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「キングコング対ゴジラ」(1962年公開)感想 [映画]

この作品は、「ゴジラの逆襲(1955年公開)」以来7年ぶりとなるゴジラ映画であり、初めてのカラーフィルムによるゴジラであり、初めて怪獣同士の対決がタイトルになったゴジラである。

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さらに、最もヒットしたゴジラ映画でもある。この作品によって、のちのVS路線が決定づけられた。さすが、キングコングのネームバリューは大きい。キングコングの名称使用にあたり、多額のライセンス料(当時の金で8000万円。ちなみにハリウッド版ゴジラのライセンス料は現在の金で1000万円。東宝は無能です)が課せられたのだが、ビッグヒットとなったために余裕で資金を回収した。

そんなこともあって、この作品を「怪獣対怪獣」の最初の作品とみなす人もいるが、もちろん初めてはアンギラスと戦った「ゴジラの逆襲」である。

実際のところ、「キングコング対ゴジラ」の重要さは、キングコング(アメリカ)とゴジラ(日本)が戦ったことにある。これは1954年当時テレビで高視聴率を稼いでいたプロレス中継(力道山対シャープ兄弟)のような、底流に日米戦争を意識した、観客による敗戦の憂さ晴らし的な側面がある(シャープ兄弟は実はカナダ人)。

敗戦による日本国土の荒廃を戦後社会に改めて突き付けた初代ゴジラの、戦後日本人の魂に深く食い込んだ恐怖とは真逆の、敗戦の仕返し的な考え方が観客側の底流にあったために、キングコングとゴジラが引き分けに終わるストーリーは、ちょっとガッカリな代物だったそうだ。敗戦から17年、経済成長著しい日本は、完全に初代ゴジラの文芸的な意図など忘れ去ってしまっていた。敗戦の恐怖などどこへやら、心の中でふつふつと反米精神を持ち続けていたのだから呆れる。日本人はこうでなくてはならない。

だが、このような考察もまだ核心ではない。

肝心な部分は、ゴジラという怪獣が、得体のしれない、敗戦の恐怖を蘇らせる巨大怪獣から、「日本代表(?)」的な立場に移ったことにある。怪獣プロレスとはよく言ったもので、アメリカの怪獣と日本の怪獣が戦ったことによって、ゴジラはなんとなく日本の味方のような立場に、はからずも立ってしまった。本編にそのような描写はなく、あくまでゴジラはどこにも属さないただの怪獣なのだが、「ゴジラは日本のもの=仲間」という意識が観客の中に芽生えたのだ。

よって、この作品はのちにゴジラが正義の味方、子供たちの味方になっていく前触れのような意味合いを持っていると解釈できる。「キングコング対ゴジラ」が作られたから怪獣対怪獣路線になったわけではなく、この作品によってゴジラが日本代表、地球代表として、キングギドラやガイガンと戦うことになったとみるべきなのだ。

ただ、やはり作り手としては初代ゴジラを意識しないわけにはいかず、ゴジラはガメラのような完全な正義の味方、子供たちの味方と言う立場を手に入れたわけではない。

その部分は、「ゴジラ対モスラ」の感想で解説する。



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