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「ガンダム レコンギスタの囹圄」第4話「ケルベスの教え子たち」後半 [Gのレコンギスタ ファンジン]

「ガンダム レコンギスタの囹圄」


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第4話「ケルベスの教え子たち」後半




(アイキャッチ)


キャピタル・テリトリィ警察庁に設けられた指揮所。ジュガンやベッカーの死後、解体するはずだったアーミーに取り残された500名の若者たち。彼らは自分たちが反乱軍と宣伝されているとも知らず、ひっきりなしにかかってくる治安出動要請に応え、寝る間もなく働きづめになっていた。

キャピタル・ガードの動きに不信を感じたケルベス・ヨー中尉は、ガード候補生たち教え子を引き連れ、単身その中心に乗り込んで隠されていたことの次第を明らかにしたのだった。

アーミーの指揮権を得た彼は直ちに警察庁長官に連絡し、警察機能の回復を図るよう要請した。クラウン運航庁には、ザンクト・ポルトに上がったガード本体が降りてくるときに連絡をくれるようにと頼み込んだ。警察はすぐに動いてくれたが、クラウン運航庁はウィルミット・ゼナムの指示がないと確約はしかねると頼りない返事しか貰えなかった。

アーミーに残っていた者の中に3年前の首席卒業生を見つけたケルベスは、彼をアーミーの広報担当にしてすべての次第を包み隠さずマスコミに話すように指示して庁舎を去らせた。マスコミには彼の身の安全のため、警察にも居場所を明かさないようにと命令した。

処分することを前提にしたモビルスーツは、カットシーが4機、キャピタル・ガードのレックスノーが12機であった。警察庁を明け渡して立ち去る際、彼は長官に耳打ちして何事かを告げた。長官は驚いた様子で顔をしかめていたが、最後は彼の肩をポンと叩いて送り出した。

候補生も含めてたった510名の軍隊は、16機のモビルスーツとともに国会へと向かった。

兵士A「(カットシーの手を乗せて接触回線を使う)国会は開幕中ですけど乗り込むんですか?」

ケルベス「(レックスノーのコクピットから)言ったろう? 敵が誰なのか見極めるのさ」






そのころキャピタル・テリトリィ国会議事堂では審議が続いていた。ビルギーズ・シバの顔は長時間の審議で疲れ果て、コンクリート色に変色していた。まるで文学者のような風貌というだけでお飾りの国家のトップに立ったシバは、外面を保っていられる時間が決まっていた。

時間を過ぎるとくたびれたスケベおやじの本性があらわになるのだ。

政策第1秘書のカリル・カシスは、自分が各議員に撒いた議員立法300件を、3日で通すと首相に約束していた。ところが1日目が終わろうというのに採決されたものは、クンタラとは無関係なものばかりであった。件数では20本を少し超えるほどしか通っていない。

舌打ちしながら本会議を眺めていても、質疑応答ともにシナリオ通りのことしか話せない議員たちは汗みどろになりながらもまるで要領を得ない。そこでクンタラ差別禁止に関する法案は一括処理できるかと首相を通じて議長に提案しようか考えていた、そのときだった。

議事堂の外で大きな騒ぎが起こった。続いて軍服姿の若者が議会になだれ込んでくる。彼らは武器を所持していた。ざわめくばかりだった議員たちだったが、1発の銃声が鳴り響くと右往左往の大騒ぎになった。国会の中はマスコミも含めて意外に多くの人間がいる。議場は大パニックに陥った。

若者たちはあっという間に首相と議長の身柄を確保してしまった。カリル・カシスは首相の元へ駆け寄ろうとしたが、思いとどまった。彼女は出口に殺到する分には誰にも止められていないのを見ると、首相を残して議事堂を後にした。

兵士D「首相と議長の身柄は我々反乱軍が預かる。他の者は速やかに退場しなさい」






人が逃げ出したのを確認したケルベスは、縛り上げたビルギーズ・シバの頭に銃口を突き付けた。

シバ「その軍服は・・・、貴様が今回の反乱の首謀者か!」

ケルベス「(呆れながら)あんたね、どこの世界にクーデターを起こして警察の代わりをしている軍隊があるかっての。クーデターといったら国会占拠と首相暗殺でしょ(改めて銃口を突き付ける)」

シバ「ひいいいいいいいいいいいい」

ケルベス「だからそれをやらないクーデターなんかないって話だ。アーミーが反乱を起こしたとニュースが流れたとき、なんですぐにガードに反乱鎮圧命令を出さなかった?」

シバ「それは・・・、ガードが逃げたんだ。法王と運航長官も一緒だ。みんなして逃げた。わしはここに残って戦ったんだ」

ケルベス「(教え子たちを見回しながら)戦っていたんだとよ。国会も開かず官邸にこもっていたくせに。まったくこれが首相とは恐れ入る」

シバ「要求はなんだ?」

ケルベス「我々を本日から正式にキャピタル・ガードに戻していただきたい。アーミーは解散する」

シバ「(考えながら)軍隊を解散させられるのが嫌で反乱を起こしたんじゃないのか?」

ケルベス「(襟元を直し)この中にひとりとしてそんなことを考えた教え子はいません。みんな愛国的で、頼もしい若者たちばかりです。それは教官である自分が保証しましょう。ここにいる若者たちは、アーミーを解散するから警察庁で引継ぎを行えと命令されて庁舎へ参りました。ところが庁舎に入ったところ人っ子一人いない。すぐにアーミーに対して治安出動命令が下りました。彼らはよくわからないまま出動し、訓練も受けていないのに暴動鎮圧をさせられ、行き過ぎがあれば市民の反感を買いました。いつの間にか彼らは反乱を起こしたことにされ、マスコミで報道されたのです。忙しい彼らはその情報に接することもなく、不眠不休で絶え間なく起こる市民の暴動やクンタラの反乱に対応しました。おかしいとは思いませんか。いつからキャピタル・テリトリィはそんなに物騒になりました?」

シバ「(考えあぐねて)・・・法王が亡命したと聞いて、ヤケにでもなったのだろう」

ケルベス「そんなわけないでしょうが。まあ、いい。アーミーは解散します。それでいいですね」

シバ「無論だ」

ケルベス「(うんざりした表情で)何もわかっていないんだなぁ。あんた昨日アメリアのアイーダ・スルガン総監が出した『連帯のための新秩序』を批判して、ゴンドワンのクリム・ニックが出した『闘争のための新世界秩序』を支持したばかりじゃないか」

シバ「それがどうした」

ケルベス「軍隊がないのに、どうやって『闘争のための新世界秩序』に参加するんだ? あれは世界の軍隊を集結させてトワサンガやビーナス・グロゥブに攻め込むという話なんだぞ」

シバ「だからどうした」

ケルベス「(わなわなと震えながら)本当に撃ち殺したくなってきた」






夜が更けたころ、世界を驚かす発表が2夜連続でビルギーズ・シバの口から発表された。なんと彼は一夜にして考えを改め、アイーダ・スルガンの「連帯のための新秩序」に参加することを表明し、クリム・ニックの「闘争のための新世界秩序」を口汚く罵ったのだった。

その変わり身の速さは嘲りの対象になったが、宗教国家キャピタル・テリトリィの首相の言葉は本人が意図しない方向で解釈される幸運にも見舞われた。つまり、宇宙からの脅威と闘うまでもなく、フォトン・バッテリーが供給を再開されそうだと人々は考えたのだ。

報道陣から共同取材の申し込みを受けたケルベス・ヨーは、今回の反乱の顛末は広報に指定した兵士から聞くようにと告げたまま、自分らはキャピタル・ガードとしての任務に就くこと、ザンクト・ポルトに上がった同僚たちにすぐに帰還するよう連絡するつもりだと答えた。

ケルベス「よし、もうここには用はない。すぐさまクラウン発着場へ急ぐぞ」

電光石火で諸問題を片付けていくケルベスは、もはや教え子たちにとってただの学校の教官ではなかった。官僚として役人として、そして理想の大人として身近な手本になっていた。

だが当のケルベスは、大きな疑問を持ったまま動いていたのである。

ケルベス(反乱兵とされたのはたった500人。カットシーとウーシアも足らない。クンタラの反乱者たちが奪ったにしては数が合わない。それにクンタラを追いかけていた戦艦2隻はどこに行ったのだ? その乗組員は? まだ何か裏があるはずだ)






クンタラ国建国戦線からビルギーズ・シバの政策秘書として送り込まれ、秘書室のすべてをクンタラの美人秘書で固めて成果を上げてきたカリル・カシスは、どうやら自分たちの目論見がガードかアーミーの誰かに見破られたことを認めるしかなかった。

警察に告発されることを恐れた彼女は、秘書室の女性に連絡を入れてありったけの現金を官邸から盗み出すと、トランク一杯に詰め込んで3台の車に分乗して官邸を抜け出した。

もうひとつの荷物は、彼女が指示を仰ぐための通信機であった。これはただの通信機ではない。

彼女たちはジャングルの中へと逃げ込み、夜通し車を走らせて東部の港町に着いた。

カリル「キャピタル・テリトリィにいるといずれわたしたちのことがばれてしまう。証拠は残していないはずだけど・・・。みんな、悪いけどこのままアメリアへ逃げるよ。アイーダのことは気に食わないけど、あの小娘が『クンタラ亡命者のための緊急動議』を可決してくれたことに感謝するしかない。法案を通してガードさえ迎え入れられれば勝てた勝負だったけど!」

秘書B「お姉さま、それは仕方のないことです。クンタラのわたしたちを拾ってくださって、たいそうなお給料の仕事を与えてくださっただけでも感謝しなくちゃ」

秘書C「そうです、お姉さま。わたしたちはお姉さまが行くところについて参ります。アメリアはクンタラ差別が少ない地域と聞いております。新天地でまた一緒に夢を見させてくださいませ」

カリル「あんたたち・・・。(目頭を押さえて)よし、金は充分に持ってきた。まずはあの船に乗ってとにかく逃げるんだよ」

指さす先には、世界の海を何か月もかけて就航している豪華客船が停泊していた。彼女たちは札束でパンパンに膨らんだトランクを抱えて、港町へと坂道を降りて行った。






クリム「(テレビを指さし、わなわなと震えながら)あのビルギーズ・シバという男は一体なにを考えているんだ? 昨晩こっちの陣営につくと発表したばかりじゃないか!」

ゴンドワンにはすでに世界各国から戦力が集まりつつあった。だが戦力といっても戦艦などはなく、使い古しの作業用モビルスーツがほとんどで、とても宇宙で運用できる代物ではなかった。そもそもキャピタルから遠く離れた地域では、宇宙が真空であることを知らない者も多い。

朝のシャワーを浴びたばかりのミック・ジャックは、身体をバスローブで包んで髪をタオルで拭いていた。彼女はさほど心配はしていない様子であった。

ミック「単独でもアメリアを叩くつもりでいたんでしょう? アメリアは代替エネルギーへの置換が進んでいて、フォトン・バッテリーの備蓄も多い。むしろ発電量が多いからフォトン・バッテリーの技術が欲しかった。宗教にすがっていたゴンドワンとは投資額が違う」

クリム「ああ、ゴンドワンは遅れているのだ」

ミック「(どんとソファに腰かけ)アメリアがキャピタル・テリトリィを狙っていたのは、投資してエネルギーの備蓄をした分だけ配給を減らすと通告されたから。それじゃ代替エネルギーに投資をする意味がない。蓄えた分だけ減らされるんじゃね。だから、世界はスコード教の専制的独裁から解放されるべきだってわたしたちは訴えた」

クリム「グシオン総監の考えだな。(自分もソファに腰を下ろし)実際、たいしたおっさんだったよ。戦争はゴンドワン単独でも勝ってみせるさ。宇宙からの脅威などというものは、大義名分に過ぎない。だが、アメリアを例え屈服させたとしても、ゴンドワンが得られるのはアメリアのエネルギーの備蓄分だけとなるとゴンドワンの世論は手の平を返すだろう。フォトン・バッテリーの配給が開始されれば、法王庁の権威が回復してしまう」

ミック「この大陸間戦争は、キャピタル・テリトリィ的な旧時代の秩序とアメリア的な新秩序の戦いだった。そこにあの忌々しいベルリとアイーダ姫さまが帰ってきて、『連帯のための新秩序』なんてものが出てきた。あの考えは・・・。わたしたちがクレッセント・シップを降りるきっかけになった・・・」

クリム「まさに秩序なのさ。秩序秩序秩序、何もかも定まった未来、ゆりかごから墓場まで、生まれた瞬間から何もかも決まっている世界。スコード教の世界。考えることが悪になる世界。トワサンガのレイハントン家の王子とかいうベルリくんはそれでいいだろうさ。だが、野心のある者はどうしたらいいのだ? 夢がある者は? 親を嫌っている若者はどこへ行けばいい?」

ミック「(クリムにしなだれかかり)そう、まさにそうだから、あたしはクリムが好きなんです」

クリム「そうか・・・。(一点を見つめ)くれぬというなら勝手に使わせてもらうことにしよう。アイーダに戦争終結と講和の打診を水面下で行い、カリブのジャングル地帯にゴンドワンの若者を大量に移住させてゴンドワン軍の基地を作らせればいい。ゴンドワンの若者がヤケになっているのは、北方地帯の氷河が年々大きくなって町を維持できなくなっているからだ。流民がこんなに溢れているのだから、新大陸へ移住させてやるといえば喜んでついてくるだろう。それに(窓の外に目をやって)作業用モビルスーツは世界から集まってきている。工兵に指示して数週間で町が作れないか考えさせてみよう。キャピタルもアメリアもいまは軍を動かしにくいはずだ」

ミック「(顔を輝かせ)カリブに基地が出来さえすれば!」

クリム「オレたちがキャピタル・テリトリィとタワーの権益を奪い、世界の権力を手にする!」

ミック「姫さまはどう出ますかね?」

クリム「(しばし悩んで)いや、ここはあの死にぞこないのクソ親父を使ってやろう。アメリアの議会はまだ大統領派が多い。混乱してくれさえすればいいのさ」






ケルベス「タワーの再開の目途は立たないのか? 言っておくが、もうキャピタル・アーミーという組織は存在しない。キャピタル・ガードが吸収したんだ」

ケルベスとその教え子たちがビクローバーを占拠してから2日、いまだにクラウンの運航は再開されていなかった。クラウン運航庁の役人も、いつまで停めておくべきなのか分からず困惑の様子を隠せなかった。キャピタル・タワーは独自の電源で動いているため、再開させようと思えばいつでもできる。

ケルベス「ザンクト・ポルトに上がったガードの連中が降りてこない理由はもうないのだろう?」

役人A「そのはずですが、わたくしどもも事情がよく把握できておらず・・・」

ケルベス「いいか、起こったことはふたつだ。ひとり目はアーミーの反乱。ふたつ目はフォトン・バッテリーの配給停止。法王はどちらの理由でザンクト・ポルトに行かれたのだ?」

役人A「話では、天のお怒りがあるのにいまだ争いを続けるアーミーとガードに天罰を加えるとか」

ケルベス「なんだかわからんな。ウィルミット長官まで行かれた理由は?」

役人A「長官はフォトン・バッテリーの配給再開に向けた交渉に立ち会うためと聞いております」

ケルベス「(考え込み)交渉をしている・・・。なるほど。ではガードはなぜ降りてこられない? アーミーとの対立がなくなったのなら、ガードが上がったままなのはおかしいだろう。すぐにでも下に降ろして、事態を収拾させるべきだ」

役人A「(汗を拭きながら)連絡が取れないのです」

ケルベス「動かせるクラウンはあるのか?」

役人A「第2ナットに停止中のものがあり、降ろそうと思えば降ろせるのですが、事態の全貌が掴めておりませんので、降ろして何か恐ろしい事態が起こった場合の責任問題が・・・」

ケルベス「向こうから降りても来ないのだな。こちらがビクローバーを封鎖したことで予定が変わったのかもしれん。その様子ではナットとも連絡がついていないようだな。事情は分かった。よしみんな集合だ。いまからお前たちに重要な任務を与える」

510名の教え子たちがケルベスの前に集合した。

ケルベス「いまからお前たちをケルベス部隊に任命する。不服のある者は前に出ろ」

教え子たち「ノーサー」

ケルベス「敵の正体はまだわからんが、キャピタル・テリトリィを弱体化させようとしている人間がいるのは確かだ。戦力放棄のどさくさに紛れてモビルスーツも奪われているはずだ。いまから書類をひっくり返して徹底的に員数管理を行う。誰の命令で何が持ち出されたのか調べるんだ。早くしないと、そろそろクラウンが動いて空から何かが降りてくるぞ。急げ!」

教え子たち「イエッサー」

ケルベス(ホズ12番艦をゴンドワンから手配した奴ら、奪った奴ら、追いかけていた奴ら。みんな仲間なのか? クンパ大佐やジュガン、ベッカーが死んだ隙を突かれた。すると、内部の事情にかなり詳しく、当然ガードを動かせる人物ということになるが・・・)

ケルベスはここへきてようやくある事実を思い出した。

ケルベス「ホズ12番艦を追いかけていたのはブルジンか?」

教え子たちB「いえ、1隻はガランデンです」

ケルベス「ガランデンの乗組員はゴンドワンの兵士だったな? つまり、クリム・ニックの可能性もあるということか・・・。ゴンドワンの連中がアーミーを乗っ取ろうとした。しかし戦力として購入したホズ12番艦をクンタラに奪われ、計画が狂った・・・。すると、ゴンドワンとクンタラが同時に動いたってことになる。何者かが裏で糸を引いているとしても、ゴンドワンとクンタラを自在に動かせる人物などこの世にいるのだろうか・・・」






キャピタル・テリトリィ南部、廃棄された研究施設にホズ12番艦は隠れ潜んでいた。すでに再利用可能な原子炉ユニットだけが選別されていた。発掘品として預かったG-∀というモビルスーツは、機能がよくわからないままコクピットだけユニバーサルスタンダードに換装された。

G-∀を調べていたローゼンタール・コバシは、エネルギーが完全に充填されていることに驚くほかなかった。少なくとも1000年、それ以上前の機体かもしれないこの巨大なモビルスーツは、コクピットこそ完全に朽ちていたが、それ以外の機能は生きたまま保たれていたのである。

コバシ「これで動くとは思いますけどね。(自信なさげに首を振りながら)エネルギーが充填されているってことは、原子炉ユニットが生きてるってことですからね。もしくはそれ以上のユニットが組み込まれているか。パイロットを認証するときに何かあるかもしれませんから、充分に気を付けて頂戴よ。認証はこちらではやりませんから」

彼はそれだけ告げると疲れた疲れたといいながらホズ12番艦の中へ消えていった。なかで待っていたのはクン・スーンとジット団のパイロットたち20名だった。彼らは食堂に集合し、食事をするフリをしながら入口を塞いだ。

スーン「今後の相談だが、クンタラだの世界同時革命だの、レコンギスタしてきたわたしたちには関係がないことだ。だが、ラ・グー総裁がフォトン・バッテリーの配給を停止するという強硬手段に打って出たいま、わたしたち全員がお尋ね者になった。わたしとキア隊長の子ジュニアは生まれたばかりなのにまるで人質のように扱われている。今後どう動くか意見を聞きたい」

ラボ員A「ここに残っているのはモビルスーツのパイロットばかりで、操舵手がいません。船を奪うのはムリですね」

ラボ員B「残りのジット団のメンバーも逃げたのではなく囚われた可能性もあります。クンタラの奴ら、ジット・ラボのメンバーをいいように使っている。こんな屈辱には耐えられない」

コバシ「地球の人たちには知識がないのでしょう。そこでアタシたちを利用したがっている。ジット・ラボが何をやっていたか知っているわけね」

ラボ員C「クンタラの反乱が失敗すれば、いよいよ我々は行き場をなくしてしまう」

スーン「地球で我々は誰を頼るべきだろうか? あのクレッセント・シップで一緒だったアイーダとかいうレイハントン家のお嬢さまか。クリム・ニックという若者か」

ラボ員D「頼るといっても移動手段がない。このオンボロ艦を奪うしか」

ラボ員B「こっちは武器も奪われている」

コバシ「モビルスーツを奪ったとしても、向こうの戦力がわからないんじゃ動きようがない」

ラボ員A「脱走するとしてもキャピタル・テリトリィまではかなりの距離がある。ジャングルの中を歩いてではとても・・・地球は大きすぎるんだ」

スーン「地球にさえ降りれば何とかなると思ったものだが・・・」

コバシ「拘束されていないことだけが希望ね。いまはヘタに動けない」

そのとき、反乱軍の兵士が食堂へやってきた。ジット団のメンバーは作り笑いを浮かべて、いかにも食事中であるかのように装った。






ドニエル「いよいよだ。モビルスーツデッキ、各員、気を抜くな」

メガファウナは高高度飛行からザンクト・ポルトに入ろうとしていた。ルアン、オリバー、ベルリらはそれぞれの機体に乗り込み、不測の事態に備えていた。

ザンクト・ポルトには法王亡命の護衛と称してキャピタル・ガードが集結しているはずであった。しかし、クレッセント・シップで地上に降りて1年、その間に宇宙で何が起こったのか、知る者はいない。

メガファウナの目的は、ジット団が奪ってレコンギスタ作戦に使用したフルムーン・シップを奪い、再びビーナス・グロゥブを目指すことだった。しかし大気圏突入しなかったフルムーン・シップがどこにあるのかまでは誰も知らない。少なくともザンクト・ポルト周辺には存在しなかった。

メガファウナがザンクト・ポルトに近づいたとき、この最終ナットからモビルスーツが出撃されたことが確認された。

ドニエル「まだだ。まだ応戦するな」

出撃してきた機体は、トワサンガにいるはずのザックス10機であった。


(ED)


この続きはvol:29で。次回もよろしく。









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