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「さらば愛しきアウトロー」(2018年作品)感想 [映画]

デヴィッド・ロウリー監督によるアメリカの伝記犯罪コメディ映画。出演はロバート・レッドフォード、シシー・スペイセク、ケイシー・アフレック。

<あらすじ>

礼儀正しい銀行強盗のタッカーは、テキサスの各地で銀行を襲撃しながら不思議と悪評が立たなかった。彼を追う刑事のハッカーは、彼を何度も逮捕しそこない、ついにFBIに仕事を奪われた。タッカーは車の修理を手伝った縁で知り合ったジュエルとの交際を深めていった。

タッカーは10代のころから強盗と逮捕と脱獄を繰り返している人物で、ピストルは見せるが決して撃たないことで有名だった。仲間はふたり。彼らは黄昏ギャングと名乗っていた。紳士的なので金を奪われても恐怖心が薄く、それが捜査の妨げになっていた。

ハッカーはレストランで彼と遭遇した。そのときは逮捕できなかったが、タッカーは間もなく捕まり、仲間も散り散りになった。タッカーはまた脱獄するのではと思われたが普通に刑期を終え、迎えに来てくれたジュエルの世話になって、また強盗に向かった。

<雑感>

90回以上の凶悪な銀行強盗を繰り返したフォレスト・タッカーをモデルにした作品。劇中では10数回の犯行になっているが、本当はもっと多い。人を傷つけず、それどころか大変いたわりのある態度で他人に接するので、凶悪事件なのに凶悪な雰囲気がしない紳士強盗の話だ。

恐怖を与えられた人間は、恐怖から解放されると自分に恐怖を与えた人物を激しく憎むようになる。恐怖は抑圧なので、抑圧が加わっている間は憎しみの感情は表に出て来ないが、抑圧がなくなった途端に抑え込まれていた憎悪が噴き出す。

学校で虐められた人間が、学校を卒業してから相手を激しく憎悪するようになるのは、恐怖から解放されるからだ。抑圧の記憶と憎悪は何年経っても消えない。

フォレスト・タッカーは、そもそも相手を抑圧しない。銃を見せて脅かすが、物腰は柔らかく、相手に極力恐怖を与えないように振舞う。抑圧のレベルが低いので、強盗がすんで姿を消した後に、脅かされていた人間の心に憎悪が生まれにくい。まるで貯金を引き出す普通の人が帰っていったときのように何事も起こらない。

被害としては強盗なので銀行にとっては死活問題ではあるのだが、発生する憎悪はクレーマーなどよりよほど小さい。クレーマーなど相手にプレッシャーを与えているので、何の被害もなく、むしろ店側に落ち度がある場合も多いのに、激しく憎まれる。そしてその記憶は一生消えない。「あのときのクレーマーに似ている」と思っただけで、強烈な憎悪が意識の表面に出てくる。

オレがフェミニズムやBLMに批判的なのは、暴力性を帯びた運動は相手を抑圧しており、それは必ず憎悪を生み出して自分に返ってくると思うからだ。女性解放運動も黒人解放運動も、時間が経てば以前より激しい憎悪を返されて惨めに失敗するだろう。クレーマーと同じで一時の感情で敵と見做した人間を抑圧する運動は、必ず敗北する。抑圧期間が長ければ長いほど憎悪は大きくなる。

☆4.0。そんな心理を巧みに描写してあるよく出来た映画だった。紳士強盗は激しさがないので映画になりにくいと考えるのは、描写力が欠如しているからだろう。この監督はよくやったと思う。


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