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「ガンダム レコンギスタの囹圄」第17話「レイハントンの子供」前半 [Gのレコンギスタ ファンジン]

「ガンダム レコンギスタの囹圄」


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第17話「レイハントンの子供」前半



(OP)


整備を終えたメガファウナはいつでも出撃できる準備を整え、ムーンレイスの月面基地で待機していた。そのモビルスーツデッキではノレドとラライヤがハッパを挟んで睨み合いをしていた。

ラライヤ「そんな危険な任務にノレドを行かせるわけにはいきません」

ノレド「G-ルシファーにそういう役割があるってわかった以上、使わない手はないよ。ここはハッパさんにお願いして」

ハッパ「ノレドがG-ルシファーで内部を破壊したっていう薔薇のキューブというものは、宇宙世紀時代の人間が地球に戻ってくるのに使った恒星間飛行ができる巨大宇宙船だというのだろう。それがトワサンガにもあるとウィルミット長官がじかに確認したと。それを破壊することで宇宙世紀の残滓をこの世界から消滅させられるというならこの作戦もありだろう。しかしあのエンフォーサーにはまだ未知の部分が多いし、ノレドをパイロットにして作戦を実行するのはいくら何でも」

ラライヤ「行くならわたしが行きますよ」

ノレド「ラライヤはG-アルケインでみんなを守らなきゃいけないし、暗闇に引き込んでいく現象にも対処しなきゃいけないんでしょ。だったら1度やってるあたしが適任だよ」

ラライヤ「ノレドは無理をしてるんです」

ハッパ「とにかくいますぐ実行に移せる作戦じゃない。シラノ-5のノースリングの奥にあるとわかっていても、入るまでに撃墜されちゃ意味がない。ノレド、とにかくG-ルシファーの整備はやっておくしエンフォーサーのことももっと調べてみるけど、艦長の許可がない限り絶対にダメだ」

ノレド「そりゃいますぐって決めたわけじゃないけど・・・」

ノレドが大人しくなったのを見計らって、ラライヤは彼女の腰に手を回し、デッキを離れるように促した。ノレドもそれに従ったものの、まだ納得できない様子であった。

ラライヤはノレドが焦っているのを感じていた。せっかく再会を果たしたというのにベルリが意外に冷たい態度に終始するので、認めて欲しい気持ちが焦りに繋がっているのだろうと。こんな状態で内部がどうなっているのかわからないトワサンガに彼女だけ送り込むことはできない。

ふたりは飲み物を貰いにムーンレイスの人々が使っているホールへと移動した。

ベルリとウィルミットはディアナ・ソレルにヘルメス財団のふたつの夢について話すために作戦指令室にいるはずだった。ヘルメス財団には宇宙世紀についてふたつの評価があり、反目しながら共存関係にあった。ヘルメス財団内にはリギルド・センチュリー派とユニバーサル・センチュリー派がいるのだ。

リンゴのような香料を使った合成のミルクを飲みながら、ふたりは椅子に腰かけていた。

ノレド「ヘルメス財団1000年の夢ってあるじゃん。あれさ、もしかしてこの戦争のことを言っていたのだろうか?」

ラライヤ「(少し考え)1000年で宇宙を平和にするという理想だと思ってました」

ノレド「だよね。でも、リギルド・センチュリーに試練を与えるためにこの戦争があらかじめ仕組まれていたのだとしたら? あたしたちはリギルド・センチュリーの子供としてユニバーサル・センチュリーに勝たなきゃいけない。でもなー、まだなんか釈然としない部分があるんだ」

ラライヤ「勝利とは何かということですよね。相手を征服することが勝利なのかという」

そう口にしながら、ラライヤはむしろノレドのことを気に掛けていた。自分たちは本当にこんな大きな話に首を突っ込むために生まれてきたのだろうかとの本質的な疑問は拭えないままであった。

そのとき大音声でメガファウナの乗組員に召集が掛かった。ふたりは同時に立ち上がった。







ムーンレイスの月面基地が慌ただしくなっていた。

月の裏側にあるトワサンガよりカシーバ・ミコシが発進したとの知らせと、その進行方向にアメリアのラトルパイソン、それを追いかけるようにゴンドワンのスペースガランデンと新鋭艦オーディン2隻が追いかけてきているとの情報が入ったからであった。

階段を駆け上がったウィルミット・ゼナムはディアナ・ソレルの傍らに寄り添い、ともに状況を見守った。ヘルメス財団に対するレクチャーはすでに終わり、ベルリはメガファウナへと戻っている。

ウィルミット「(ディアナに対し)カシーバ・ミコシはフォトン・バッテリーの運搬船です。ビーナス・グロゥブから何も届いていないのに、運用されるのはおかしい」

ディアナ「(小声で)みなさまから聞いた、宇宙世紀を復活させようと目論む者の仕業とすれば、武器弾薬をトワサンガより運び出していると考えるのが妥当では?」

ウィルミット「怖ろしい話ですが、薔薇のキューブが兵器の生産拠点とするならば、それはあり得ることかもしれません。考慮すべきは、カシーバ・ミコシは信仰の対象ということです。こちらがあれを傷つけることでスコード教徒を敵に回してしまう可能性がある」

ディアナ「なるほど。それで戦艦でもないのにああやって出てきたのですか。では、臨検と行きましょう。(大声を張り上げ)ハリー、ソレイユであれを止めてみせなさい。我々ムーンレイスならばスコード教のことなど関係ない。積み荷がなんであるか探るのです。メガファウナはオルカ2隻を伴い直ちに出撃。前方のラトルパイソンと接触しこちらの月面基地へ誘導。その後ゴンドワン軍と対峙。攻撃意思が示された場合は応戦してください。彼らを絶対に月周辺に入れてはいけません。オルカ第2陣もすぐに準備。ムーンレイスはアメリアと交渉します」

ウィルミット「(小声で)オルカというのはムーンレイスの戦艦ですか?」

ディアナ「こちらの新造艦です。しかし、この技術もいずれは・・・」

ウィルミット「封印していただかなくては困ります」

ディアナはそれに応えなかったが、彼女がベルリの説明を受け入れ、レイハントン家について考えを改めたのは確かであった。

レイハントンは彼女たちムーンレイスから月の裏側の宙域を奪い、月に閉じ込めて封印したのではなく、おそらくは逃がして、リギルド・センチュリーが危機に陥ったときに助けてもらうつもりだったのではないかとの推測だ。

ディアナ(つまり、フォトン・バッテリーの供給システムは戦争を起こさないためのものだから、宇宙世紀の技術を使われると生産力において勝ち目がなくなってしまう。だから我々ムーンレイスの技術を月に隠して温存した。ではなぜレイハントンは我々ムーンレイスが必ず自分たちの味方になると予測できたのか。冬の宮殿が彼に好影響を与えたとでもいうのか・・・)

ウィルミット「(心配そうに)ああ、メガファウナがまた出撃していく」

ディアナ「長官は随分過保護なようで」







ムーンレイスの戦艦オルカは、真っ白で流麗なフォルムを持つ美しい船であった。そのオルカ2隻を伴い、メガファウナは月面基地を出撃した。

ドニエル「(後ろを振り返りながら)あんだけ電気が溢れているのに、こっちのフォトン・バッテリーには充電できないとかどうなってんだ、まったく」

副艦長「使い切って空になっていても爆発する仕掛けなんだから、レイハントンのお坊ちゃんのベルリを小一時間問い詰めたい気分ですな。あの小型核融合炉は便利そうに見えたけど、こっちに積めないですかねぇ。トワサンガで補給しなきゃ地球へ帰れなくなるかもしれませんよ」

ギセラ「もうすぐ通信圏内に入ります」

メガファウナのモニターにアイーダ・スルガンの姿が映し出された。

アイーダ「やはりメガファウナですね。ビーナス・グロゥブへは無事に?」

ドニエル「(立ち上がって敬礼する)船は無事ですが、ラ・グー総裁はこちらが滞在中にお亡くなりになりました。ついては事の次第をギセラにまとめさせているので、いまから送信します」

アイーダ「随伴の船があるようですが、トワサンガのものですか? 見たことない形ですが」

ドニエル「これはムーンレイスの船です。姫さまはムーンレイスはご存知ですかな」

アイーダ「いえ、わたくしはまったく・・・」

ドニエル「誠に勝手ながら、メガファウナは独自の判断で月の先住民というべきムーンレイスと同盟を結んだのです。クレッセント・シップとフルムーン・シップがそちらからも見えるはずですが、あれをビーナス・グロゥブの新総裁であるラ・ハイデン公より預かってくれと頼まれておりまして、戦力不足を補うためにドニエル・トスの判断で決めさせていただきました。そのこともレポートにまとめておりますのでこれから送ります。ついては姫さま、申し訳ないがこのまま月面までコースを変えていただき、月の女王であるディアナ・ソレルと面会していただきたい」

アイーダ「月の女王ディアナ・ソレルと面会? 月の女王とは何です?」

ドニエル「どうにも込み入った話で。それに現在トワサンガはジムカーオという人物に占拠されており、こちらと交戦状態にあるのです。彼らはカシーバ・ミコシでザンクト・ポルトに移動中でありまして、それもあってただちにコース変更をお願いいたしたい」

ふたりの通信にムーンレイス側から割り込みが入った。画面に顔を映し出されたのは、一見すると30代前半ほどにしか見えないノーク・クレイスという緑色の眼をした白人の女性だった。

ノーク「いまからわたしが指定する航路を取っていただけると助かります」

アイーダは首をすくめたが、ドニエルが画面の向こうでしきりに頷くので覚悟を決めた。

アイーダ「わかりました。事情は複雑なようですね。月に到着するまであと1日は掛かるので、送られたレポートを読んで勉強することにしましょう。メガファウナと後ろの船の方々は・・・」

ドニエル「自分らはラトルパイソン後方のガランデンを叩きます」

アイーダ「それも艦長の判断ですか?」

ドニエル「いえ、これはディアナ女王の命令です・・・」

画面の向こうのアイーダがキッと睨みつけたので、ドニエルと副長はそろって肩をすくめた。

アイーダを押しのけ、ケルベスが画面に映った。

ケルベス「すまない、ノレド・ナグはそこにいるか」

ブリッジの端で状況を見守っていたノレドが返事をして艦長席まで上がってきた。

ノレド「なんです?」

ケルベス「言いにくいことだが、クリム・ニックがキャピタル・テリトリィを絨毯爆撃した。ノレドの家や家族も被害を受けたかもしれない」

ノレド「え? 絨毯?」

ケルベス「軍事施設だけでなく、民間地もまとめて爆撃されたってことだ。キャピタルにあるものの多くが破壊されて、目下連中はそこに新しい都市を作り上げようとしている。名前はクリムトン・テリトリィだそうだ。・・・もうキャピタルはないんだ」

ノレド「キャピタル・テリトリィが・・・、なくなった?」

ケルベス「キャピタルだけじゃない。タワーも放棄してきた。ガランデンが追いかけてきているのは、彼らではクラウンの運航ができないからだろう。とにかく、覚悟だけはしておいてくれ」

ノレド「(ひきつった顔で)覚悟・・・、覚悟・・・。もう家がない・・・。父さん、母さん・・・」

ノレドは放心したようにその場に腰から崩れ落ちた。







ディアナ・ソレルの旗艦ソレイユを預かったハリー・オードは、ランデブーするとカシーバ・ミコシに接近して停止するように求めた。

ところが何度呼びかけても応答がない。スモーでブリッジの前に出て接触回線を開いても、彼らは呼びかけには応じなかった。

兵士「隊長、人は大勢乗っているようです。確認しました」

ハリー「よし、強制的に格納庫を開ける。ツグミとノンのふたりはハッチを開けろ。ユニバーサルスタンダードは頭に叩き込んだだろうな?」

ツグミ「大丈夫です。あれはバカでも使えるようになってます」

ハリー「これより左舷ハッチより内部に潜入する。他の者は中から何が出てくるかわからないから警戒態勢を怠るな。開いたら自分が中に入る。リックとコロンがついてこい」

ツグミとノンが両サイドからカシーバ・ミコシの巨大な格納庫のハッチを操作して開けようとする。なかからロックが掛かっていると見たふたりは時限爆弾を使ってロックを解除すると、そのまま2機で離れるようにハッチから離れた。

ハリー・オードの金色のスモーとリックとコロンの銀色のスモーが素早くなかに潜り込んだ。照明は点けられておらず暗闇が広がっている。3機は頭部のライトを灯して巨大な倉庫の上部に機体を進めた。

ハリー「やはりモビルスーツであったか」

カシーバ・ミコシの格納庫にはズラリとモビルスーツが詰め込まれていた。1機ずつ照合していくとそれらはメガファウナより提供された機体情報と一致した。ほとんどがウーシァという機体であった。

ハリー「新型を開発したかもしれないと聞いていたが、そうではないようだ。しかしなぜレイハントンの者らが地球製のMSなど使っているのだろうか」

と言い終わらないうちに、ハリーのスモーは下から大きな衝撃を受けて天井にぶつけられてしまった。

ハリー「お前は、あのときの銀色の!」

突然姿を現したG-シルヴァーは、ハリーの機体をさらに強く天井に圧しつけた。身動きが取れずにいるうちに格納庫のウーシァが動き出し、リックとコロンの機体の動きを封じると他はハッチから雪崩を打って飛び出していった。

ハリー「リック! コロン! クソッ、ミノフスキー粒子か!」

ミノフスキー粒子の散布によって各機の連絡は途絶えた。ハリー、リック、コロンの3機は接近戦に持ち込まれたままカシーバ・ミコシの格納庫から外へ出られず、ハッチの外から漏れてくるビームライフルの閃光によって外でも交戦状態になっているのを知るのみであった。

格納庫内に残ったウーシァは20機。ハッチ付近には2機が取りつき、外へ向かってビームを発射して味方を援護していた。

ハリーはG-シルヴァーともつれあいながら必死に逃れようとするが、G-シルヴァーの動きは速くその手から逃れることが出来ない。そこでハリーは逆に相手を抱えたまま加速をかけ、開いたハッチに突進していった。G-シルヴァーとスモーはもつれたまま宇宙空間へ飛び出していった。

戦闘宙域に突然飛び出してきた両機はいくつもの流れ弾を浴びて大きな衝撃を受けた。その隙にG-シルヴァーから離れたハリーはソレイユに戻り接触回線を開いた。

ハリー「ブリッジ、聴こえるか」

艦長「はい」

ハリー「艦砲射撃はできそうか」

艦長「どこを狙いましょうか」

ハリー「ゴテゴテ飾ってはいるがただの輸送船だ。ブリッジの近くを撃って脅かしてやれ」

そこまで伝えたところでまたしてもG-シルヴァーが迫ってきたのでハリーはこれに応戦した。2機は互いを牽制しながら螺旋を描くように距離を置きながらソレイユから遠ざかっていく。

艦長「照準はいいな。撃て!」

ソレイユの主砲が放たれ、宙域のモビルスーツを一瞬照らしたかと思うとカシーバ・ミコシの本体に直撃した。爆発による発光を確認した敵のウーシァはひるんだのか一斉に引き下がり、左舷ハッチの中に戻っていった。

ハリーは味方機の肩に腕を乗せて接触回線を開いた。

ハリー「損害は?」

兵士「1機半壊のみです。すでに収容するため運ばせています」

ハリー「パイロットが無事ならばよい。このカシーバ・ミコシというのはスコード教の御神体だそうだが、これは艦隊戦で撃沈するしかないな。リックとコロンは中か?」

兵士「未確認ですが、数が足りませんのでおそらく」

ハリー「輸送艦風情が何を血迷ってこんなことを・・・」

だがハリー・オードの見込みは間違っていた。爆発の影から姿を現したのは、細長い形の大小の攻撃艇だったのである。

ハリー「しまった! 右舷に隠してあったか!」

その船の情報は提供されたどの船の形とも照合されなかった。銀色に輝く船体は凹凸の極端に少ない細長い代物で、コールドスリープから寝覚めたハリー・オードが記憶したこの時代のどんな船とも違っていた。

出現した船は3隻。いずれも同系でまったく同じ姿かたちをしており、識別する印もない。3隻の船はゆっくりとカシーバ・ミコシから離れると方向を変えて左舷のソレイユに向き直った。そして間髪入れずに一斉射を浴びせかけてきたのである。

この攻撃によってソレイユはカシーバ・ミコシとのランデブーを保てなくなり、戦闘宙域に取り残されてしまった。カシーバ・ミコシはゆっくりと離れ、ザンクト・ポルトへと確実に進んでいく。

ハリー「嵌められたというわけか!」

出現した敵未確認攻撃艦の全長はソレイユほどもあった。敵はこれをカシーバ・ミコシの右舷格納庫に隠していたのである。しかも1隻ではない。

ハリーは発光弾を打ち上げ、全機撤退を命じた。その中に彼の部下、リックとコロンの姿はなかった。







ルイン・リー率いるクンタラ国建国戦線ゴンドワン隊に、16台のモビルスーツが納入された。うち2台はゴンドワンの新型ルーン・カラシュであった。

手配したのはロルッカ・ビスケス。彼はアメリア各地から不要になったモビルスーツをかき集めただけでなく、さらにゴンドワンの新型さえも手に入れてみせた。

これはクンタラ国建国戦線がゴンドワンに成りすまして作戦行動を取るのにうってつけであった。さらに作戦の幅が拡がると兵士たちは大喜びであった。

彼らの様子を横目で眺めていたミラジは、近くにいた若い兵士にことの次第を訊ねてみた。

兵士「なんでもアメリア軍が解析のために回収したものらしいですよ。彼らは大陸間戦争で小破したモビルスーツを回収して解析していたのでしょうが、議会が平和主義で新規のモビルスーツ開発が止まっているものだから不用品扱いになっていたそうで。でもだからといってこれを手に入れたのはロルッカさんの手腕ですけど」

ミラジ「なるほど。ゴンドワンから手に入れたわけじゃないのか。ところでそのロルッカは?」

兵士「こっちに届いたのは荷物だけですよ。どこにいるのか自分にはわかりませんね」

ミラジは兵士に礼を言うと踵を返した。ミラジはロルッカがほとんどゴンドワンに姿を見せなくなったことを訝しんでいた。ロルッカはクンタラの人間を深く見下しており、トワサンガへ帰りたがっていたからだ。ミラジはクンタラという人種に何の悪感情も持ち合わせていなかったが、彼らの中で虜囚のようにこき使われている現状には大きな不満があった。

ミラジ「もし逃げるつもりならオレを誘ってくれてもよさそうなものだ。自分だけ自由の身のようになりやがって。整備担当じゃ逃げるに逃げられない」








ミラジがルーン・カラシュの整備に着手したころ、ロルッカ・ビスケスは豪華客船に乗ってクリムトン・テリトリィを目指していた。

南国風の明るい色の半袖シャツと短パン姿のロルッカは、カリル・カシスの店から貸してもらった3人のクンタラ美女をはべらせて得意げに昼間から酒を飲んでいた。その姿は金持ちの客ばかりの船の上でもひときわ目立っていた。なかには彼に名刺を持ってくる人間もいた。

ロルッカはいっぱしの名士気取りでそれを受け取った。

ロルッカ「いまごろミラジの奴、あのクソ寒いゴンドワンで何をしてやがるかな」

赤道近くの南の風がロルッカを日焼けした恰幅の良い男に変えていた。彼は金を稼ぐたびに自信をつけつつあった。

彼はミラジが若年のクンタラに叱られながらルーン・カラシュの整備をさせられているところを想像してニヤニヤと醜い笑いを顔に浮かべた。彼はいまだクンタラ国建国戦線のために働いていたが、それはのちに裏切るためのカモフラージュであった。それにまだ取引先は彼らだけでもあった。

いずれは世界を相手に商売ができる。しかも彼が扱う品物はトワサンガ製の極上品なのだ。商品はキャピタル・タワーを使っていくらでも降ろされてくる。兵器開発を停止してしまったアメリア、クリムが開発から離れて停滞しているゴンドワン、いずれもこの兵器を欲しがるだろう。

それだけではない。クリムの絨毯爆撃によってキャピタル・テリトリィを追われた元住民たちによるゲリラ活動も活発化の様相を呈しており、フォトン・バッテリーの供給が再開されれば彼らレジスタンスにもモビルスーツの需要はある。

長引く戦争はいずれ平和を保つアジア諸国をも巻き込んで、需要は果てしなく大きくなる見込みなのだ。いまそうなっていないのはひとえにバッテリーが枯渇しつつあるためであった。エネルギーさえ豊富に入手できるようになれば、地球は戦争一色になる。

その利権を自分がひとり占めできるのだと想像するだけで彼の身体には武者震いが起きるのだった。

ほんの少しばかり兵器を右から左に動かすだけで彼の元には面白いように大金が転がり込んでいた。これが地球規模で行われたならどれほどの富が自分に集まるか想像もできなかった。ロルッカは3人のクンタラ女のひとりひとりを眺めまわし、こいつらは屋敷で雇ってやろうと慈悲深く考えた。

彼はクンタラ差別が酷いゆえに、自分の財力がグラマーな女たちを救う想像を止めることができなかった。彼は女をはべらせているという自覚はなく、助けてやっていると思い込んでいたのだ。

ロルッカ「さて、トワサンガからどんなモビルスーツが来るというのだろうな」







ラトルパイソンとの接触を果たしたメガファウナとムーンレイスの最新鋭艦オルカは、全速で進むとついにガランデンとオーディン1番艦、2番艦と交信可能範囲まで迫った。

ドニエルがクリムに攻撃意思の確認をするためにオープンチャンネルで呼びかけたものの、返答はミノフスキー粒子の散布によってなされた。

ドニエル「敵はモビルスーツを出してくるぞ。モニター監視怠るな。MS隊は出撃準備。オルカとの連絡は光通信で行う。敵は新型で手強いようだ。オリバーのグリモア隊は無理をするな。ベルリ、ラライヤはすまんが先鋒だ。ルアンとリンゴは待機。ノレドはギセラのサポート。ぬかって死ぬなよ」

クリム・ニック率いるゴンドワン艦隊は速度を落とすことなく蛇行しながらメガファウナとムーンレイスの同盟艦隊に迫ってきていた。


(アイキャッチ)


この続きはvol:55で。次回もよろしく。




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