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「Gレコ ファンジン 暁のジット団」vol:42(Gレコ2次創作 第11話・後半) [Gのレコンギスタ ファンジン]

「ガンダム レコンギスタの囹圄」


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第11話「ヘルメス財団」後半



(アイキャッチ)


リリンは自分と大きさの変わらないフラミニアを不思議そうに眺めていた。

役所から多くの人が帰路に就くなかにボディ・スーツのないフラミニアも混ざっていたのだ。彼女は左手首と左足首にリングを嵌められ、常時監視されている自由奴隷の状態にあった。

それは刑期が終わるまで続く。彼女はジット団の一味としてレコンギスタを行った罪で裁判にかけられ、結審したその日に役所の仕事をあてがわれて労働に従事していた。

ノレドは彼女を食事に誘ったが、それは禁止されていなかったもののフラミニアはその姿を人前に晒すことが嫌だから外食は控えたいと断った。彼女の希望はこのまま宿舎に帰ることだったが、ラライヤが説得して何とか海岸線の人気のない場所まで誘い出した。

リリンは彼女の夕食用に買った挽肉の饅頭を差し出した。

フラミニア「(受け取った饅頭を持ったまま手を膝の上に置き)後悔はしていないのよ。いつかみんなで地球に行く、この誓いはわたしたちジット団の青春そのものでしたから。ただ、ビーナス・グロゥブに戻されるとは思わなかった。トワサンガで地球を眺めながら死ぬつもりだったのに・・・」

ノレド「戻りたいなら戻ればいい。一緒に行きましょう」

フラミニア「それはダメ。わたしは死ぬまでここで働かなくてはいけません。他の仲間たちのことだけが気掛かりかな。地球で幸せになっているのか(遠くを見つめる)」

ラライヤ「(意を決して)わたしたち、お姉さんに訊きたいことがあるんです。ビーナス・グロゥブ、ヘルメス財団、スコード教、これらについてのことなんですが」

ノレドとラライヤはフラミニア・カッレに月の冬の宮殿で見たことを話した。するとフラミニアは奇妙な話を始めた。

フラミニア「ビーナス・グロゥブやトワサンガの人間は、重大な事実についてウソを教えられている」

ノレド「(ハッとして)そう、それ! ウソばっかりなんだ!」

フラミニア「(周囲を警戒して)歩きながら話しましょう。リリンちゃんはまだ眠くはならない?(リリンが首を横に振る。ラライヤを手招きしてそっと耳打ちする)聞かれるマズイことです。周囲を警戒して」

4人は夕焼けの海岸線を歩き始めた。近衛隊長の軍服がすっかり板についたラライヤが周囲を警戒いた。遠くの建物の影に男がふたりいるのが見えた。やはり、緩やかに監視はされていたのだ。それをフラミニアに告げると厳しい顔で頷いた。

フラミニア「ムタチオンというのはなにもリギルド・センチュリーが始まってから起こったことではないの。これはたった1000年で起こるようなことではありません。宇宙世紀の時代から何千年も宇宙で生活することが続いて、こうした現象が起こるようになりました。わたしたち人類は、銀河の果てまで出掛けて戦争を続け、大量の放射線を浴び続けた結果、遺伝子が壊れてきたの。それを補うように、長寿化技術とボディ・スーツ技術が発達した。わたしが医学の勉強をしたのは自分の身体に起こっていることを理解したかったから。しかし、それは本質的なルネサンス、復古運動じゃないと気づいて、地球へ還ろうという運動が起こった」

ノレド「宇宙では常にルネサンスだってラライヤが言ってた」

ラライヤ「(思い出すように)あ、フラミニアさんに教わったのかも」

フラミニア「宇宙文明における復古というのは、地球を思い出せくらいの意味ね。常に地球のことを考えて、そこに戻ることを指してルネサンスという。しかし宇宙の果てで起こったこのルネサンスは、もっと本質的で恐怖に基づくものだった。その原因がムタチオン。人間は自分たちの設計図が壊れ始めて、ようやく戦争をしている場合じゃないと気づいた。そこで、遥か宇宙の果てから地球を目指して帰って来た。ところが、補給で立ち寄る惑星でヘルメス財団は新たな戦争を仕掛け、武器を作って売り、富を蓄積しながら航行を続けたのだけど、その戦争が取り返しのつかない大惨事を巻き起こして食糧事情が悪化する事態が発生した。そのときに生まれたのがクンタラというものなの」

ノレド「え? クンタラって地球にしかないものじゃ・・・」

フラミニア「(首を振りながら)それがウソなの。宇宙世紀末期は資源の枯渇によってどこでも同じようなことが起こった。地球でも起こったはず。でもそれはクンタラという身分制度でもなければ呼び方も違っていたはずよ。クンタラはわたしたちの祖先の呼び方」

ノレド「そうだったのか・・・」

フラミニア「でもね、それを地球だけの悪習のように偽装することにしたの」

ラライヤ「(おぞましさに震えながら)なぜですか?」

フラミニア「地球から月へ上がってきて種の保存をしている人たちと接触したからよ。それが冬の宮殿を作った人たち、ムーンレイスなの。彼らは気高い人々だったけど、地球の有様は悲惨で、まだ宇宙世紀が続いているかのように人々は好戦的で、貧しいのに戦い続けていた。だから、人を食うという醜い行いをしているのは彼らだと歴史を捏造したわけ。わたしたちの祖先は地球にクンタラを捨て、ムーンレイスが設備を整えて食料の生産を始めるまで地球をクンタラの牧場にしていた」

ノレド「むむ・・・」

フラミニア「ノレドさんにはつらい話ね。ごめんなさい。でも、歴史が捏造されているという話は重要なことだから覚えていて欲しいの。あなたたち、大学へ入りたいって役所でごねていたでしょ? あれは断られてよかったの。ビーナス・グロゥブの大学へ入ったらウソの歴史を教え込まれていた。ノレドさん、あなたは必ず地球の大学へ入って社会政治学をおやりなさい。自由に研究できるところじゃないとダメよ」

ノレド「はい」

フラミニア「話し足りないけど・・・(目配せする)もうダメみたい。(声をひそめて)あなたたち、ジット・ラボがどこにあるかわかるわよね」

ラライヤ「はい」

フラミニア「G-ルシファーをあそこに置いておくようわたしが手配しておきます。いざとなったらG-ルシファーでお逃げなさい。メガファウナも着ています」

ノレド「メガファウナが!」

フラミニア「(笑顔で)ええ。でも、メガファウナでは地球には戻れません。どちらにしても、ヘルメス財団がクレッセント・シップを再び派遣する決定をしないと無理です」

それだけ告げて、フラミニアは自宅へと戻っていった。ボディー・スーツのない彼女は、それだけで罪人だと分かるため、行きかう人々にじろじろと見られてしまうのだった。

その後ろ姿を見送りながら、ノレドはある決心を表明した。

ノレド「わかったことがある。真実はレコンギスタ派が知っているんだ。ヘルメス財団やスコード教の支持者は都合よく改変された歴史を真実だと思い込んでいる。でもそれを知っても何にもならない」

ラライヤ「ここまで来たらとことん一緒ですよ、ノレドさん!」

ノレド「反体制派と接触しなきゃいけない・・・。でもここで反体制派って・・・」







闇の宮殿と呼ばれる場所は、ロザリオ・テンの最深部にあるのではなく、張り付くように背中合わせに存在している空間のことであった。そしてそれは宮殿などではなく、機能的な都市であった。

重力はロザリオ・テンと逆向きになっている。ハッチを抜けるとすぐにそれまで頭上であった位置に階段が備わっており、身体を入れ替えてそこに脚をつけて降りてゆかねばならない。

ラ・グー総裁は器用に身体を反転させて、杖を頼りにその階段を下っていった。彼の近衛兵団と秘書の4人も後に続く。かなり広い空間ではあるが、表面のロザリオ・テンの大きさほどはなく、1辺が2kmほどの立方体の中に効率だけを考えたビル群が立ち並んでいる。

ラ・グー「このような空間をスコード教を使って隠し続けてきたということですね」

そう質問したが、そこに公安警察のピッツラク長官はすでにいない。細面で生え際が後退した秘書のひとりが近寄ってくる。

秘書A「これはヘルメス財団に対する重要な裏切り行為、反体制活動です。ピッツラク長官はすぐに尋問いたしませんと」

ラ・グー「(余裕のある表情を崩さず)いや、おそらくはこれがヘルメス財団の本当の姿なのだろう。(周囲を見渡す)これは宇宙世紀初期の、破壊される前の地球の都市部と同じ作りになっている。こんなことを総裁の決定なしに出来るのはヘルメス財団しかない」

近衛兵A「ではこの地区にいる者すべてを拘束し、秘密を洗いざらい話させますか?」

ラ・グー「話せといってもおそらくは話さないのだろう。これはヘルメス財団の核心部分であろうから、わたしが乗り込んで来たとわかった以上はあちらから接触してくるに違いない。よし、もうわかった。ここはすぐに出て行こう。知らない方が多くを知りえる場合もある」

そう告げるとラ・グーはクルっと踵を返して来た道を戻っていき、闇の宮殿の神殿を模した場所へと帰っていった。そこでは多くの兵士たちがそこにあるものを全部箱に詰めて持ち出しているところであった。ラ・グーは彼らに謝罪をして、運び出したものを元に戻すようにと命じた。

秘書A「よろしいので」

ラ・グー「これを隠していた連中はいまごろ対策に必至だろうから、結論が出るのを待つまでだ。それより、ピアニ・カルータの経歴を知りたい」

秘書B「(早足になってラ・グーに追いつき)ピアニ・カルータは検事よりキャリアを開始し、公安の課長補佐時代に警察組織の改編を行い、守備隊の結成に尽力。その功績によってトワサンガのレイハントン家に招かれ、トワサンガの守備隊の結成の指揮を執っております。そののちに地球に亡命して名を変え、キャピタル・テリトリィの調査部に入ったようです」

ラ・グー「これは面白い。つまり、レイハントン家に招かれたのではないのだよ。トワサンガにもヘルメス財団の秘密の組織があり、そこが彼を招いたのだ。レイハントンは守備隊の導入が必要なのか何度もこちらに尋ねてきている。レコンギスタにも反対」

秘書A「つまり?」

ラ・グー「つまり、ピアニ・カルータ事件はレコンギスタ派の男による個人的な犯行ではないということさ。(両手を広げ)どうりで何もかも上手くいきすぎていると思ったよ。彼はただの実行犯であって、黒幕は我々の脚の下で胡坐をかいて笑っていたのさ。ジムカーオの経歴は?」

秘書B「50年前、警察内に公安組織を作った際の・・・」

ラ・グー「(立ち止まり)思い出した。長官官房の参事官だった男だ。そうか。闘争による遺伝子の強化という理屈を考えたのは、わがビーナス・グロゥブの警察官僚であったか!」

近衛兵A「長官を逮捕いたしますか?」

ラ・グー「(強く首を振り)違う! 違うのだ。優勝劣敗論もレコンギスタ論も手段に過ぎない。ヘルメス財団の目的は、金儲けだ。彼らはまた宇宙に戦争状態を作り上げ、戦争利権で肥え太ろうとしている。そうか、これが宇宙世紀で最も邪悪だったという軍産複合体というものか!」

秘書B「(唖然としながら)まさか・・・、ヘルメス財団が・・・。スコード教の教えは一体・・・」

秘書A「先ほどの都市を見れば、彼らがアグテックのタブーを守っていないのは明白です。わたしは、あるビルの中に銀色の肌を持つ人間が動いているのを見ました。あれはアンドロイドです」

ラ・グー「すぐに近衛長官と連絡を取り、人員を100倍にするよう通達。人選は任せると。これよりクレッセント・シップとフルムーン・シップはラ・グー直属とする。それからメガファウナに連絡して、ベルリ・ゼナムくんと話をすると申し入れを。ヘルメス財団がレコンギスタという人々が望むものを利用して戦争を画策しているとすれば、トワサンガと地球でも同じような画策をすでに始めて戦争の火種を作り出しているはずだ。それを阻止するには、トワサンガで指揮を執る者が必要になる。それをあの子にやってもらおうと思う。地球にはアイーダ・スルガンがいる。よし、わたしは法王さまに話さねばならないことが出来た。ゲストハウスへ連れて行ってくれ」






G-セルフのコクピットを開けると、そこにはピッツラク長官が拳銃を構えて立っていた。

ピッツラク「撃たせないで貰えるかな。これでも自分は敬虔なスコード教徒でね」

ベルリ「それがラ・グー長官の意思なんですか? 銃なんか向けなくても戦争の道具なんて差し上げますよ。ぼくはもうこういうものはウンザリなんです」

ピッツラク「君が賢くて助かったよ。トワサンガ製のMSはこちらで接収させてもらう」

両手を挙げたベルリが機体から出ると、代わりにピッツラクが乗り込んだ。彼はコクピットがユニバーサル・スタンダードだったことに安心し、部下にバッテリーの交換を命じた。

G-セルフを受け取ったピッツラクは、コクピットから身を乗り出して部下にあれこれ指図するのに忙しく、ベルリのことなど眼中にないようだった。ベルリが機体を離れていいものか迷っていると、手を動かして追い払う仕草までしてみせた。

ピッツラク「フルムーン・シップのエネルギー装填も急げ」

彼の声を遠くに聞きながら、ベルリはゲートを抜けてロザリオ・テンの内部に入っていった。







ノレド、ラライヤ、リリンの3人は、今日も海辺のホテルのひと部屋を借りて眠っていた。

深夜のこと、騒がしい様子にノレドが目を覚ますと、すでに起きていたラライヤがブラインドの隙間から外を覗いている。ノレドはぐっすりと眠っているリリンを起こさないように下着姿のままラライヤの横に立った。窓の外ではビーナス・グロゥブの近衛兵団が走り回っている。

ラライヤ「何かあったようですね。わたし、ちょっと見てきます」

ラライヤはすっかり正装となったレイハントン家近衛兵団の衣装を身に着け、大急ぎでホテルの部屋を出て行った。残されたノレドも何かしようと下着姿のままうろついたが、リリンが起きそうになったのでそっと立ち止まり、彼女を起こさないように静かにベッドに潜り込んだ。

ノレド「ラライヤのことだから大丈夫だと思うけど・・・」

深夜の街へ出たラライヤは、ヘッドライトが点ったエアカーやシャンクがひっきりなしに走り回っている光景に出くわした。ラライヤの他にも何事かとガウン姿で家を抜け出してきている人が大勢いる。ビーナス・グロゥブの近衛兵団は野次馬などお構いなしに大声で話し合い、右へ左へと駆け出していく。

彼らは酷く混乱しており、統率が取れていない。指示を出している者がいるにはいるのだが、彼自身も混乱しており要領を得ないのだ。その中に、かつてメガファウナに同道したビーナス・グロゥブ守備隊の兵士の姿を見つけてラライヤは走り寄った。

ところが彼女は別の兵士に肩を掴まれ、ピックアップエアカーの荷台に放り込まれてしまった。降ろしてくださいと訴えても、エアカーは走り出してしまい、8番ゲートの方向へと猛スピードで駆け抜けていく。そうこうするうちにラライヤはライフルを持たされてしまった。

見渡すと、トラックの荷台に乗っている兵士はすべて近衛兵団の制服を身に着けていた。ラライヤのものはデザインが違うのだが、現場は混乱しており、間違われてしまったのだ。

エアカーが停止したのは、巨大なトーテンポール状の石柱が2本並んだ先にあるモビルスーツ用のハッチの手前であった。ハッチはすでに開けられた上に固定されているのか、なかから銃声が聞こえても閉じようとする気配はない。それどころか、銃声の合間を縫ってひとりまたひとりと中に突撃していくではないか。ラライヤの乗ったエアカーの一団は石柱の横に並ばされた。

近衛兵A「臨時の近衛兵団だとしても、こうして選ばれたからには君たちはラ・グー総裁の剣であり盾だ。それはビーナス・グロゥブの剣であり盾と同義だと考えてもらいたい。君たちの任務は、この中にあるモビルスーツを1体も彼らに渡さないことだ。狙撃兵がコクピットの付近を狙っているが、近衛兵団の制服には絶対に撃ってこないから安心してもらいたい」

するとトラックで一緒だった男のひとりが手を挙げて質問した。

近衛兵B「モビルスーツを確保したらそのあとはどうすればよいのですか?」

近衛兵A「L22地区の実験棟近くに運んでくれ」

近衛兵B「以前ジット・ラボがあった場所ですか?」

近衛兵A「そうだ。あそこはすでに近衛兵団で固めてある。今回のことはまだ首謀者がわからないから、とにかくモビルスーツだけこちらで確保して事態を拡大させないよう努める。いいな。そこから入って5メートルのところに盾で壁が作ってある。そこまで敵の弾に当たらないように素早く這っていけ。暗闇に眼が慣れたら、モビルスーツを確認してどれでもいいから取り付け。1台動かないものがあるらしいから、それは無視して他のものだけ狙うんだ」

それだけ聞くと、兵士たちは這うように低く進み、最後はスライディングで盾の壁に激突するようにして身を守った。ライフルを手にしたラライヤも順番が回ってきて違うとも言い出せずに彼らの真似をして盾の壁のある場所まで潜り込んだ。

制服組は銃撃戦には参加せず、盾を構えた兵士たちの後ろでじっとして闇に眼を慣らしていた。見えるようになると頭を起こしてモビルスーツの位置を確認する。仕方なくラライヤもそれに倣うと、一番奥にひっそりとG-セルフが置かれているのが見えた。

その他のモビルスーツのある場所では激しい銃撃戦が行われているのに、G-セルフのところだけ人がおらず静かだ。

ラライヤ(レイハントンコード? じゃ、ベルリの?)

ラライヤは闇に紛れてG-セルフのある場所へ走った。彼女の姿勢が高かったために敵に見つかり、何度か発砲を受けたが幸い弾は当たらなかった。彼女は巨大なクレーンの計器が並んだ場所に身を潜め、G-セルフまで最短で行けるルートを探した。

しばらくすると反対方向で激しい銃撃戦が始まった。銃口は一斉にそちらへ向けられ、ラライヤを狙っていた敵もターゲットを変更したと思われた。ラライヤは思い切って走り出し、G-セルフの脚部からレンチを使ってコクピットへと上がり、なかへ滑り込むように入ってハッチを閉じた。

G-セルフはラライヤのアイリスサインを確認して起動した。

ラライヤ「L22地区って言われてもわかるはずないじゃないですか!」

歩いて誰かを踏み潰すのを恐れたラライヤは銃撃戦の中を横切って機体をもっと広い場所へ移すことにした。入ってきた石柱のある門からは出られないため、奥へ奥へと進んでいくと、どういうわけかモビルスーツデッキに出てしまった。

突然無重力になってコントロールを失ったとき、コクピットの後方からベルリの赤いパイロットスーツが流れてきた。デッキを出ると、そこは宇宙空間であった。壮大なビーナス・グロゥブの全景が見え、続いてところどころで閃光が瞬いているのが目に入った。

ラライヤ「ビーナス・グロゥブのこんな近くでビーム・ライフルを使っている?!」

四方をの索敵を行い、モニターを切り替えていくと、かなり離れた場所にメガファウナ、そしてフルムーン・シップの巨大な影も見えた。

ラライヤ「ベルリさんはどこに? ノレドさんやリリンも置いてきてしまった。G-セルフは武器も盾も装備していない。どうすれば?」

ラライヤはサイズの合わないベルリのパイロットスーツに無理矢理身体を押し込め、気密性だけ確保すると、迷った挙句にメガファウナへ向かって飛んでいった。

金星宙域で戦争が起こっていた。ビーナス・グロゥブはフォトン・バッテリーの蓄積を行っており、流れ弾がそのひとつでも破壊すれば連鎖反応ですべてのフォトン・バッテリーが大爆発を起こして宙域のものはすべて宇宙の藻屑となる。

だからこそ厳しく戦いが禁止されていたはずなのに、誰と誰が戦っているのかわからないままに人はビーム・ライフルを撃ち合っていた。

ラライヤ「戦争が起こっている。なぜこんなところまで戦争の波が・・・。どうして?」

G-セルフはシー・デスクを支える柱の陰に隠れながら、戦闘宙域から離れていっているメガファウナを目指した。







ラ・グー総裁が所有する日本庭園風のゲストハウスにやって来たのは、法衣をまとった6人の使者であった。

ゲル法王「もしや皆さま方はビーナス・グロゥブの」

使者「ゲル法王猊下、スコード教団よりお迎えに参りました。現在ビーナス・グロゥブでは戦争が勃発しつつあり、この緊急時に教団としてはこれを鎮めるべく緊急の礼典を行います。朝になれば多くの信徒も協会に参集いたしましょう。どうか我々のお手伝いをしていただきたいのです」

ゲル法王「天の国で戦争・・・」

使者「一刻も早くお支度を」

そこへ乗り込んで来たのはラ・グー総裁の一団であった。法王庁を名乗る使者たちは恭しく頭を下げたが、ラ・グー総裁と近衛兵団は彼らの身柄を確保し、手荒な真似こそしなかったがゲル法王にも自由を与えず、使者と引き離して強引に着席させた。

その眼前に着席したのはラ・グー総裁自身であった。

ラ・グー「お尋ねしたいことがある。地球の法王庁の上部組織はどこですか?」

ゲル法王「法王庁の上部組織というものはございませんが」

ラ・グー「ザンクト・ポルトでフォトンバッテリーの受け渡しをしているのはトワサンガの法王庁ですか? それともヘルメス財団ですか?」

ゲル法王「それはヘルメス財団ですが、いったい何があったのでしょうか? ビーナス・グロゥブの法王庁では礼典を行うと・・・、いやそれより、戦争が始まってしまったとか」

ラ・グー「宗教が侵略の道具だったという話です。ヘルメス財団は宇宙世紀を再来させようとしている。あなたはビーナス・グロゥブの法王庁に関わってはいけない。直ちにトワサンガへ戻り、レイハントン家とムーンレイスの関係、そしてスコード教の本質について調査していただかなければならない。スコード教には確かに元となる奇跡が存在したはずだ。だがそれが失われてしまっている。あなたはそれを再発見して世に広める義務がある」

ゲル法王「まさか自分にそんなことが」

ラ・グー「もう1度冬の宮殿に戻り、奇蹟を見つけるのです。スコード教はあなたによって宗教改革を果たさなければ、このまま戦争の道具として人々の殺し合いに祝福を与える存在に堕するでしょう!」



(ED)



この続きはvol:43で。次回もよろしく。



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