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「ガンダム レコンギスタの囹圄」第3話「アメリア包囲網」後半 [Gのレコンギスタ ファンジン]

「ガンダム レコンギスタの囹圄」


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第3話「アメリア包囲網」後半



(アイキャッチ)

グシオン総監が世界に向けて訴えた宇宙からの脅威。それはメガファウナがビーナス・グロゥブを目指していたころに発表された。

宇宙からの脅威が差し迫っており、地球はいますぐ戦争を止め団結しなければならないとの彼の訴えは、広く世界に受け入れられ、また大陸間戦争の相手であったゴンドワンを絶望させる効果があった。彼らはクンパ大佐の求めに応じ、ガランデンを完成させながら、またクルーまで提供していたのに、宇宙からの脅威についてまったく情報を持っていなかったためである。

アメリアの反スコード教的進歩主義の打倒と宗教的連帯への回帰を訴えていたゴンドワンは、トワサンガの存在の公表と、続いてやってきたビーナス・グロゥブのクレッセントシップにアイーダが乗っていたことで一気に求心力を失った。アイーダが世界巡行中に発表した「連帯のための新秩序」は、ゴンドワンの宗教回帰とアメリアの進歩主義の折衷案であり、それを否定する思想はゴンドワンにはなかったのである。

ゴンドワンの真の狙いは、暖かい地域への領土拡張であった。そのための言い訳が封じられ、戦争継続が困難になったとき、現れたのがクリム・ニックだったのだ。クリムの思想は覇権による世界統一と新秩序構築。彼にはアイーダを否定する思想があった。ゴンドワンは屈辱を飲み込み、アメリア大統領の息子であるこの美しい青年をゴンドワンに受け入れた。

クリムの戦友であり愛人であるミック・ジャックは、自分の恋人がまるで映画スターのようにもてはやされるのを楽しんで見ていた。一方で心配もあった。

ふたりはオーディン1番艦のモビルスーツデッキに戻っていた。クリムは中佐に2階級特進していたが、モビルスーツに乗ることをやめるつもりはなかった。彼はゴンドワンの最新型モビルスーツ、ダ・カラシュの整備に余念がなかった。

ミック「これでアイーダさまと完全に決別することになりましたね」

クリム「(コクピットの最終調整をしながら)元々オレはあの女が好きではない。カーヒルのようなヒヒ親父と寝る女だぞ。箱入り娘というのはああいうものなのだ。最初から利用するつもりで近づいたのだから、いまも関係は同じだ。十分利用させてもらっている」

ミック「天才クリムは最終的に何を目指すのです?」

クリム「(ミックに顔を近づけながら)内緒だぞ。(小さな声で)オレは世界政府の初代大統領になるつもりだ。アメリアにいてはアイーダが邪魔だ。世界政府の大統領になるのに、踏み台がアメリアだろうがゴンドワンだろうが関係ないさ」

そこへオーディン1番艦艦長ドッティ・カルバスより連絡が入った。

ドッティ「クリム中佐。たったいまキャピタル・テリトリィがアメリアを非難する声明を発表いたしました。もしかして(楽しそうに)キャピタル・テリトリィのビルギーズ・シバが無能だという噂は本当かもしれませんね」

クリム「スコード教の総本山で真の民主主義が再興できると思うか? お飾りなのさ」

ドッティ「アメリアとキャピタル・テリトリィの連合軍が攻めてくるかとヒヤヒヤしましたよ」

クリム「確かにキャピタルの動きは少し変ではあるのだが・・・、ドッティ、キャピタルが世界の中心である限り、ゴンドワンは常に寒冷化の恐怖に怯えて暮らさねばならない。世界を闘争のために団結させ、ゴンドワンに世界政府を作ることができれば、とは考えないか?」

ドッティ「それは愉快。お付き合いさせていただきますよ。理想に準じるのは軍人の本懐ですから」






アイーダが上院に提出した「クンタラ亡命者のための緊急動議」は、クリム・ニックの「闘争のための新世界秩序」と名付けられた政治宣言と、キャピタル・テリトリィ首相ビルギーズ・シバによるアメリア批判声明によって思わぬ方向へ議論が進んでいた。

現在のアメリアは上院を旧グシオン・スルガン派が多数を持ち、下院はズッキーニ・ニッキーニ派が多数を占め、ねじれ状態にある。それでもクンタラ差別の少ないアメリアで人道のための法案が否決されることは少なく、緊急動議の賛成多数は揺るがないと思われていた。

ところがズッキーニ派はグシオンの政治宣言がゴンドワンに奪われたと騒ぎ立て、その責任をアイーダになすりつけてきたのだ。上院議員が提出した緊急動議が下院で早々に可決され、上院で紛糾するのは極めて異例の事態であった。息子のゴンドワン亡命で立場のなくなったズッキーニは、政治経験の少ないアイーダに狙いを定めて攻撃する作戦に出てきていた。

議員A「我々も困っているのですよ。(議会から拍手)グシオン総監の娘が父親の政治宣言を否定する『連帯のための新秩序』を勝手に発表する。ところが頼みのクレッセント・シップが宇宙に還ったとたんに政治状況は一変。アメリアの若者がゴンドワンでグシオン総監のお考えと同じ『闘争のための新世界秩序』を発表してあっという間に世界中の賛同を得ている。これではあなたひとりにアメリア議会が振り回されているようではありませんか」

アメリア議会は、政府への質問形式ではなく、議員同士の自由討論形式で質疑が進む。ズッキーニ派が送り込んだ背の高い西部出身議員の前に立ったアイーダは、後ろに控えた父が残したふたりの秘書とともに必死で敵とやりあっていた。討議はチーム戦なのである。

アイーダ「ここは、わたくしが発表した『連帯のための新秩序』を議論する場ではないことは議員もご承知のことと思います。「クンタラ亡命者のための緊急動議」の是非を問う場なのです。人道問題は一刻の猶予もならないために緊急動議として提出させていただきました。ありがたいことに下院の多数の方々のご賛同もいただき、下院はすでに賛成で可決いたしております。上院はいったいいつまで議決を先延ばしされるおつもりなのでしょうか」

議員A「もとよりアメリアはキャピタル・テリトリィよりやってきたクンタラ亡命者を積極的に受け入れることで産業基盤を発達させ、よその地域より文明再興が先んじた過去があります。500前には月よりの使者がやってきて、地球人を月まで連れて行ったこともあるとか。多くの人間によって多くの夢を叶える大地、それがアメリアなのは言うまでもありません・・・」

討論は続いている。その2階の傍聴席には、アイーダにクンタラの亡命者枠拡大を陳情したクンタラ代表団が陣取っていた。彼らはクンタラの中でも資産家たちで、世界中のクンタラを人道支援していた。

陳情者B「そういえば君は(隣のAに向かって小声で)今来(いまき)、古来(ふるき)という言葉を聞いたことがあるか」

陳情者A「(討論の行方に熱中しながら)いや、知らんな」

陳情者B「オレも幼いころに婆さんから聞いただけなのだが、クンタラにはもともと地球にいた者がいて、彼らを古来、新しくやってきた連中を今来と呼んで区別していたというんだな」

陳情者A「もともと地球に住んでいたのに『古来』なのかい? 昔にやって来た者と最近やって来た者がいるということだろう? 古来はどこから来たんだ?」

陳情者B「小さい頃からそれが不思議だったんだ。いま、あの議員の話を聞いていてふと思い出したのだが、『来る』って、どこから来たのだろう? オレたちのルーツのことさ」

陳情者A「(カリカリしながら)あの議員、いつまで粘るつもりなんだ」

陳情者B「アイーダさまはこれがデビュー戦なんだろう? すごい活躍じゃないか。・・・なあ、もしかして、地球にはクンタラという身分階級はなかったんじゃないか。クンタラというのは宇宙にしかなくて、古来(ふるき)は繁殖のために連れてこられ、今来(いまき)は宇宙の連中から・・・」

議長によって討論が打ち切られ、即刻採決の運びとなった。緊急動議は賛成多数で可決した。会場には万雷の拍手が鳴り響き、陳情者たちは互いに立ち上がって握手を交わした。

陳情者B(地球はクンタラの牧場じゃなかったのか。だとすれば地球人はみんなクンタラの末裔となる。地球人などというものは、宇宙世紀時代にすべて滅んだことがあるのではないのか・・・)

陳情者C「亡命者受け入れの件はこれでいいとして、やはり戦う必要はあるのじゃないかな。ゴンドワンとは早急に同盟を結ぶべきだ。カリブ海が欲しいのならくれてやればよい」

彼の意見は少数派だったようで、口々に否定されるのでそのまま黙ってしまった。だが、アメリアの中にはグシオン総監の従来の交戦論を支持する層も一定数いたのである。






レイビオ「よく我慢なされました、姫さま。素晴らしい初登壇です。」

レイビオは興奮を隠せないように早口でまくし立てた。彼はアイーダが思っていたよりはるかに有能だったことに驚き、用意していた辞表を捨てる決心を固めたばかりだった。

もうひとりの女性秘書セルビィも同様であった。「連帯のための新秩序」に否定的だったふたりは、相手がそれを攻撃材料に出してきたとき、秘かに負けを覚悟していた。しかし、アイーダは一切相手にせず乗り切ってみせたのだ。

3人は黒塗りのハイヤーに乗り込み、前後を護衛に固められながらアメリア議会を後にした。アイーダには自宅のほかに上院議員宿舎と総督府の官舎が与えられていたが、彼女は警備を考えて総督府の官舎に寝泊まりすることが多かった。

帰宅しメイドを下がらせた彼女は、隠し部屋に忍び込んだ。そこには通信機が隠してあった。






ベルリ「こんなときに母さんは何をしてるんだ!」

フォトン・バッテリー節約のために遠浅の海岸に停泊したままのメガファウナでは、ハッパ開放祝いの祝宴が開かれていた。たくさん作られた軽食が屋外に持ち出され、砂浜に張ったテントで各自が好き勝手に楽しむのがメガファウナ流であった。

日本で購入したラジオにすっかりはまっているベルリは、ラジオのニュースでキャピタル・テリトリィのアメリア非難声明を知ったのだった。夜空には美しい星々が瞬いていた。

ハッパ「(ビールを片手に)なんて言ってるの?」

ベルリ「姉さんが出した『連帯のための新秩序』をシバ首相が放棄するって。東アジアじゃ大人気の政策だったのに」

ハッパ「東アジアは森林資源も豊富で、熱帯雨林もあって、ソーラーパネル設置も進んで、戦争もないのだろう? 人口も多いからフォトン・バッテリーの配給も多いし、2・3年はエネルギーが持ちそうじゃないか。オレも出身はあちららしいんだよなー。移住も考えなきゃな」

ベルリ「ハッパさんはアメリア人でしょ?」

ハッパ「有休も恩給もないのに、アメリア人なんて何のメリットもありゃしないよ。」

そこにケルベスが姿を現した。

ケルベス「ちょっとこいつ借りていいかな」

ハッパは頷いてビールを片手にアダム・スミスがいる輪の中へと入っていった。

ケルベスはベルリを森の中の暗がりに連れて行くと、真面目な顔で話し始めた。

ケルベス「キャピタル・ガードの一連の動き、ベルリ生徒はどう思う?」

ベルリ「戦友じゃないんですか?」

ケルベス「お前はまだ卒業していないのだから、戦争が終わればオレの生徒さ。(声をひそめて)実をいうとオレはウィルミット長官に頼まれてまたメガファウナに乗ることになったのだが、長官はどうやらアイーダさんと連絡を取り合っていたそうなんだ。おそらくは今回の法王亡命とフォトン・バッテリー供給停止の件を事前に知らせたと思うのだが、何せあっちはアメリア軍総監さまだからな、だからといってキャピタル・ガードまでザンクト・ポルトに上がる必要はない。たしかに指導者を失ったアーミーが焦ってあの無能のビルギーズ・シバを縛り上げてクーデターを起こそうという気配はあった。当初はガードがアーミーを制圧して解体させる手はずだったのに、なぜかガードは長官と一緒にザンクト・ポルトに上がってしまった。かなりの人数がいるのに、全員。家族を残したままだ」

ベルリ「キャピタル・テリトリィは治安が悪化しているのでしょう? ガードがいなくなるなんて」

ケルベス「そうなんだ。ガードがいなくなって、アーミーは慣れない治安出動に追われていると聞く。軍隊が法律に則って市民の暴動を抑えられるとはとても思えない」

ベルリ「するとアーミーは市民の支持を失う」

ケルベス「そうなんだ。これには何か政治的な意思が働いているはずだ。アーミーは確かにジュガンやベッカーの影響で暴走気味だった。ガードが押されていたこともたしかだ。しかし、元はといえば全員オレの教え子だ。クンパ大佐、ピアニ・カルータさえいなければ全員ガードになっていた人間たちだ。そうだろ、ベルリ生徒」

ベルリ「はい」

ケルベス「そのアーミーがジュガンやベッカーを失ってもまだ権力を欲しがること、その割にやることなすことドジばかり踏んでいること。彼らが悪者になっていること。ガードが本来の任務を放棄して国を離れたこと。全部何かがおかしいんだ」

ベルリ「それで教官どのはどうするおつもりで?」

ケルベス「オレはメガファウナを降りて陸路でキャピタル・テリトリィに潜入するつもりだ。クレッセントシップ帰還の特別祭で地上に降りていた生徒がクラウンの運航停止で地上に残されていてな、あいつら、養成学校の生徒たちが協力してくれる。生徒らを残したのは甘かったんだよ。あいつらだって立派なガード候補生だ。だからな、ベルリ生徒。ここでお別れだ。長官と姉上をお守りしろ。いいな」

そういうとケルベスは誰にも別れを告げずにジャングルの暗闇の中へと姿を消していった。






夜。美しい星が瞬いている。エルライド大陸中部、キャピタル・テリトリィ勢力範囲の最南端に、幾台もの大型トラックが列をなしてやってきていた。列はジャングルを切り拓いて建てられた、滑走路を併設した巨大な研究施設に入っていく。サーチライトがその列を照らしていた。

列は滑走路の方へと入ってくる。そこにはホズ12番艦の姿があった。ライトに照らされるなか、男たちが書類を片手に説明に聞き入っている。

学芸員「首相命令にあったものを見繕って持ってきたつもりですけど、宇宙世紀時代末期のモビルスーツといいましてもいろいろありまして、最も状態の良いものは後から来ます。ぼくらも判断に困るモビルスーツが掘り出されていまして。エネルギー反応も大きくて、でもどんな核ユニットが乗っているのかわからないんです」

コバシ「反応が大きいって、まだ原子炉が生きてるってこと?」

学芸員「原子炉は宇宙世紀初期のものでも生きてますよ」

コバシの隣にはスーンの姿もあった。スーンは自分たちがクンタラの反乱部隊に命を救われたことをようやく理解し、ジュニア救出の約束を取り付けて協力する気になったのだった。

命が救われたというのはこういうことだ。

キャピタル・テリトリィはなぜかクンタラ建国戦線と通じた反乱部隊に協力的で、基地の提供および物資の提供を行っている。

それに対して彼らホズ12番艦を追いかけて攻撃してきたキャピタル・アーミーの船はそのまま行方をくらまし、キャピタル・テリトリィから正式に反乱部隊であると非難されたのだ。つまり、反乱軍はクンタラともうひとつ謎の組織があったのである。

ビーナス・グロゥブの旧ジット団団員たちは、そのもうひとつの反乱組織に騙されて偽の契約を交わしていたものを、クンタラの反乱に巻き込まれたことでなぜかキャピタル・テリトリィ側に引き戻されたのだ。クンタラ建国戦線も反乱部隊ではあるが、キャピタル・テリトリィから物資の提供を受けている以上、謎の組織よりはマシだというわけである。

サニエス「トラックで運んできたのはいったい何かな。数が随分と多いが」

学芸員「あれが原子炉ユニットですね。この原子炉ユニットというやつはやたらと丈夫にできていまして、モビルスーツが錆びた後もこれだけ残るわけです。地中に埋もれていたものなどは、他が全部錆びて朽ちても、原子炉ユニットだけが残っている。原子炉ユニットの型から埋蔵モビルスーツを推定することも多いわけです。実はずっと動いて発電しているものもかなりあって、扱いに困っていたのです。いやいや、助かりました。まだほんの一部なので、翌朝以降も運ばせます」

サニエス「(頭を抱えて)原子炉ユニットを剥き出しで持ってきたのか」

学芸員「あー、放射能のことなら意外に大丈夫ですよ。なかがどうなっているのか知りませんが、漏れてくる放射線はわずかなものです。それより、改造して使えるモビルスーツがないかとも注文があったので、もうじき参りますが、どうにも判断に困る機体を1機お持ちいたしました」

スーン「(鼻で笑いながら)宇宙世紀時代のモビルスーツはジット・ラボでも散々研究していたが、使えるものなど残っているはずがない。触れば壊れるようなものばかりだ」

そこに遅れてモビルスーツ運搬用の大型トラックが入ってきた。サニエスの指示でかぶされていた幌が取り払われると、確かに新品と見紛う機体が横たわっていた。かなり大きい。

コバシ「原形をとどめているなんて、よほど保存状態が良かったのね」

スーン「いや、おかしいだろ。宇宙世紀時代の機体がこんなに綺麗なはずがない。もっとずっと汚れて劣化しているものだ。外装を新しいものに変えてあるだろう?」

学芸員「そう思われるのも無理はありませんが、5年前に地中から発掘したときには他のモビルスーツ同様にボロボロだったのです。この機体は発掘して空気に触れた瞬間から自力で機体を修復しはじめまして、このような姿に戻ったのです。おそらくは宇宙世紀時代最末期の機体ではないかと推測してます。流出したヘルメスのバラの設計図にも載っておりませんし。繭のようなものにくるまれて、つがいのようにもう1機あったのですが、それはすでに宇宙へ送られています」

スーン「ヘルメスのバラの設計図は我々も研究していたが、解明できるものはリギルドセンチュリー初期のものまでだったな」

コバシ「キア隊長が論文テーマにするって意気込んでいた話でしょ?(スーンが力強く頷く)宇宙世紀とリギルドセンチュリーが500年ほど重なっていて、その間に宇宙世紀時代の技術がユニバーサル・スタンダードに置き換えられたって仮説」

学芸員「(眼鏡をきらりと光らせ)お、それは興味深い話ですね」

スーン「(得意げに)キア・ムベッキは天才だからね!」

コバシ「キア隊長の仮説では、宇宙世紀1500年ごろがリギルドセンチュリー1年ごろじゃないかって。宇宙世紀は2000年続いたそうだから、リギルドセンチュリー500年ごろに宇宙世紀が終わっている。我々の先祖がリギルドセンチュリーを使い始めた理由は、そのころアースノイドが絶滅したからだって。ま、1500年も戦争を続けてるような暦を使いたくないわよね」

スーン「ああ、確かにそう言ってた。キア隊長はリギルドセンチュリーとユニバーサルスタンダードの発祥は、アースノイドの絶滅がきっかけだったって」

サニエスはその場を離れて原子炉の運搬指示に向かった。原子炉とモビルスーツは海路で運搬する予定だったのだ。

コバシ「それにしてもこれ、不細工ね。地面に埋まっていたなら、1000年以上前の機体よね」

学芸員「古代文字のAを逆向きにした文様が額に入っているでしょう? だから我々はG-∀と呼んでいるのですが、G-∀は不細工ですけど、他の宇宙世紀時代のモビルスーツよりも多くの点で優れている可能性があるんです。機体の自己復元能力などは他にない機能です」

スーン「こいつを直すのはいいとして、こんな古いもの、誰か乗るのか? 宇宙世紀というが、1000年前の黒歴史そのものだぞ」

サニエス「ルイン・リーという若者が、使えるのなら使いたいと。G-セルフを欲しがっていた若者ですが。高機能でフォトン・バッテリーがいらないのなら使いようはあります」

コバシ「ルイン・・・、知らない名ね。でも、こんなの絶対に弱いわ。G系統に分類していいものかどうかも疑わしい。(顔をしかめて)禿で髭って。ウーシアにすら瞬殺されそうだけど、いいの?」

スーン「こいつの原子炉だか核融合炉だかは生きているんだな?」

学芸員「エネルギーが完全に充填されているんですよ。塵も自動で落としますし、コクピット周りさえ新しいものに換えれば、電装系すらそのままでイケるかもしれないんです。エネルギー・ユニットは核融合炉より強力ですね。この機体だけはかなり特殊なんです」

コバシ「嘘みたいな話ね。たしかに宇宙では観たことないなぁ」

スーン「これを直して乗れるようにして引き渡せば、ジュニアを取り戻してくれるか?」

サニエス「必ず」

学芸員「この機体はコクピット部分だけユニバーサル・スタンダードに換装すれば使えますよ」

スーンとコバシは顔を見合わせて頷きあった。彼らはキア・ムベッキ・ジュニアを取り戻すことをすべてに優先させると誓い合っていた。






カリブ海に停泊中のメガファウナは、大きな仕事を前に束の間の休息を取っていた。

クルーはハッパの無事を祝って浜辺で騒ぎ合っていた。その輪の中に席を外していたドニエル艦長が戻ってきた。

ドニエル「たったいま、姫さまより連絡が入った。(どっと歓声が沸く)メガファウナはゴンドワンとの大陸間戦争には参加せず、トワサンガでフルムーン・シップを奪ってビーナス・グロゥブを目指し、ラ・グー総裁にことの真意を尋ねてくる任務に就くことになった。全権大使は、ベルリくん、君だ」

ベルリ「ぼ、ぼくが!」

ドニエル「すぐにアメリアへ戻って補給を済ませてから、その足でトワサンガへ向かう。みんな準備にかかれ」

クルーは艦長の命令で一斉に動き出した。

ハッパは紙コップを片手に笑みを浮かべながらつぶやいた。

ハッパ(有休が欲しいなんて、言ってられないんだよなぁ)


(ED)


この続きはvol:27で。次回もよろしく。



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