SSブログ

「UFOロボ グレンダイザー 対 グレートマジンガー」(1976年作品)感想 [映画]

1976年春の東映まんがまつりで上映された作品。

Cd9Cm3PUkAAiq4Q.jpg


「UFOロボ グレンダイザー」から脚本が藤川桂介主体になり、マジンガーは永井豪的なスタイルから大きく路線変更することになる。当作品も藤川色が強い。

脚本家藤川桂介さんは、1960年代から70年代半ばにかけて「ウルトラマン」「宇宙猿人ゴリ」など特撮作品の脚本を多く執筆し、70年代半ばから80年代半ばまでは「UFOロボ グレンダイザー」「六神合体 ゴットマーズ」などアニメ作品を数多く手掛けた。

80年代半ば以降は主に自身の著作物を執筆するようになり、イラストレーターにいのまたむつみを起用した「宇宙皇子(うつのみこ)」は大ヒット、この作品がのちのライトノベルの方向性を決定づけた。我々おっさん世代には馴染み深く、懐かしい名前なのだ

藤川桂介作品は物語性が強いことが特徴で、どんな単発の仕事でも、物語全体の流れを強く意識した作りになっている。全体の流れに沿った脚本なので、藤川が描いた回が散漫なシリーズ構成に芯を通すことが多い。最近はシリーズ構成が独立した仕事になってるが、当時は1話完結スタイルの作品が多かったので、各脚本家の個性が前面に出て、全体としての物語性は希薄だった。

それをまるで全体を通じた物語が底流にあるかのように錯覚させるのが藤川の特徴だった。彼がメインでシナリオを執筆した「宇宙戦艦ヤマト」「六神合体 ゴットマーズ」などは、始まりから終わりまで一貫したストーリーがある。原作からして散漫極まりない「銀河鉄道999」のアニメ化が成功したのは、脚本最多執筆の藤川の功績だ。彼がイメージ先行の松本零士作品にストーリーを与えた。

オレが原作付きのアニメに対して、原作準拠を求めず、アニメとして独立したシリーズ構成に拘るのは、藤川の影響が強い。彼は「超時空要塞マクロス」のヒットにアニメにおける物語の終焉を感じ取って脚本をやめてしまうのだが、それもまた先見の明があった。「超時空要塞マクロス」と「うる星やつら」が、いまのキャラクター重視、もしくは萌えの先駆けだったからだ。

シリーズ構成という仕事がなかった時代に、単体の脚本執筆においてさえシリーズ構成に近い仕事をし、日本のアニメ・特撮に大きな足跡を残した重要な脚本家である。

この「UFOロボ グレンダイザー 対 グレートマジンガー」も、藤川の特色が良く出ている。

束の間の休息を楽しむ宇門大介ことデューク・フリードを気遣って単独行動してしまう兜甲児。その優しさが裏目に出て敵に捕らえ、自白装置によってグレートマジンガーという無敵の巨大ロボットが博物館にあると敵に漏らしてしまった。敵は博物館からグレートマジンガーを盗み出し、グレンダイザーと対峙し、次第に追い詰めていく。

しかし、グレートマジンガーを初めて操縦する敵はその弱点を知らず、兜甲児のアドバイスによってグレートマジンガーの動きを封じられた敵は機体を放棄して円盤に戻る。その間に兜甲児がグレートマジンガーに乗って、グレンダイザーとともに敵を倒す。

30分でこれだけのことをやっている。

東映まんがまつりのマジンガー物はクロスオーバー作品が多いが、これは「UFOロボ グレンダイザー」の外伝風になっている。それでも、マジンガー物をシリーズと見做して兜甲児をグレートマジンガーに乗せて戦わせるあたりが藤川らしい。藤川としては、おもちゃ販売の観点からマジンガーZに見切りをつけ、兜甲児の物語を断ち切ったやり方が好きではなかったのだろう。さすがにマジンガーZには乗せられなかったが、グレートマジンガーを兜甲児に与えて活躍させるあたりが凄い。さらに、「UFOロボ グレンダイザー」では、マジンガーZの代わりになるTFOをグレードアップさせて、兜甲児の活躍の機会を増やしたのも藤川である。彼に任せておけば、マジンガーZは葬らされずに済んだと思っている。

オレは例によってこれが初見であった。しかし藤川桂介のことを知っていたので、非常に楽しめた。

アニメにしろ特撮にしろ、シリーズ全体の物語を深めれば作品の質も上がる。同時に観る側はアニメ史や特撮史を意識して作品を観ると、視聴の質も上がる。作り手に尊敬の念を持てるようになる。

昨今アニメに粘着してあちこちに悪口を書き散らしている無職のバカがいるが、あれはキャラクター萌えがアニメ視聴だと勘違いしたバカの成れの果てである。

キャラ萌えは、いずれ飽きてキャラを破壊し始め、物語に難癖をつけ始め、アニメが嫌いになり、アニメを楽しんでいる人間すべてが憎くなる。

底が浅い奴はすぐさま自壊するのだ。


UFOロボグレンダイザー 完全版 (マンガショップシリーズ)

UFOロボグレンダイザー 完全版 (マンガショップシリーズ)

  • 出版社/メーカー: パンローリング
  • 発売日: 2012/04/13
  • メディア: コミック



UFOロボ グレンダイザー 1975-77 [初出完全版]

UFOロボ グレンダイザー 1975-77 [初出完全版]

  • 出版社/メーカー: 復刊ドットコム
  • 発売日: 2020/01/31
  • メディア: コミック



UFOロボ グレンダイザー (トクマコミックス)

UFOロボ グレンダイザー (トクマコミックス)

  • 作者: 永井豪とダイナミックプロ
  • 出版社/メーカー: 徳間書店
  • 発売日: 2018/09/03
  • メディア: コミック



マジンガーZ 大解剖 (SAN-EI MOOK)

マジンガーZ 大解剖 (SAN-EI MOOK)

  • 出版社/メーカー: 三栄書房
  • 発売日: 2018/01/05
  • メディア: ムック



コメント(0) 
共通テーマ:アニメ

コメント 0

コメントを書く

お名前:[必須]
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

※ブログオーナーが承認したコメントのみ表示されます。