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「ホドロフスキーの虹泥棒」(1990年作品)感想 [映画]

アレハンドロ・ホドロフスキー監督によるイギリスの前衛映画。出演はピーター・オトゥール、オマー・シャリーフ、クリストファー・リー。

<あらすじ>

昏睡状態になったルドルフ・フォン・タナーの遺産を巡り騒動が起ころうとしていた。そこにルドルフの甥で相続人のひとりメレアーグラ・フォン・タナーがやってきた。風変わりな彼は変人と呼ばれていた。ホームレスのディマは彼をマンホールの下の住居に案内した。

おかげでメレアーグラは行方不明者になってしまった。彼はマンホールの下で遺産が入ったらすべて君にあげるとの約束をして、ディマをこき使って生活させてもらっていた。相続の条件はルドルフの犬の世話をすることだったが、メレアーグラの犬は下水に流されてしまっていた。遺産が貰えないと分かったディマはメレアーグラを見捨てようとするが、大雨で下水道が一杯になりそうだと知って慌てて彼の下へ戻った。

必死に逃げるふたりだったが、どうしようもなくなり、メレアーグラは自死を選んだ。するとそこに彼が飼っていた犬が戻ってきた。ディマは犬とともに外へ出た。

<雑感>

映画監督の作家性を嫌う人間は、作家性の権化アレハンドロ・ホドロフスキーをどう評価するのだろうか。しかもこの作品は、彼の初めての商業作品なのである。商業作品というところが重要な点である。

ルドルフ・フォン・タナーは自分の財産を狙う親類にほとんど興味を持たず、軽蔑している。彼が愛するのは売春窟の女性たちだ。そこで女たちに囲まれながら幸福な心臓発作を起こして昏睡してしまう彼は、財産を売春婦たちに預け、残した犬を世話しろと命じる。

一方、甥のメレアーグラ・フォン・タナーは、財産には興味がなく、犬が可愛くて仕方がない。自分にも財産が来ると信じている彼は、貧乏人のディマを金をやるからと自分の召使にする。ディマは金欲しさに必死に男爵を養う。その金が貰えないとわかると失望していったん去るが、やはり情が移ってしまっていて戻り彼を助ける。

男爵は生にも執着しておらず、自分が足手まといになっていると感じると自ら手を放して濁流に飲まれて死んでしまう。何もかも失ったディマのところに、犬だけが戻ってくる。そしてディマはそれを心底喜ぶ。金という要素を剥ぎ取っていった結末に、自分の命と友である犬の命だけが残る。そこに大きな虹がかかり、ひとりと1匹の命を祝福する。ようやくふたりは、ルドルフが金を売春窟に預けた境地に辿り着く。そんなものにはなから意味はなかったのだ。

生への祝福、友への祝福、それをこれほど鮮烈に描いた作品はなかなかない。

☆5.0.またひとつひとつのカットの考え抜かれた構図も素晴らしい。大量の雨が自分に死をもたらすと確信したメレアーグラの独白シーン。マンホールから雨がしたたり落ち、雷が鳴って彼はいよいよ死という幸福、変人呼ばわりからの解放に歓喜する。そこにディマが戻ってきて、いったんは半ば彼のために生きようとするが、いや生に希望を持つ彼が自分の代わりに生きればいいではないかと悟って自死を選び、そして犬のクロノスがまるでメレアーグラの身代わりであるかのように姿を現すラストは胸が震える。


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