていたロンドンがナチスによって暗い影が落ちてくると美術品を守るためにニューヨークへ戻り、「Art of This Century」と名付けた画廊をオープンさせる。

彼女は多くの画家や芸術家を支援して、アートの中心人物になっていった。

戦後はイタリアのヴェネチアへ移住。大邸宅を購入して自分が収集した美術品とともに暮らし始めた。夏季限定で一般公開が行われ、1979年に彼女が死去したのちは美術館に改装された。

男性遍歴が多いので、収集品より男の数が多いなどと揶揄されたそうだが、収集品の数ほどいるわけもなく、完全なやっかみである。映画の中ではトラブルの多い人生だったと証言されている。

彼女のコレクションは内容も価値もすさまじいのだが、意外に安く購入していることでも有名だ。それは画家が若手のうちに買っているからで、画家が著名になって作品の価値が高騰したものには手を出していない。彼女が見つけた画家がのちに有名になり、有名になった画家の作品が成金によって買われているのだ。そういう類のコレクターではない。

大金持ちが大枚叩いて購入する1枚の絵の金額で、彼女は若手の作品を何枚も購入する。彼女が勝ったとの噂によって、そして彼女の奇抜な展示によって画家は有名になり、作品の価格が上がっていく。後の画風を見てさらに伸びると思えば買い足し、頭打ちだと思えば高いうちに売ってしまう。その決断力の素晴らしさも映画の中では語られている。

こうやって彼女は良いものだけを手元に残し、父親の資産を減らすことなく生涯を閉じる。莫大な財産を相続したといっても、無能であれば数年で使い切ってしまえるほどの金額であり、決して浪費だけで生涯絵画を購入していたわけではない。彼女はアートで稼ぎ、アートコレクションを増やし続け、厳選し続けた。なかなかこれほどの人物は出てこないだろう。

お金は有能な人間が持ってこそ価値がある。バカは存在が無駄なのだからさっさと死ねばいいのだ。











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