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「Gレコ ファンジン 暁のジット団」vol:55(Gレコ2次創作 第17話・後半) [Gのレコンギスタ ファンジン]

「ガンダム レコンギスタの囹圄」


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第17話「レイハントンの子供」後半



(アイキャッチ)


オーディン1番艦に警戒警報が鳴り響き、艦内は緊張に包まれた。前方より急速に接近してきたのはアイーダのラトルパイソンではなくメガファウナであったためだ。しかも未確認戦艦2隻を伴っている。

やおら慌ただしくなった艦内は人で溢れ、しばらくしてブリッジにクリム・ニックとミック・ジャックも姿を現した。モニターはハッキリとしない小さな影しか映し出していない。識別表示だけがそれをメガファウナだと告げていた。

クリム「接触までの時間は?」

兵士「このままなら5時間後に接触です」

クリム「第1種戦闘配備。全員ノーマルスーツ着用。モビルスールデッキの空気を抜くからすぐに支度しろ。パイロットは軽く何か口に入れておけ。艦隊戦になる。ガランデンを先頭にオーディンは左右に開け。距離を空けながら速度は落とさずこのままトワサンガを目指す」

クリムは次々に指示を出すと自分もノーマルスーツを着用するためにブリッジを出た。

その後を追いながら、ミック・ジャックはついにメガファウナと対峙することに不安を感じていた。彼女は自分たちが国家を裏切ったこと、そして移住先のゴンドワンから過大な期待をかけられていること、キャピタル・テリトリィという国家を亡ぼしてしまったことを思い出していた。

ここまで来て穏便に物事を解決することなどできない、ミック・ジャックはそうとわかっていて心がざわつくのを抑えられなかった。手が震えてパイロットスールを上手く着ることも出来ない。彼女は力任せに右手でドンとロッカーを叩いた。

ミック「ダメだ。迷っていたら死ぬ。クリムについていくと決めたんだ。後悔を感じるこの胸を焼き潰さなきゃ」

5時間はあっという間に過ぎ去った。通信可能範囲になるとミノフスキー粒子が散布され、一切の対話は拒絶された。

敵味方双方、まったく速度を落とさない。警戒警報が鳴りやむことはなく、我慢比べが続いていた。

ガランデンに続いて左舷後方に位置取ったオーディン1番艦は、艦砲射撃が始まるのをいまかいまかと待った。月を大きく迂回してトワサンガへ入るルートには、寄るべきものは何もなかった。宙域にあるのは対峙するふたつの戦力だけであった。

ミック・ジャックは自身の専用機ラ・カラシュのコクピットの中で水分を取りながら、怒鳴り合いのようなやり取りが続く回線をすべて遮断した。

ミック「こんな何もない広大な空間で、出会った瞬間に殺し合いを始める人間という動物は一体何を考えているのだろう? 腹が減って相手を食べるわけでもないのに」

ふうと息を吐いて彼女は回線を元に戻した。

クリム「聞いているのかミック!」

いきなり飛び込んできたクリムの声に彼女は驚いた。

ミック「精神統一をしていたんですよ。なんです?」

クリム「メガファウナからはおそらくG-セルフが出てくる。オレはあいつの相手をすることになるから、ミックは1番艦のルーン・カラシュを率いてメガファウナを攻撃してくれ。後ろの見慣れないものはダミーの可能性があるから気にしなくて良い。メガファウナだけを沈めろ」

ミック「了解です」

いつも自分に背後を任せてくれるクリムがおかしなことを言うと首を傾げようとしたとき、クリムから接触回線で、G-セルフがいない場合はいつも通り後ろにいてくれと言葉があって、ニック・ジャックはそういえばなぜG-セルフは悪魔のような役回りばかりなのだろうかと別のことを考えた。

ミック「(落ち着いた声で)はい。了解です」

艦砲射撃が始まる前の蛇行が始まり、戦闘は開始された。開け放たれたモビルスーツデッキに砲撃の閃光が入り込んでくる。しばらくしてミサイルの爆発による衝撃が起き、ゴンドワンの3隻の戦艦は左に大きく舵を切った。同時にモビルスーツが発艦していく。

宙(そら)に出たミックのラ・カラシュには、小さく右舷に流れたメガファウナの位置情報が断続的にモニターに表示される。胸の鼓動と自分の呼吸音を聞きながら、ミックはルーン・カラシュの編隊を進行方向斜め上へと導いた。

メガファウナと2隻の船はばらけることなく宙返りしてそのままゴンドワン軍の後方から追いかけてくる形になった。ガランデンとオーディンは蛇行をやめトワサンガへのルートを保ったまま後方のメガファウナに対して主砲を放った。

双方メガ粒子砲の撃ち合いになるが、ガランデンは後方への攻撃力が弱いため若干先行させてオーディンが守りながら応戦する形になった。

オーディン1番艦を出たミック・ジャック率いる隊は閃光の合間を縫ってメガファウナに迫ろうとしたが、上方よりMSのビーム攻撃を受けたためにいったん下方へ移動し、ビームを避けて右舷に回り込んで再びメガファウナと対峙したところで赤い飛翔体と交差した。

それは一瞬で形を変えた。

ミック「G-アルケイン? まさか姫さまが?」

ミノフスキー粒子が相手の位置情報を掴ませてくれず、宇宙の闇が味方機の編隊をばらけさせていく。小さな混乱を収束させるための指示はなかなか届かず、空間に突如として大量に出現してきたまるで見たことのない敵MSが混乱に拍車をかけた。

メガファウナの両脇を固める船から出撃してきたMSは、どこの国のものとも違い、異質さを感じさせた。まるで違う時代の代物が紛れ込んで来たかのように、設計思想が基本から違うような機体であった。これに動揺したのはゴンドワンの兵士たちであった。

ミックは必死に光信号で編隊再編を指示するものの見落とす者が多く、移動についてこられない機体はあっという間に敵に囲まれて撃墜させられた。

一瞬交差したG-アルケインは、その動きから指揮官でないことは明白であった。射撃に長け、戦場を自在に動き回りながら確実に多くのルーン・カラシュにダメージを負わせていく。

ミック「あの動きはアイーダ姫さまじゃない。誰だ? ルアンか?」

このままでは戦力を削られるばかりと判断したミックは、メガファウナへの突撃を諦め、Unknown 機の編隊と距離を置いて対峙するように布陣すると、長距離ビーム・ライフルを装備したルーン・カラシュを前に出してUnknown 機の編隊めがけて一斉射を命じた。

射撃は相手にダメージこそ負わせなかったが、ビームを避ける動きとすぐさま編隊を再編成する動きから、よほど宇宙での戦闘に慣れた集団であると認められた。

ミック「まさか、トワサンガの・・・」

Unknown 機が出撃してきた流麗で真っ白な戦艦らしき船を横目に、ミックはいったん撤退を命じるしかなかった。

ミック「あんな美術品のような船なのに攻撃力が高すぎる。クノッソスと全然違うじゃないか。どうして、まさかビーナス・グロゥブってんじゃないでしょうね?」

自らしんがりを引き受けた彼女は、1機ずつ突撃してくるUnknown 機を追い払いながら、メガファウナの前にグリモアの編隊がいるのを発見した。後退するミック隊と入れ替わりにオーディン2番艦のルーン・カラシュの編隊がUnknown 機と交戦に入ったのを確認すると、彼女は近くにいた隊長機の肩に手をかけて接触回線を開いた。

ミック「キーン! 指揮権を渡すからあんたたちはメガファウナを叩け。宇宙を征服するってのにこんなところで負けていられないんだよ!」

キーン「姐さんは?」

ミック「あたしはアルケインを落とす!」

そう告げると、ミックは閃光にまみれていない空間へ入り必死の形相でモニターをチェックした。

G-アルケインは再び変形して彼女の遥か後方、オーディン1番艦に取りついて攻撃を加えていた。させるかとばかりに加速をかけたとき、彼女の眼前を青いダ・カラシュと白いG-セルフがとてつもない高速で横切っていった。

ミック「押されてるのか、クリム。でも、間に入ったらあとで殺される」

後ろ髪を引かれる想いで2機を振り切り前方に視線を定めた彼女には、もはやG-アルケインの姿しか見えていなかった。G-アルケインは変形を解いて艦砲射撃の間を縫って突撃しては一撃を浴びせて離脱する攻撃を何度も繰り返していた。

自分がメガファウナに出来なかったことをいともたやすくやっていることに彼女は腹を立てた。

ミック「艦隊守備はどうなってるの!」

その声はミノフスキー粒子に阻まれ誰にも届かない。話し合って分かり合えない人間同士は、話し合う機会すら自分たちで奪っている。ミック・ジャックは自在に動き回って捉えどころのないG-アルケインに何度も射撃を加え、振り向かせることに成功した。

ミック「ルアンだろうが姫さまだろうが、人間をこんなに孤独な生き物にする奴らはあたしが全部落としてやる! 宇宙をクリムに差し出せ!」

G-アルケインはオーディンの機銃から逃れるように戦場を移動すると、ミックのラ・カラシュに攻撃を仕掛けてきた。

2機は激しく銃撃を交えながら距離を置いて螺旋を描くように動き回り、互いにビーム・サーベルを抜くと双方が同時に飛び掛かり閃光を交えた。

ミック「あんた、ラライヤ?」

ラライヤ「ミック・ジャック!」

ミックは一瞬戦場にあるすべてのものを把握したかのような錯覚に捉われた。しかしすぐに気を取り直してG-アルケインに襲い掛かった。G-アルケインはビーム・サーベルを構えたままミックの攻撃をかわし、打ち込む隙を与えなかった。

ミック「(焦った表情で)おかしい。なんであのラライヤがこんな動きをする? なんであの娘の姿が見えた? どうして声が聞こえた? (首を振り回し)違う違う!」

ラ・カラシュがG-アルケインのビーム・サーベルを受け止めると、また大きく思考が拓ける感覚に襲われた。サーベルを押し合うジリジリと焼けるような音がコクピットにまで伝わってくる。

ラライヤ「ミックさんならクリムさんにこんなのやめるように言ってくれないと困ります!」

ミック「(バカにした声で)あんた、いつから大人に説教する子供になったのさ!」

ラライヤ「時代を宇宙世紀に戻しちゃいけないんです!」

ミック「そんなことは(G-アルケインの腹を蹴り上げる)子供に言われなくても(ビーム・サーベルを交える)国境はあたしたちがなくしてみせる!」

ミックは何度も何度も真正面からビーム・サーベルを打ち込んだ。そして、ラライヤのG-アルケインと接触するたびに身体の中の感覚器官が別のものに切り替わる不思議な気分に襲われた。

ミック「何? 孤独は盲? 孤独は聾? 孤独は唖? 閉じ込められているって、誰が?」

心の中に何者かが入ってくる恐怖に彼女は慄いた。心の中に入ってきたのは明らかにラライヤではなかった。別の何か、何者かだった。ミック・ジャックのラ・カラシュは跳び退ってG-アルケインから離れ、反転するとそのまま振り切るように全速で宙域を離れた。

ミックはパイロット・スーツのヘルメットを脱ぎ去り、汗だくになった額を拭ってストローから水を飲んだ。するとおかしな気分は瞬く間に収まり、戦場が見渡せるようになった。そう感じた。だが、ラライヤと接触したときの異常な空間認識は、いまの感覚とはまるで次元が違う。

思い出すだけで喉が渇いた。

ミックが思わず口走った国境をなくしてみせるという言葉は、口に出すまでもなくラライヤや他の何者かから強く否定された。彼女はラライヤが否定する声を聞いたわけではないが、ラライヤと誰かが彼女の言葉を否定したのは明らかだった。

ラライヤと誰かは、国境は行政区分に過ぎないとまで彼女に伝えたのだ。

ミック「だから・・・、あいつはいつあたしにそんなことを言った? 何も言ってないんだ・・・」

国境がただの行政区分だとしたら、自分たちがキャピタル・テリトリィで犯したことは民間人に対する大規模殺戮行為になってしまう。そう考えると不意に寒気がこみあげてきた。ゼイゼイと肩で息をしながら、彼女は自分を取り戻そうと必死に意識を集中させた。

ミック「専用機まで与えてもらいながら、あたしはこの戦場で何をした? まだ何もしていない。そうだ、メガファウナだ。(力ない声で)今度こそ」

クリムと離れただけで自分がこれほど役立たずになったことが情けなくて仕方がなかった。どこかに爪痕をつけないことには引き下がれない。

ラ・カラシュに再びビーム・ライフルを構えさせると、ミック・ジャックは一直線にメガファウナめがけて突進していき、光も、音も、声もない世界で意識を四散させた。







ピンクに塗装されたミック・ジャックのMSを追いかけていたラライヤのG-アルケインは、追いかけていた機体が無防備なまま複数のMSのビーム・ライフルに刺し貫かれるのを目の当たりにした。

瞬間、ラライヤの心の中にミック・ジャックの意識が飛び込んできた。

彼女は国家を過大評価していた。国家があるから戦争があると信じ込んでいた。どこかの強い男が全宇宙の国家をひとつにまとめ上げれば、世界から戦争がなくなると思っていた。それが彼女の答えであり、結論であった。彼女にとって国家の枠組みこそ心の壁だった。

彼女は心の壁を打ち壊すために戦争を肯定した。やがて来るはずの恒久平和のための犠牲は仕方がないと考えていた。しかしそれは意識の表層的な部分だけで、本当はキャピタル・テリトリィの征服を承認していたわけではなかった。

認めていないからこそ、彼女は最後まで戦い、恒久平和に辿り着くしかなくなったのだ。

ラライヤは歯を食いしばって胸をギュッと押さえた。

ミック・ジャックは子供を欲しがっていた。しかし彼女の男はそれを与えてはくれなかった。それでも男を憎む気持ちは持たなかった。その男は強くあろうとし、強くあるために彼女を欲していたからだ。

感情の濁流がラライヤの細胞の隙間をすり抜けて、宇宙に四散した。







クリム「ミック・・・、なのか?」

G-セルフとの戦闘中、クリム・ニックの中に何かがなだれ込んできた。感情の濁流が彼の心を絞めつけた。何が起こったのかわからないまま、彼はG-セルフにビーム・サーベルを打ち込ませる隙を作ってしまった。ふたつの光の剣が接触した瞬間、クリムにはベルリの姿が見えた。

ベルリ「ミックさんを死なせてまで権力が欲しいのかよ!」

クリム「最大の権力者はトワサンガの王子である貴様であろうに!」

G-セルフとダ・カラシュはもつれあうように激しくビーム・サーベルを打ちつけ合った。ふたりには互いの姿が見え、互いの声が聞こえていた。ベルリとクリムは罵り合い、その気持ちは反発しあった。見えることも聞こえることも、戦いの渦中にあるふたりには意味のないことであった。

ふたりの戦いに割って入ろうとする者たちは、容赦なく撃墜させられた。怒りでも憎しみでもない、研ぎ澄まされた感覚器官のぶつかり合いになっていた。

爆発の炎がそこかしこで大きく膨らみ、急速に萎んでいた。炎の色が互いの機体を刹那の間オレンジ色に変化させ、闇が広がれば両機はメタリックな色彩に戻った。命をかけた戦いには紛れもない興奮が宿っていた。命を失うまでのわずかな時間、英雄は存在した。

蒼い機体を眼前に置いたまま、ベルリは次の攻め手の隙を窺っていた。その集中を妨げたのはラライヤの声だった。

いつの間にかベルリのG-セルフとG-アルケインの間に接触回線が開かれていた。

ラライヤ「撤退命令です」

ベルリ「え・・・撤退?」

ベルリの感覚器官が通常に戻った。もう目の前にクリムの機体はいない。彼はヘルメットを脱ぎ、したたる汗を拭って水分を補給した。

ベルリ「どうして撤退なんだ?」

ラライヤ「何かあったみたいですね。メガファウナに戻りましょう。それから、ミックさんが・・・」

ベルリ「ミック・ジャック・・・。(悲しげに)そうか、ミック・ジャック・・・」







メガファウナに帰投したベルリとラライヤは、医務室でメディカル・チェックを受けた。そこには助手として忙しく働くノレドの姿もあった。着替えを済ませたふたりにノレドを加えた3人は、一緒にブリッジに上がった。ブリッジはいつになく沈鬱な空気に包まれていた。

ベルリ「両軍揃って撤退の理由は何ですか?」

ドニエル「カシーバ・ミコシがこっちに迫ってきているんだ」

副艦長「(ベルリに向かって)ハリーとかいうサングラスの男が臨検したはずだが、おかしなことになっていてな」

ミノフスキー粒子が散布された宙域からかなり離れ、復旧したレーダーには左舷の方向に並走するゴンドワン隊、前方にカシーバ・ミコシの巨躯が映し出されていた。カシーバ・ミコシには随伴する何かがある。それは銀色の細長い棒のような形をした何かであった。

ラライヤ「あの細いのは?」

副艦長「どうやら船のようなんだが、あんなつるっぺたの船なんてあるのかどうか・・・」

ノレド「いや、あれは戦艦だよ」

副艦長「どうしてわかる?」

ノレド「雰囲気が似てるんだ・・・。薔薇のキューブに」

ドニエル「あれが宇宙世紀派って連中の船だってのか?」

メガファウナと2隻のオルカの目の前で、カシーバ・ミコシを取り囲むように飛んでいた銀色の船のようなものは、ゆっくりとガランデンとオーディンに近づいていった。彼らからもゴンドワンからも何の連絡もないまま、両軍の間にカシーバ・ミコシが入り込んで視界を遮った。

ドニエル「ところでな、ベルリとラライヤ、もしかすると戦場でミック・ジャックが死んだか?」

ラライヤ「ミックさんはわたしと交戦していて、なぜか急に集中力が切れたようになってメガファウナの方角へ飛んで行ったのです。警戒心がないから、撃墜されるのはあっという間でした」

ギセラ「声が聞こえたんだよ。ミックのね。ここにいるみんなに」

マキ・ソール「(悲しそうに)穏やかな声だったよ」







トワサンガからの使者は、先頭を飛んでいたガランデンに着艦していた。それを伝え聞いたクリムのダ・カラシュもガランデンに帰投し、両者はブリッジにて会合をもった。

銀色の戦艦からやってきた小さなランチから降り立ったのは、法衣を纏った人物で、まだ少年のようにあどけなかった。

使者「あなたがクリムトン・テリトリィの責任者、クリム・ニックですか?」

クリム「そうだが、貴殿は?」

使者「わたくしは法王庁の者です。法王庁は今回の地球圏での問題に苦慮しており、ついては停戦の仲介を果たしたいと考えております」

クリム「仲介など無用。自分はあなた方のテリトリィを奪った者だ。いまさら法王庁の仲介など欲しくはない」

使者「覇権主義による宇宙の統一を目指しておいでのようですが、月では古代種族ムーンレイスとアメリアが同盟を結び、トワサンガと敵対関係になっているのをご存知ですか?」

クリム「古代種族ムーンレイス? それはあの白い戦艦の者たちか?」

使者「あれはトワサンガ製のものではありません。ムーンレイスのものなのです。ただいまこちらのカシーバ・ミコシが間に入って戦闘は中断されておりますが、戦闘中止の仲裁を受け入れるならば法王庁はゴンドワンのこれまでの行為を赦し、シラノ-5の軍港の一部を開放致しましょう。もしここで戦闘を止めないのであれば、我々トワサンガと法王庁はムーンレイス・アメリア同盟と和解し、あなた方と戦わねばなりません。月の近くでこれ以上大規模な戦いをされては困るのです」

クリムはしばらく迷っていたが、法王庁の申し出を受け入れ、停戦に応じると伝えた。

確約を取り付けた法王庁のランチはガランデンを離れ、メガファウナへと向かった。

クリム「自分もオーディン1番艦に戻る」

ロイ・マコニック「ミックさんのこと、お悔やみ申し上げます」

クリム「ああ・・・」

なぜガランデン船長のロイ・マコニックがミック・ジャックの死のことを知っているのか、クリムにはそれを確かめる気力すら残っていなかった。






ムーンレイスの月面基地に入港したラトルパイソンからは、アイーダを先頭に12名の乗務員が降りた。彼らは恭しく指令室へと案内されていった。

美しい指令室であった。装具はすべて純白で、流れるようなラインで設計されている。モニターはすべて空中投影で、透き通ったその先には地球の青い姿がはっきりと見えた。

ひときわ高い位置からメガファウナの戦いの様子を見つめるひとりの美しい少女がいた。その少女は、ギセラがまとめたレポートによると500年前の人間だという。少女はアイーダを振り返り、にこやかに微笑むと威厳ある態度で階段をしずしずと降りてきた。

ディアナ「わたくしの名前はディアナ・ソレル。あなたがアメリアのアイーダ・スルガンですか?」

アイーダ「はい。その通りです」

アイーダも彼女に倣って美しいしぐさで挨拶をしたつもりだったが、どこががさつでこの場にそぐわないと自分で認めるしかなかった。真っ赤になったアイーダを見て、ディアナはやさしく笑みを返した。

ディアナ「レイハントンのもうひとりのお子さんであるとか」

アイーダ「それも確かなことです」

ディアナ「それではふたりきりでとことんお話いたしましょう。レイハントンのこと、ムーンレイスのこと、わたくしのこと、あなたのこと」

アイーダ「地球のこと、宇宙のこともですね」

ディアナ「はい」

ディアナ・ソレルはアイーダ・スルガンを別室へと招いた。

そこには神妙な面持ちで先に着席していたウィルミット・ゼナムの姿があった。


(ED)



この続きはvol:56で。次回もよろしく。







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