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「Gレコ ファンジン 暁のジット団」vol:78(Gレコ2次創作 第29話 前半) [Gのレコンギスタ ファンジン]

「ガンダム レコンギスタの囹圄」


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第29話「分派」前半



1、


フォトン・バッテリーの供給が停止されて間もなく1年になろうとしていた。

すでにエネルギーが枯渇した地域もあれば、節約に努めて余力を残している地域もある。エネルギーの枯渇は農作物の収量低下に繋がるため、世界的規模の話し合いが求められていた。ところが移動する手段もなく、フォトン・バッテリーに頼った経済は変調をきたしており、どこの国も国家主義が台頭して外交に期待する機運は盛り上がっていない。

新聞は発行停止になっており、テレビは停波された。都市生活は破綻して、家族ぐるみで地方への疎開が相次いだ。地方は地方で農機具が動かないために労働力を必要としていたので、幸いなことに都会からの流民が仕事にあぶれることはない。エネルギーも原材料も木材に頼ることが増え、山々は禿げ上がっていく。鉄砲水の心配をよそに、木材価格は高騰していった。

情報の伝達はもっぱらラジオに頼っていた。充電ができないために鉱石ラジオが復活して飛ぶように売れていた。各地の政府はラジオ番組の制作だけは細々と続けていたが、どこ放送局も国営にされた。問題は電力の確保で、期待されたソーラーパネルはバッテリーが貧弱であったためにすぐに使えない代物だと判明した。フォトン・バッテリーは地球人の科学では充電できない仕組みなのである。

日本など送電網や鉄道網を復活させていたアジアの一部地域では電力不足は深刻な課題となり、宇宙世紀時代のダムを発掘するプロジェクトが始まった。アジア地域は戦争を行っていなかったために、フォトン・バッテリーには余裕があったので、工作機械を動かすことが出来たからだ。その他にも様々な大規模発電が研究された。その中にはゴンドワンで大事故を起こした原子力開発も含まれていた。

多くの地域で乗合馬車が復活していた。自動車が走っていた道路には馬の糞が転がった。道路は整備されていたので、乗合馬車を運行する企業が地域にひしめき、労働馬の需要が高まっていた。経済活動はグローバル経済からローカル経済へ逆戻りして、生産性が低下するのと同時に失業率は低下した。

エネルギーの枯渇は人々の生活を日々退歩させていく。それでも人間というのは状況に適応するもので、国家主義は特段の暴力性を帯びず、内政第一主義の枠を逸脱しなかった。それぞれの地域が、それぞれの地域の生産力に合わせて退歩の速度を緩やかにしようと躍起になっていた。

世の中の仕組みが静かに変わっていこうとするなかで、世界各国のラジオはキャピタル・テリトリティの法王庁が新法王にトワサンガのベルリ・ゼナム・レイハントンを指名したとのニュースを流した。その数日後、今度はザンクト・ポルトのスコード教会がゲル法王猊下は退任していないとの見解を発表した。キャピタル・タワーの上と下で別々の法王が立てられ、分派の様相を見せたのである。

世界各国はこの醜聞を笑い、冷やかすとともに、もしかしたらビーナス・グロゥブからフォトン・バッテリーの再供給が決まり、配給権を巡って主導権争いが始まったのではないかと推測した。もしそうだとすると、配給権を持っている方に与しなければ後々のエネルギー確保に大きな支障が出る。世界各地のスコード教会には問い合わせが殺到した。

スコード教会の返答は、法王庁が正しいというものだった。地球のスコード教会はキャピタル・テリトィの法王庁の傘下として組織されていたからだ。では法王はトワサンガの王子だというベルリ・ゼナム・レイハントンなのか? その問いは、当然のように姉であるアイーダ・スルガンの元に寄せられることになった。

1年生議員でありながら同時にアメリア軍総監の地位を相続という形で受け継いだアイーダ・スルガンもまた政治的に風当たりの強い立場にあった。ラジオ局は彼女のインタビューを録るために何度も取材の申し込みをしたが、議会閉会中を理由に断られていた。当のアイーダはそのころ中西部の小さな町までやってきていた。

その町は数百年放棄されていたコロニー落とし以前に栄えていた場所だが、最近まとまった数の入植者があって徐々に町としての機能を取り戻しつつあった。その入植者というのが、ビーナス・グロゥブからレコンギスタを果たしたのちに流れ流れてアメリアの田舎に腰を落ち着けたジット団のメンバーであった。彼らはアメリア政府との取引で得た資金を基に広大な土地の権利書を手に入れたのだ。アイーダは、クン・スーンの元を訪ねていた。

アイーダが彼女のところにやってきたのは、ゲル法王が法王の座を追われ身分が不確かになってから、彼女のところで匿ってもらっていたからであった。アメリアがゲル法王を匿っているとわかるとおそらくそれは国際問題になるはずだった。それでなくともトワサンガの王になったベルリ・ゼナムの姉は色眼鏡で見られがちなのだ。

レイハントン家による地球支配、そんな噂が立つのは極力避けたかった。

しかし、彼女のところにゲル法王はいなかった。こんな状況下でも彼は説法会を開催することを辞めず、宇宙世紀時代初期のニュータイプによる相互理解の話を力を込めて話し続けていた。人間の意識はいつか必ず人と人との断絶を乗り越える。彼にとって冬の宮殿で観た映像は、決して黒歴史などではなかったのである。戦争を続けたからニュータイプは可能性を閉じてしまった。それが彼の持論であった。ゲル法王はむしろ話し足りなかったのである。

アイーダとしてはこれ以上キャピタル・テリトリティの混乱を放置するわけにはいかなかった。というのも、ゲル法王の亡命騒ぎから1年が経過し、クレッセント・シップ、フルムーン・シップともにビーナス・グロゥブに到着したと考えられるいま、フォトン・バッテリーの供給体制を整える必要があったからだ。キャピタル・テリトリティはいまや大きく姿を変え、以前と同じ仕事をこなせるかどうかわからない。タワーの運航についても、フォトン・バッテリーの供給体制にしても、人材が枯渇しているのである。

それどころか、いまだテロ事件が頻発している有様だ。悪いことに、法王庁守備隊という軍事組織まで存在している。彼らキャピタル・アーミーの残党は、戦争で多くの人間が死んだことなど一切眼中になく、ゴンドワンからの移民とクンタラ国の残党を一掃すると息巻いている。こうなることを見越して、クリムトン・テリトリィ時代の官僚やクンタラ国時代の官僚をクリムとルインとともにビーナス・グロゥブに送り込んで一般市民だけが残るようにしたのに、利権を失う恐怖に怯えた法王庁だけが暴走しているのだ。

アイーダは、行政府の長として孤軍奮闘しているはずのウィルミット・ゼナムをサポートするためにも、最悪アメリア軍をゲル法王とともには派遣して事態の収拾を図ろうと目論んでいた。問題は、軍事行動を起こすほどのフォトン・バッテリーが残っていないことであった。

ゲル法王をアメリアへ招待したのは、事態の収拾に彼を利用できるという側面もあった。出来ることなら法王サイドから接触して何らかの提案があれば良かったのだが、アメリアへやってきたゲル法王は積極的に各地を飛び回り、行く先々で熱狂的歓迎を受けている状態であった。彼はあまりにも政治に関心がなさ過ぎた。それは宗教家にとってはいいことかもしれないが、宗教国家の立て直しには決して良いことではなかった。

「ここは電力の制限はどうなっているんですか?」

アイーダが案内されたのはかつて銀行だった建物であった。500年ほど前に改築されたのちに放棄され、再びジット団が手を入れて使えるようにしたものだった。室内は煌々と明かりが灯り、鉄格子の向こうには金庫の巨大な扉が見えていた。

「政府から配給の電力は引いていないんだ。全部自分たちで作っている。幸い川の水量が安定していたんで、小型水力発電機を作って沈めた。バッテリーも手作りだよ」

クン・スーンはブルージーンズのオーバーオールにTシャツ姿で、背中に子供を背負っていた。子供の名はキア・ムベッキ・Jr。ジット団のリーダーだったキア・ムベッキの子供であった。彼らジット団のメンバーは、入植先のキャピタル・テリトィでかなりのメンバーが散り散りになり、クリム・ニックの戦争によって多くが死に、さらにニューヨークで起こった大災害によって生活基盤を失った。

しばらく行方不明であったが、戦争を避けるために内陸部へ移り住んでいたのだ。クン・スーンは肌の色も濃くなり、健康そうであった。アイーダはその姿に少しほっとした気分だった。移民受け入れ政策を推し進めてきた彼女だが、ずっと執務室と宿舎を往復する生活だったので、人々の暮らしがどうなっているのか心配だったのだ。

「アメリアというのは発掘品を掘り尽くしているのかなかなか出ないけどさ、出ればお宝の山だからすぐに発電機にして使ってるんだよ。資源を使い果たして宇宙進出したとは聞いていたけど、本当に何も出ないからね。しばらくは発電装置で食いつなげそうだけど」

「コバシさんもお元気なんですね」

「まあね。あいつはいまでは発掘屋さ。地球の歴史は長くて、地面の下に何でも埋まってる。ものは出なくても情報は埋まってるからね。面白くて仕方がないのさ」

「それでお話なんですが」

クン・スーンはアイーダの話をさえぎって両腕を組んだ。

「フォトン・バッテリーに充電できないかという話だろう? フォトン・バッテリーは金星の環境と設備がなければいじれない。そもそもあれだけの蓄電量のバッテリーを爆発させない仕組みは、精緻な科学力がないと無理なんだ。地球の科学力ではできない。それは諦めた方がいい。それよりこれだけの自然エネルギーを利用しない手はないよ。小さな発電機と小型のバッテリーを量産すれば、生活に必要な分くらいは賄えるというものだ」

「ソーラーパネルはやはりダメですか?」

アイーダは残念そうにうなだれた。クン・スーンは首をすくめてみせた。

「無尽蔵のエネルギーだって思ったんだろう? 大気圏内にソーラーパネルを設置してもダメだね。パネルを作るエネルギーを回収する前に自然災害で壊れちまうし。あれは宇宙に設置してレーザーで送電するといいんだ。だけども送電網に使う銅も産出されないし、どっちにしても難しいかな」

「わたしたちは随分と科学が進歩した気になって、フォトン・バッテリーなどに頼らなくてもと豪語したものですが、何もわかっていなかったんですね。宇宙世紀は繰り返そうにも繰り返せなかった」

「地球にいるとね、そうなるのさ」クン・スーンは暖かいコーヒーをテーブルにコトリと置いて子供をベビーベッドへ移した。「こんな言い方をしては悪いが、地球にいると人間は愚鈍になる。与えられた役割がないからだ。宇宙ではそうじゃない。自分がやらなきゃいけないことが決まっていて、怠れば即コロニー全体の危機になる。もちろんバックアップは用意してあるから本当はそう簡単に危機になんかならないんだけど、自分の失敗で大勢の人間が死ぬことは小さいころから教え込まれる。知識の継承を怠れば命とりだから、教育は厳しい。でも地球はそうじゃない。怠け者がいたって誰も死なない。本人が死ぬだけだ。それだってよほどのことがなきゃ死なない。労働の義務に対する意識がまるで違う。こっちにしてみれば、地球人はみんな愚鈍そのものに見える。スペースノイドとアースノイドは同じ人間だけど、人格形成はまるで違う。それを日々痛感しながら生きてるんだよ」

「愚鈍ですか」アイーダはその言葉に強いショックを感じた。「そのことについては弟も考えているところがあって・・・」

「地球人を宇宙で教育するって壮大な話だろ」クン・スーンは遠い目をして天井を見上げた。「子供を育てていてわかったのは、ビーナス・グロゥブの仕事の大半は宇宙に再現した地球環境の維持だったってことさ。それでも地球とはいろいろ違うから、科学を発達させて、薬漬けで子供を育てる。だけど地球では何もしない。感染させて免疫を強化する。強い者だけが生き残る。ボディースーツなんて誰も着ない。弱ければ死ぬ。ピアニ・カルータがカルチャー・ショックを受けた地球のありようというのは、そういうものだったんだ。地球は優生だけが生き残る。劣生は死ぬ。それが当たり前の世界に、戦争をするなという理屈だけを持ち込むのは確かに不自然ではあるんだ。一方で、わたしたちジット団はキャピタルにいたときに本物の戦争の恐ろしさを知ってしまった。あそこで体験したのはモビルスーツ同士で格闘技をする戦争じゃない。破壊だ。いくら破壊しても地球は壊れない。だからとことん破壊して人間がいなくなったら土地を奪う。土地を奪えば、生命が再生する。それを利用すれば同じものを作り出すことが出来る。あれは本当に衝撃だった。しかも、戦争をすると愚鈍そのものの地球人がにわかに活気づいて頭を働かせはじめる。戦争の中で本物の優生が生まれて、彼らが宇宙へ出るとニュータイプになる。本物の優生であるニュータイプは地球を見下ろして、なんて愚鈍で無知な人間だろうと憐れむ。宇宙世紀に起きたことって結局こういうことだったのだろう」

「スペースノイドとアースノイドの戦いの本質についてはまだ何も解決していないということですね」

「ベルリはきっとこう考えたんだよ。『キャピタル・タワーは登るために作られたのか、降りるために作られたのか』そして彼は、登るために作ったって結論付けたのだろう。ロケットに乗った特別な人間だけが宇宙に進出するのではなく、誰もが当たり前のように宇宙へ出て、地球環境の維持がいかに大切かを労働を通じて学び、帰っていけばいいってね」

「アジアを独りで旅してみて、あの子は正しい答えを見つけたのだと思います。難しい問題に真正面から取り組んで・・・」

「それはあんたも一緒。若いのによくやってるさ」

扉がノックされた。ふたりは会話を打ち切って待ちかねた人物を迎え入れた。その人物とは、ゲル・トリメデストス・ナグ法王であった。アイーダとクンは恭しく頭を下げた。アイーダの脳裏には最後に聞いたジムカーオの言葉が蘇っていた。

(ニュータイプが起こした奇蹟を教義の中心に置く限り、神に迫ろうとする科学者は必ず現れる。そして神のごとく人々を操るニュータイプもまた現れる)

リンゴ・ロン・ジャマノッタの身体に憑依してそう告げたジムカーオの言葉にアイーダは身震いした。月の奥深くに隠された冬の宮殿も、ザンクト・ポルトのスコード教会も、いずれは科学者によってさまざまな研究の対象になるだろう。そして、ベルリはとても危うい立場にある。

「これは、アイーダさん、そしてクンさん、健やかですか?」

法王庁から事実上の破門を受けた後も、ゲル法王は元気そのものだった。説法にはますます磨きがかかり、アメリアを横断する説法会はどこも満員の盛況であった。進歩主義的で信者が少ないとされていたアメリアでの成功は、本来ならばスコード教会が喜ぶべきところであったろう。

ビーナス・グロゥブ生まれのクンは地球の法王など畏れたりはしない。ただ、彼が初代レイハントンの仕掛けに気づいたという話は聞いており、ラトルパイソンで体験した神秘への扉を開いた人物として尊敬していた。気取らない彼女はゲル法王にも同じようにコーヒーを振舞った。

ジムカーオ大佐の戦略に易々と乗せられたとき、あれほど不安そうで自信なさげだった人物と同じとはとても思えないほど法王は元気で、クンに感謝するとさも美味しそうにコーヒーを一気に飲み干した。

「大変な立場にある方とはとても思えません」

アイーダは素直に感嘆した。現在ゲル法王は拠るところなき王なのである。キャピタル・テリトリティの法王庁はついに彼を見限り、彼を指示しているのはザンクト・ポルトのスコード教団。また宇宙へ亡命するしかないほど追い詰められている立場なのだ。

ゲル法王はふうと息を整えると心配そうなアイーダを逆に慰めるように話し始めた。

「キャピタル・テリトリティの法王庁というのは行政機関のひとつで、教義というよりキャピタルでの行事に宗教的なお墨付きを与えるのが仕事だったのです。なぜなら、キャピタル・テリトリティにはフォトン・バッテリーを配給するという仕事があった。悪用すれば大変な利益を独占する仕事です。下手をすると、その配給権を巡って戦争が起きてしまう。アイーダさんが海賊行為という名目でタワーを襲撃してきたとき、法王庁ではアメリアがフォトン・バッテリーの配給権を奪いに来たのだと大騒ぎになった。配給権を独占することはそれほど大変なことなのです。同じくクリムさんという方がゴンドワンの若者を率いてタワーを襲撃してきたのもそうです。クンタラ国という人々がその権利を簒奪したというのもそう。別にキャピタル・テリトリティが欲しいわけでも、タワーが欲しいわけでもない、フォトン・バッテリーの配給権を独占したいんです。フォトン・バッテリーの配給権というのはそういうものです。だから悪用されないように宗教的なタブーで抑え込んでいた」

クンはケラケラと可笑しそうに話を引き継いだ。「法王さまはフォトン・バッテリーはもういらないというんだ」

「必要なのは現在の地球に残された資源で作ることのできる爆発しない大容量のバッテリーではないのですか?」

「いやそうですけど」アイーダは困ったような顔で法王の話を遮った。「確かにそうではありますけど、フォトン・バッテリーはいずれ再供給されるのではないですか。そのときに法王さまがキャピタル・テリトリィにいてくれなくては、それこそ巨大な利権が不正まみれになってしまう」

「式典で儀式をするだけの宗教などもう必要はないのです」ゲル法王は自信に満ちた表情で話した。「ザンクト・ポルトやトワサンガ、ビーナス・グロゥブ。ああした存在が明らかになったいま、スコード教が承認した配給権の正当性など意味を失っています。1年前、クレッセント・シップが地球を巡行したとき、崩れたバランスは元に戻ろうとしていた。もう1度スコード教を中心に禁欲的で抑制の効いた文明支配が戻ってくる可能性があった。しかし、いまの地球にそれはなくなってしまったのです。クンさんのようにビーナス・グロゥブの方々が一緒に住んでいる。トワサンガにいるベルリくんの生の声が地球に届けられる。そしてアイーダさんも、調査報告という形でクンパ大佐とジムカーオ大佐の事件を世界に向けて報告しようとしている。多くのことが明らかになり、神秘のベールで重大なことを隠し通せる世界はなくなってしまっている。わたくしは各地を説法で回るようになり、開明的な世界で宗教家がなすべきことを見つけてしまった。わたくしはビーナス・グロゥブでラ・グー総裁とお話をさせてもらったとき、まさか自分に宗教改革などできるとは夢にも思わなかった。なぜそんなものが必要なのかも理解していなかった。しかし、いまになれば何もかもラ・グー総裁のお話の通りでした」

アイーダは当てが外れて天を仰いだ。

というのも彼女は、ビーナス・グロゥブからフォトン・バッテリーが再供給されることを見越して、キャピタル・テリトリティと法王庁をどのように改革できるのか直接話を聞くつもりだったからである。肝心の法王にそれをやる気がないときかされれば、途方に暮れるしかない。

「法王さまは今後いかがなさるおつもりなのでしょう」

「わたくしはアジアへ行こうと思っています」

「は?」

「フォトン・バッテリーのことは、ベルリ・ゼナムくんが善きに計らうことでしょう。彼を法王にというのはあながちおかしな話ではない。スコード教は人と人との融和、相互理解の奇蹟について真摯に訴え続けていくべきで、フォトン・バッテリーのような生臭い話に関わるのはやめた方がいいのです」

「ほらな?」

クン・スーンはそれ見たことかとアイーダを眺めまわした。彼女はゲル法王を家に泊めている間、ラ・グーとゲル法王の間でどんなやり取りがあったのかすでに聞いていたのだ。

「いやでも」アイーダは首を振った。「キャピタルはどうなるのです? いまだ誰が収めるのかも決まっていない。実質的なリーダーはウィルミット長官がなされていますけど、こじれにこじれた土地の所有権の問題など議会を再開しないとできない。ところが、元の住民、彼らを無差別に殺戮したゴンドワン人、クンタラ国の人々が入り混じって収拾がつかなくなっていて、あれを束ねるのは容易なことではありません。もっと絶対的な力を持った人物がいないと」

ゲル法王はまるでそっけなく応えた。

「ビーナス・グロゥブがフォトン・バッテリーを供給するかどうかはわからないそうですよ」

「え?」

驚くアイーダに、クンが詳しく説明をした。

「ビーナス・グロゥブの新総裁はキルメジット・ハイデンなんだろう? 彼はラ・グー総裁の影に隠れて目立ってはいなかったが、『即決のハイデン』といって、かなり大胆なことをする男なんだ。ラ・グー総裁が判断に困ったとき、必ずハイデンに助けを求めた。するとハイデンはいつも即決するのさ。こうしましょうと。彼は迷わない。エンフォーサーを始末するとなれば、一気に戦争までもっていく。それでどういう影響が出るのかなど先を見通す力はあるが、犠牲者のことなどお構いなしなのさ。計算するのが早いんだな。エンフォーサーという連中にはお気の毒なことだが、もう全員処分されていることだろう。ビーナス・グロゥブはラ・グー総裁のときとはかなり変わってしまっているはずだ」

「フォトン・バッテリーが・・・、来ないんですか? それはまた、下手をすると戦争になりかねない」

「だから送らないのさ」クンは子供に指を預けながら話した。「戦争慣れしてしまった地球人は、フォトン・バッテリーを送らなければわずかな資源を求めて戦争をするだろう。しかしそういう人間たちにエネルギーをふんだんに送りつけたら戦争は終わるのかい? そうじゃないだろう。そういうことを一瞬で判断して、文明を100年遅らせようと行動に移してしまうのが、キルメジット・ハイデン、いまはラ・ハイデンと呼ばれているはずの男さ」

「フォトン・バッテリーが・・・来ない? まさか!」


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