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「未来のミライ」(2018年作品)感想 [映画]

細田守監督による日本のアニメ映画。

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<あらすじ>

クンは家で両親を待っていた。両親は生まれたばかりの妹ミライを連れて病院から戻ってきた。両親は新生児の育児にかかりっきりになってクンを構ってくれなくなった。拗ねたクンは赤ん坊をひっくり返してしまった。すると愛犬のゆっこが人間の姿になって、クンが生まれたときに自分も同じ目に遭ったと訴えた。母親は職場に引っ越し、独立した建築家の父親が子供の面倒を見ることになった。

そこに未来から少女になったミライがやってきた。両親は雛人形を片付けておらず、このままでは1日に1年時間が進んでしまうので片づけに来たのだ。クンも手伝って、母親が帰宅する前に何とか終わった。

ほどなくしてクンは少女時代の母親に会った。母親も我儘を言って親に怒られていた。次は曾祖父に会った。曾祖父は戦争で脚を悪くしていたが、未来を見て行動する大切さを教えてくれた。クンは努力を続け、乗れなかった自転車に乗れるようになった。それもクンは妹に時間を割く両親に相手をしてもらえない疎外感を拭うことはできなかった。

クンは駅に迷い込んだ。そして我儘を言うと未来の東京駅に迷い込んでしまった。独りぼっちの世界へ連れていこうとする未来の新幹線に乗りたくないクンは、自分を証明しなければいけなくなった。クンは自分は母親の子、父親の子とは言えたが、そのあとがどうしても思いつかなかった。そこに赤ん坊のミライが現れた。ミライもまた独りぼっちの世界へ連れて行かれそうになるので、クンは必死に彼女を守り、自分はミライの兄だと自覚して叫んだ。

未来のミライに家族の歴史を見せてもらったクンは、急いでみんなが待つ家に帰っていった。

<雑感>

父親や母親が自分の自我の中に取り込まれていて、泣けば自分の代わりに何でもやってくれると思い込んでいるのは、他人の自我を意識できずに未分化になっているからだ。幼少期はみんなそうで、それが弟や妹が出来ると両親がそちらにかかりきりになって、両親は自分の中にあるわけではなく別のところにいると知ることになる。

すべて自分の自我の中にあるとの勘違いが解けて、他人を意識して慮るようになる。そのきっかけはまちまちだが、クンの場合は妹が出来たことだった。ひとりひとりに世界があり、思い出があり、歴史がある。自我はひとりひとりにあり、自分の自我だけがすべてではない。兄弟が出来るというのはそうした理解のきっかけになる。

この作品は、自我が未分化で、他人が自分の自我の中にあると思い込んでいた幼児が、そうではないと気づくさまを描いた作品で、テーマとしては非常に珍しい。アニメ作品の中のエピソードとしてなら描かれることはあるが、それがメインテーマになっているものは少ない。

自我が未分化のまま、自分も他人も全部自分の自我の世界にあるものと勘違いした気狂い人間が多い中、よくこれをテーマにしたものだと感心する。おそらくはかなりの反発を予想していたはずなのに、とても勇気のある決断だ。細田守はやはり面白い。

アマゾンで視聴したのでレビューをちらっと眺めてみたのだが、やはり自我が未分化で世界は全部自分の中にあると思い込んでるバカが暴れて低評価をつけていた。この作品に発狂するのは気狂いだけで、幼児期にちゃんと自分と他人との間に境界線を敷くことができた人間は、この作品がとても普遍的なテーマを扱っていることを理解できる。体験していないからわからないのだ。

☆5.0。この作品をアマゾンで観た人は、視聴後に低評価レビューを読んでみるといい。オレが上に書いたことがよくわかるはずだ。


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細田守 ミライをひらく創作のひみつ

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